第3話 黒龍の導き 魯氏英と智の物語
紀元前11世紀初頭、殷王朝時代末期、ここは中原の黄河中流域の
冀州は黄河中、下流域の「中原」地域であり中華文明の中心地です。
冀州に黄河北岸邑群があります。黄河北岸邑群は黄河中流域そしてその『支流
冀州黄河北岸邑群の中に魯邑がありました。魯邑領主『
魯邑領主魯氏は、冀州の鉄器鋳物工房の工匠でもあります。魯氏族は金、銅、鉄鉱山(鉄鉱石)を運営し青銅器、鉄器の鋳物技術を発展させた。
そして領主の魯氏は家族より仕事を優先する男です。
黄河下流域南側の地域で、黄河南岸邑群鄭邑の領主鄭氏と冀州魯邑領主の魯氏は治水について談合している。
領主鄭氏の代理として長男の
長男唯と次男弐は、この物語の主人公鄭氏吾の実の兄で歳は吾より10歳も離れたている。鄭氏唯は父から「治水の談合で何も決めるな」と命令されている。
魯邑領主の魯氏は、鄭氏が治水の談合に子どもを出席さている事を心地よく思っていません。
魯氏の館で行われている治水の談合には、中原治水治山職工集団、棟梁鄭氏と交易商人
梁氏は、中原で交易品、生活必需品を売買する長距離交易商人で、取扱品目は交易品を中心に何でも取り扱っています。。また梁氏は、嵩山黄龍観の献納信者です。
棟梁鄭氏は、魯氏と鄭氏に治水治山で使用する護岸や土留め、そして灌漑用水路の岩を献納してもらいたいと願い出します。
魯氏と鄭氏は、鉱山を運営しています岩の切り出しは容易である事は解っていたからです。
「できれば切り出し易い岩が欲しい」と棟梁鄭氏は言いました。
すかさず商人梁氏は
「切り出した岩は全て私が買い取ります。もちろん運搬費や工夫たちの日当などを
上乗せしてお支払いしましょう」
「魯様と鄭様は黒龍観、白龍観、黄龍観に治水治山用の岩を献納したという
形になります、ですから善を重ねて徳を積む事になります」
領主魯氏は岩の切り出しが商売になる事の魅力を感じて「いいだろう…」
と言う前に…
「分かりました岩の切り出しを引き受けましょう!」
鄭氏の代理人唯が返事をした。
魯氏と次男弐は驚いた。しかし棟梁鄭氏と商人梁氏は談合が上手くいった事に喜びました。
この談合で最も困惑しているのが次男弐で、父に何と言えば分からなくなりました。しかし代理人唯は満面の笑顔になった。
冀州魯邑領主魯氏は治水治山用の岩を献納する事を決めました。岩の切り出しを息子の長男
領主魯氏は、冀州の鉄器鋳物工房の工匠で家族より仕事を優先する男でした。だから魯氏の妻子は館に住んでおらず別居していました。
僕の名前は魯氏
領主様が父上なのか?と僕は思った。
母上が亡くなった時も父上は、家に居なかった母上の埋葬にも来なかった。その領主様が、兄上を河川護岸の岩の切り出し工事の現場に連れて行こうとしている。
「兄上行かかないで僕を一人ぼっちにしないで」僕は大声で泣いた。
「智ごめん叔父上の家に行きなさい。そこで待っていなさい。
必ず連絡するからね」
さあ行こう英
「お前は誰だ!兄上を何処へ連れて行く気だ!」
領主様、僕と兄上は、もみ合いになり弾みで僕は押し出されたしまった。
僕は、しりもちをついて痛いのでまた泣いた。
「父上!智に何をするのですか!」
「大丈夫かい智」
「兄上~」また泣いた
行くぞ、英
今、僕は叔父上(魯氏
叔父上も伯母上も優しい人で安心した。
でも兄上に会いたい。母上にも会いたいと思いながら地面に絵を描いている。
兄上の顔、母上の顔を思い出しいつも描いている。
智が叔父の家に引き取られ、しばらく経ったある日、叔父が智の所にやって来た。
智、英から伝言だ。⒍
今、黄河の北岸に居ます。僕は元気です。智、待っていなさいとの事だ。英の様子を聞きたいなら出入り商人の梁に聞くといい。と叔父創は智に言いました。
それと英から送り物だ。と智に渡された物がありました。智は、何だろう?と叔父から渡された物を見た。
母と兄そして智の浮彫にした小さな木彫りでした。母、兄そして智は3人とも天然パーマの巻き毛なので、その浮彫は3人の特徴を表現していた。
智は、また泣き出しその木彫りにキスをしました。そして智は、大事そうに懐にしまい込みました。
ありがとう兄上!僕も元気です!
ある日の事、叔父の創が板の端材と木炭を智の所に持ってきた。
「智これで絵を描きなさい」
さて叔父上は、青銅器や陶磁器などの
最近僕は、叔父上が描く文様を模写して板の端材に描いている。中々上手く描けない。どうすれば叔父上の様に描けるようになるのだろうかと思う。
僕は、三日間隔で家の事が心配で帰る。
幼馴染の兄妹、
「智~!元気かい?」
僕は、兄上の洗濯物を干していた。兄上の着物を、黄河北岸治水現場に届けるためだ。
商人の梁さんが、兄上に届けてくれるそうだ。
叔父創の工房に出入りしている長距離交易商人梁が、黄河北岸に英のため荷物を届けてくれる。
満は、智の兄英が黄河北岸で護岸の岩を切り出し、治水工事の現場まで輸送する大変な仕事を行っている。
そのことは冀州黄河北岸邑群の人々も知っており、見習うべき徳であると満は、智に話したのです。
智は、兄が見習うべき徳ある人になった兄を誇りに思うのです。
満は言います
「僕と月は、来年春の祭典が終ったら、黄龍観の学問所に出家する。
それは黄河中流域、汾河流域の氾濫を止めるため」
絹織物の安定生産を目指すために、生糸の原料である生糸を生産する
養蚕農家が、蚕餌桑畑を拡大し、耕作地を保全することが必要なでのす。
だから治水治山学を学びたいと、満と月は言う。
智は満と月が立派に見えた…つい
「僕もそうするよ!」と言ってしまう
「本当に?じゃあ3人で出家しょう!」
「その前に頭の鳥の巣を刈らなくちゃ」
智の天然パーマの巻き毛が、爆発していたので月が調髪すると言う。
智は、月に調髪をお願いしました。
その日の夜、智は、叔父に出家する決意を打ち明けた。叔父の創は、兄(智の父)の許可を得なければと言う。しかし智は、叔父上の許可で構わないと言う。
兄の家庭の事情を知っている叔父の創は、智の出家を許可したのです。
叔父の創から初めて貰った智の役目は、黒龍魯邑分観の毎日の掃除や節分祭典(立春、立夏、立秋、立冬)の飾りつけ。
智は、日課になった黒龍魯邑分観の掃除する姿を、黒龍木像が見つめている。
ある日、木像に憑依した黒龍が智に声を掛ける。
「智よ!毎日ご苦労である」黒龍の木像から声が聞こえてきた。
「誰?満かい?月かい?」
「我は黒龍である」
「へ~っ?じゃあ証拠は?」
「憎たらしぃ子どもだ!では新月の夜にここに来なさい我が姿を現すぞ」
「約束ね黒龍!いや黒龍様」
新月の夜。
夕方ごろ智は、半信半疑ながら黒龍魯邑分観に1人でやって来た。
黒龍の木像の横に、黒い道服を着た人らしき人影が立ってる。
「なんだぁ、やっぱりいたずらかぁ」
と智は思った。
すると光る珠を胸に輝かせた漆黒の龍が降臨。
黒龍は智を怖がると思い2m位のサイズであった。
「我は黒龍である」
智は、神々しい漆黒の龍の姿を憧れの眼差しで見つめた。
「あなたは…美しぃ…黒龍様」
黒龍は意外だった「怖いとか恐ろしいとか」
言われ続けて来たが「美しい」は初めてだった。
「智よ、我の背中に乗せてやろう、世界を見せてやろう」
黒龍は、智を乗せて一緒に西方に向かって飛翔した。黒龍の苦手な太陽が沈む方向に向かって飛翔する。
黒龍の背中で、智が喜んで歓声を上げている。夕日の茜色輝く中華圏西方の大いなる山々の風景は、智の芸術的センスを刺激した。
黒龍の苦手な太陽の光が眩しかったが、智の笑顔を見たら我慢ができました。
こうして黒龍と智の不思議な交流が始まりました。少年智は、黒龍と会話でき、しかも黒龍の背中に乗せてもらえる事ができる天性のセンス英知ある子どもある事を知らずに。⒐
信者たちが子どもに苛酷な労働をさせて何を考えておるのだ、と黄龍が憤慨していたのを黒龍は思い出します。
黒龍は黄龍、白龍、青龍そして赤龍と相談してある計画を実行しようとしています。
その計画とは…
魯氏智、畢氏満と月はいずれ恒山黒龍観の駐在修行者となります。
中華圏の交易品シルク絹織物の生産地の冀州、絹織物の安定生産を目指すために治山治水が必要なのです。
果たして魯氏智、畢氏満と月はシルクを通じて出会う異国の文化や人々とどう関わるのか?冒険物語が始まります。
第4話 白龍の導き 葛氏山桃と沢の物語を編集 つづく
本文の『』は引用
文末の数字は解説と引用
第3話解説と引用を参照
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