恋のうた

第1話 バイトの彼女

コンビニのバイトは楽そうでつらい。

色々な客が来るしクレームも多い。

でもボクにはささやかな楽しみがあった。

同じバイト仲間の優奈と会えること。

「おはよ〜」

優奈はフレンドリーだから人見知りなボクにもいつも気軽に話しかけてくれる。

「ねぇねぇ昨日YouTuberの𓏸𓏸ちゃんが、、」

優奈が話しかけてくれるだけでボクはつい色々なことを想像してしまう。

(あ〜優奈と付き合えたらな、、)

「ねえねえ聞いてる？ずっとぼけーとしてない？」

(あ、やべえ妄想してたのバレたか？？？)

「もーいーよーだ！数人にはもう話しかけるよやめるもん」

それはすごく困るのだがとにかく不貞腐れた顔も可愛すぎてもっと困る。

彼女は少し橋本環奈に似ていて端正な顔なのに話すと豪快と言うか男っぽいところがあってそこがまた男心をくすぐるような女の子だった。

「ねえねえ数人さ夏祭り行く？」

ん？これはなんだ。

ああ興味本位の質問かな。

まあ行く相手はいないけどなんて答えたらいいんだろ？

そうやって頭で逡巡していると彼女は

「ねえ行く相手いないんでしょ？」

と悪い顔をしながら上目遣いで聞いてくる。

悔しいが図星だ。

「まあ、いないといえばいないけど、、」

頑張って抵抗を試みる。

「なにそれーｗじゃあ私が一緒に行ってあげよっか？可哀想な高校生男子の相手をしてあげましょう！！」

なにやら遊ばれてる気がしなくもないが嬉しさが顔から滲み出てニタニタしている気がする。

やばい顔を引き締めるのだ！堪えるのだ！

「ねえ顔気持ち悪いよ？」

いや分かってますけど。

「決まりね！8月25日の夏祭り！19時に波観駅でしゅーごー！」

え、いいの？

てかこれはデートなのでは？？？

頭の中がパニックになるけど顔はきっと、、

「ねえかお気持ち悪いよ？」

だから知ってるって。