タカナシ怪奇譚 まねっぺ様

タカナシ

「まねっぺ様」

 こんばんはタカナシです。


 私が暮らす街。千葉県鴨川市という場所なのですが、皆様は鴨川と聞くと、まず京都が出てくると思います。

 ですが、ここも紛れもなく鴨川なのです。

 その他にもいくつかの地名が他の場所と同じ名前であることが多いのです。


 そのことを不審に思う人は少なく、さすがに京都と被っているのは分かりますが、まぁ、そういうこともあるでしょって感じです。


 ですが、他にもここにはまるで真似をしたかのように同じものがあって、それは方言にも及んでいます。

『たごまる』 ロープとかが絡まっている様子を言うのですが、この方言、実は東北の方言と同じだったりします。もちろん意味まで同じです。

 他にも方言が他の地方、主に東北のものと同じものがいくつかありますが、やはり、これも不審に思う人はいません。


 さらに、鴨川市民は東京の真似ごとが好きで、よく東京の流行りを取り入れようとして町おこしを失敗させております。

 アニメでの町おこしに失敗した街という不名誉な称号まであるくらいです。


 さて、これほど、真似が多いこの街には『まねっぺ様』というのが存在します。

 怪異なのか神なのか分からない存在ですが、この『まねっぺ様』人畜無害、特になにもしません。

 鴨川市が真似が多いのは『まねっぺ様』がいるからというくらいです。


 ここまでは多くの市民が知っていますが、知られていない『まねっぺ様』がいるのです。

 いえ、正確にはこの話を知らない方がいいから、知られていない方がいいという話です。


 実はこの『まねっぺ様』、実は1つの破ってはいけない掟があるのです。


 『まねっぺ様』は鴨川市の至る所に現れているのです。その特徴はまるで鏡映しにしたようにそっくりな風景になっている場所にいるのです。


 あのススキとあのススキ全く同じに見えるなぁ!

 とか、

 右を見ても左を見ても同じ海だっ!

 とか、

 あの山の木、あっちの山にもなかった?

 とかです。


 それを見つける事態は何も問題はないのです。

 多くの人は似た景色があるもんだ。と思うだけです。ですが、そこで、『まねっぺ様見つけた!』と言ってはいけないのです。それが掟であり、それを破ってしまうと……。


『まねっぺ様』を見つけてしまったであろう人は、行方不明になり、その後、海か山から発見されると言います。

 海では体が全て均等でまっさらな凹凸のない状態で、背丈以外は全て同じような見た目に変わり果てています。魚についばまれたか、海中の砂などで削られたのか……。

 山でも同じで、白骨化した状態でやはり背丈以外は同じ様な見た目で見つかります。行方不明になったのがたった数日前だとしても……。


 途中でも言いましたが、『まねっぺ様見つけた!』とさえ言わなければいいのです。

 見つけても、そんなもんかと思っていればいいのです。そもそもこのことを知らなければ見つけて言うこともできないですからね。

 だから、知らない方が、知られていない方がいい話なんです。


 皆様も鴨川にお越しの際には気を付けてください。

 どこに潜んでいるか分かりませんから。

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