第6話「さっきは少し危なかったわ」
「【感覚強化】……使用は控えるべきか……」
ボソリと呟き、先程の感覚を思い出して下腹部をさする。
(宿で一人の時なら……今夜試してみるか…………はっ、リーダーに抱かれたあの服を嗅ぐ時に使えば……!?しかし、保存魔法を解けば劣化が進むし…………ぐっ、どうする……こうなったら、リーダーの服を盗むしか……いやしかしそれは……)
前を歩く男をチラッと見る。
歩くたび左右に揺れるキュッとしまったお尻に思わず視線を奪われる。
(…………ほ、欲しいッ!それも、脱ぎたてのホヤのやつがッ!!)
ティアは拳を握る。
(でもどうすれば……リーダーは今、他の着替えも持っていないし……手にする
「ティアさん? 大丈夫?」
「なんですか? リーダーは私を幼い児女か何かと思っているのですか? それなら手を繋いで下さい。指を絡める奴で」
「あ、いやボーッとしてたから心配で……」
「だから手を…………もういいです。それと私にも悩みの一つや二つくらいあります。今だって前からほんのり漂うリーダーの匂いで下着が濡れて……」
ハッとしたように自分の下腹部に手を当てる。
(着替え……水浴び……
突然動きを止めたティアの様子を心配した男が近付こうとした瞬間、ティアがバッと顔を上げる。
「今、悩みは解決しました。リーダー、早く行きましょう」
「えっ!? そ、そうなんだ、良かったね……」
呆然としている男を追い抜き、ティアは足早に水源のある方へと向かう。
(そうだ……今から水浴びをするんだ。水浴びする為には服を脱がなければならない。その脱いだ服の管理は誰がする? そう、残った私。でもそれを悪い魔物が持っていく事だってある、これはしょうがない、だって魔物のせいだから。服を全て持って行かれたらリーダーは全裸のまま街に戻らなければならなくなる。それではリーダーの心に傷を残すかもしれないし、リーダーの裸体を見てその魅力に気付いた街の人間共が集ってくる可能性もある。だけど……)
一瞬だけ振り返り、狙いを定めるように男の下半身を凝視する。
(もし無くなったのが”
ティアの頬がニヤリと歪む。
(リーダーは困る。しかし誰にも言えず一人で悩みを抱え、葛藤の末に選択する……!
(だって本来、外からじゃ誰も分からないんだもの。気付きようがないわリーダーが
(いつもよりスースーとする下半身を意識しつつ周りに
生い茂る木々の間を止まる事なくグングンと進む。
(そして私は……リーダーの
少しして開けた場所に出ると、太陽光を反射させて眩しい程に輝く綺麗な湖が広がっていた。
見た限り清潔そうな水で身体を洗うのも問題ないように感じる。
「綺麗そうな湖で良かった」
「そうですね」
「じゃあ早めに水浴びしようか。魔物が来ないとも限らないしね」
(さあリーダーここが年貢の納め時です!!)
少女の目は妖しく光っていた。
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