そっちの方が精神的に…
「……文句、言わないか?」
「言わないよ〜」
怪しい。……怪しいけど、魔道具を見に行きたいし、もうさっさとラミカの着替えを買って、魔道具屋に向かおう。
そう思った俺は、フィオラに場所を聞いて服屋に向かった。
最悪、フィオラとリアにアドバイスをしてもらえばセンスの無い俺でもラミカに似合う服を選べるだろうしな。
そして、そんなこんなで一応四人で服屋に来たわけだけど、高くないか? 服の値段。
いや、金はなんかいっぱい貰って無駄にあるからいいんだけど、俺はてっきり普通の俺みたいな平民が使うような服屋に案内してくれるのかと思ってたから、普通にびっくりしたわ。
……まぁ、よく考えたら、フィオラは聖女だし、こういうところに連れてこられるのも予想しとくべきだったのかもな。……フィオラも聖女とはいえ平民、だよな? ……毒されたか? いや、別になんでもいいけどさ。
「……あー、ラミカ、なんか欲しいのとか、あるか?」
そう思いながらも、俺はラミカにそう聞いた。
俺に選んで欲しいとか言ってたけど、一応、聞いとくのも大事だと思うからな。
「……あっちの方のだったらなんでもいいかな〜」
すると、ラミカはそう言ってシンプルな服が置いてある方向を指さしていた。
まぁ、そうだよな。
あっち以外のところなんて装飾品が無駄に付けられてるドレスだったり、なんかパーティとかに出席する時に着るようなものばっかりだし、予想通りではあるかな。
……装飾品が着いてないドレスとかもあるし、普通にラミカに似合いそうではあるけど、普段着にあんなの絶対いらないし、俺は余計なことは言わずにラミカが指さした方向に移動した。
……あ、これとかいいんじゃないか?
俺がそう思ったのは、シンプルな赤をベースにした服。
んー、でも、ラミカの金髪に赤をベースにした服って似合うのか? ……分からん。
分からないし、もう普通に白か黒い服でも薦めとこうかな。
「それとか、似合うんじゃないか?」
そう思った俺は、適当……と言いつつも、一応ちゃんと似合うと思った服を指さしてラミカにそう言った。
「……それは、違うと思う」
「……わたくしも、それはやめた方がいいと思います、よ?」
すると、ラミカは笑顔で何も言わないし、他の二人にはそう言って否定された。
知ってたよ。俺のセンスがないことくらい知ってたよ。
だからラミカ、正直に言ってくれていいんだぞ? 全然、文句を言わない、なんて言ってたことなんて俺は気にしないし、正直に言ってくれていいんだからな?
……ラミカに気を使われる方が精神的に来るからさ。
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