第5話 課外授業
◯ 1学年2月目
魔力検査の後、隣のカレンさんがよく話しかけてくるようになった。
彼女は8歳だと言うのにもう女性的な美しさを持つ美少女だ、嫌な気はしないお友達になろう。
でも辺境伯様の娘だしな・・・まあ子供の頃のことだ問題ないだろう。
ーー レクレーション
野外学習というのがあるそうで、僕ら1年は森の浅いところでキャンプとサバイバルをすることになった。
馬車で森に向かう夕方目的の外周に着く、そのままテントを建ててキャンプの準備を手早く始める、生徒だけでは難しいので同伴の冒険者や教師が中心に準備する。
僕は手慣れたもので素早く自分のチームのテントを建ててかまどの準備と火おこしをする。
「坊主、手慣れているな。」
近くで見ていた冒険者が感心して言う。
僕は冒険者カードを見せる、
「なんだ同僚か!・・・しかもすでにDランクかい。」
と冒険者は言うと他の生徒の準備を手伝い始めた。
そのやりとりを見ていたカミュが
「シャドー君、そのカードはなんだい?」
と尋ねたので
「ああこれは冒険者登録をした者が持つカードでランクが書かれているんだよ。ランクは上からS、A、B、C、D、E、Fとあって僕がDランクだったから納得していたんだよ。」
と説明する。
「そうなんだ、この間登録したと言っていたけどもうDランクになったんだ、凄いね。」
と言うとかまどに鍋を仕掛けた。
チームは4人の5チーム、男女2名ずつだ。
僕とカミュそれとカレンとチカが同じチームだ。
僕は鍋に地球産の調味料などを入れて味を整える、料理は鍋料理ちゃんこ鍋だ。
皆のお椀にちゃんこを注いで配り柔らかなパンを添える。
「それじゃ頂こうか」
と声をかけて食べ始める。
「何だこの美味しさは!」
カミュが驚きの声を上げる
「本当に美味しいわ。」
とチカも同意する、するとパンを食べ始めたカレンが
「!!!コレは・・・王都の白パンですか?」
と驚きつつ聞いて来たにで
「違うよ僕が焼いて持って来たもんだよ。」
とちょっぴり嘘を交えて答えると
「貴方、料理もすごいのですね。」
と言いながらリスのようにパンを食べていたのでジャムを取り出して差し出す。
「コレはいちごジャムだよ、パンにつけて食べると甘くて美味しいよ。」
と勧める、ジャムを付けて一口食べたカレンはまた目を大きく見開き、無言で食べ続けた。
テントは男女別で2つ用意、僕はそれぞれに空間魔法を付与する。
周囲には結界を張り安全を確保してそれぞれのテントにベッドとタンスとテーブルと椅子を配置した。
食事を終えて後片付けをしていた僕にカレンが声をかける
「シャドー君聞いても良い?」
「はい何ですか」
「あのね、私たちのテントが他のこのテントとは違うと思うのその・・・広さとかベッドとか」
「何か問題でもありましたか?」
「え!問題はないのよ、でも・・・」
何か言いたいがどう言えば良いのか悩んでいる様子
「魔法ですよ、僕は空間魔法が使えるので。問題はないですよねチームなので。」
と言う僕の言葉にカレンは
「そうなの?空間魔法が使えるんだ。それに比べれば私何もできないからびっくりして。ありがとう、チームが同じで良かったわ。」
と言うと嬉しそうにテントに入って行った。
ーー カレン side
今日は学校の事業で野外授業です。
魔物が住む森に外周でキャンプやサバイバルをするのだ、領主の娘として森の実態を肌で感じるのはとても大切な事だと聞かされていたわ。
しかもシャドー君と同じチームでだ、さらに仲良くなるチャンスだわ。
馬車で1日かけて目的に着く、早々にテントを建てて食事の準備をチームごとに始める。
シャドー君は手慣れた様子で手早くテントを建てるとかまどを作り火を準備していた。
カミュ君も食材を刻んで鍋に入れると火にかけた、商人の息子さんと聞いていたが色々できるようだ、それに比べると私とチカは・・・貴族の子供って意外と何もできないものね。
味付けをシャドー君がした後、テーブルに料理を並べる!テーブルはどこにあったの?
美味しそうな白いパンがさらに大盛りになって置かれている。
まさかアレは王都の白パンでは、私は一度口にしたがとても柔らかくて美味しいおパンだった記憶がある。
鍋料理が注がれ皆で食事を始める、チカやカミュ君はちゃんこ鍋と言うスープが美味しいと言いながら食べていた。
私はパンに手を伸ばす、柔らかすぎる。
掴んだ手を一度開いてそっと掴み直す。
コレほど柔らかだったかな?香りも良い。
一口口に入れる、噛みちぎる必要がないほど柔らかい。
「!!!コレは・・・王都の白パンですか?」
思わず聞かずにはいられなかった。
でも答えは、シャドー君の手作りだと言う。
彼はどれだけ凄いの、更にテントの中を見た私とチカは他の生徒のテントを見て黙って戻って来た。
「チカ、あのテントは他の子と違いすぎ理と思うの」
と言うとチカも同意した。
私は、その事もシャドー君に尋ねたすると、彼の空間魔法のせいだと言う。
彼は空間魔法が使えるのでテント内を広げたりベッドなどを空間収納から取り出せるのだと言う。
コレじゃ私なんか何も出来ない貴族の娘だわ。ほんと嬉しい。
ーー カミュ side
同室のシャドー君がかなり優秀な魔法師だと気付いたのは意外と早い段階だった。
だって手ぶらで来ていた彼は次々に荷物をどこからか取り出すと、並べ出したからだ。
「シャドー君それは魔法?」
「ああコレは収納魔法だよ。僕以外と魔法が得意でね色々できるようになったんだよ。」
と答える彼には魔法師特有の高いプライドは微塵もなかった。
そして今日は野外授業、彼の空間魔法が本領を発揮する場面だ。
案の定彼はテント内に魔法を付与してデッドまで置いてくれた、こんなテントならいく日でも泊まれる。
しかも彼の料理は天才的だ、あの調味料も興味がある。
僕の商人魂が彼の全てが金のなる木だと訴えている。
ーー チカ=ソレイユ side
私はカレン様の級友で辺境伯様の騎士団の団長の娘だ。
私も幼い頃から剣を鍛えられてきた、カレン様の護衛をするためだ。
しかし私はそこまで緊張してはいないなぜなら、ここには同じチームに彼がいるからだ。
彼シャドー君は、何でもできる人でとても優しい。
体力テストで彼の様子を見ていた私は、彼の力に鳥肌がたった。
彼は手を抜いているようだけど、それでもその実力は騎士団のお父様と同じほど。
どうしてあの歳であそこまで強くなれたのか私はそれが知りたい。
しかし彼の料理はとても美味しい、コレだけでも同じチームになれたことが嬉しい。
そしてカレン様と見たテント内の様子、思わず2人で他のチームのテントを確認した程だ。
後でカレン様に聞いたら魔法で広くしていると言う、それって伝説の空間魔法ではないの?
後で担任のサファイア様に尋ねよう。
ーー サファイア side
今日から野外学習で森の外周でキャンプをする、外周といえども森は魔物が出る危険な場所だ。
十分に安全を確保するために同伴する冒険者には普段よりも高ランクの者を依頼している。
カレン様の護衛役のチカが訪ねてきて話をして帰った。
驚きの話だ。
「報告します、シャドウ君の魔法と料理でとても快適な学習空間ができてます。」
と言う言葉から始まり、空間魔法の付与、空間収納魔法、恐ろしく美味しい料理やパンの話をして帰った、帰り際にパンを3つ置いて行った。
パンを手に取ると思わず潰れてしまうほど柔らかかった。
パンを一切れ指でちぎって!指で切れるパン。
その味も恐ろしく美味しかった。
彼女の報告通りだとすれば彼の魔法の能力は私を遥かに上回る可能性がある。
もう少し注意して観察しておこう。
そう思いながら止まらないパンを味わっていた。
ーー レクレーション2日目
朝食を済ますとテントを片付けてサバイバルの準備に入る。
それもシャドー君があっという間に準備を終える。
チームごとに分かれて森の中を歩きモンスターと呼ばれる魔物を狩って安全な場所で野宿をするのだ。
安全な場所は無いのだが可能な限りの安全を確保するのが目的だ。
僕らのチームに同伴するのは冒険者のリーダーの男と女性それと教師のサファイアさんだ。
冒険者のリーダーは「天使の羽」と言う名のパーティーでリーダーのランクはBで名はフランク。
冒険者のリードで森の中を歩く、
「できるだけ音を立てるなよ。」
と言う注意に僕は消音の魔法をかける、フランクさんが頭を傾けながら森を進む。
途中、ゴブリン3匹とコボルト2匹を狩り進んでいると、シャドーサーペントが頭上から襲ってきたが事前に感知していた僕は慌てる事なく風魔法でその首を切り飛ばす。
首と胴体が地面に落ちた音で気付いたフランクさんが青い顔をして僕を見る。
「問題ないですよ、気づいてましたから。他にはいません進みましょう」
と答えて死骸を収納する。
無言のままフランクさんが改めて進み始める、先ほどよりも注意しながら。
そして昼過ぎに目的地に着いたようで
「ここで野営をします。準備を始めてください。1人は見張りをしてくださいね。」
とサファイア先生が言うのにチカが見張りに立候補して、残りの僕らは野営の準備を始める。
テントを建ててるために少し整地をする、周囲の草や木を刈り取り見晴らしをよくしてから中央にテントを建てた。
かまどは風上に作り薪を準備する、先ほど刈り取った草木を魔法で乾燥させるとちょうどうい具合に薪になる。
空間収納から肉を取り出すと分厚くカットしてトンカツの準備をする。
鍋を出してカミュに切ってもらった食材を煮込み最後にカレーのルーを割り込みカレーの出来上がり、キャンプといえばカレーだよね。
結界魔法を構築すると匂いと煙を上空高くまで排出するように結界で煙突を作る。
もう一つのかまどには米が火に掛けられている、カレーライス出ないといけないコレは僕のこだわりだ。
準備ができたので皆に声をかけるがその前に皆がカレーの匂いに集まってきていた。
テーブルと椅子を人数分出すとカレー皿にご飯を乗せてその上にカレーをかける。
野菜サラダにドレッシングをかけて取り分けして配る
「準備ができました食事にしましょう。」
と言うとフランクさんが
「見張りはどうする?」
と言うので
「僕の結界があるので見張り入りませんが、それと感知魔法も常時発動中なので問題ないと思います。」
と言うとサファイア先生が結界の強度を確かめて
「問題ないですね。見張り入りません。」
とフランクさんに答えて皆んなで食事になった。
「コレもものすごく美味しいですね。」
「本当!シャドー君は料理の天才だよ。」
とカミュとチカが誉めてくれた、カレンは一口野菜サラダを口にして
「こんな美味しい野菜サラダ始めて食べますわ。」
と言いながら今度はカレーにスプーンを
「こんな料理を食べたことがありませんわ。サファイア先生、この料理をご存知ですか?」
と訪ねていたが
「私もこんな美味しい料理は初めてです。」
と答えていた。
カレーはたくさん作ったので夕ご飯も問題ない、その時はデザートもつけてみましょうかね。
ーー Bランク冒険者フランク side
今回の依頼はゲルの街の学校と辺境伯様の依頼だった。
「学校の生徒の野外研修に同伴してほしい、特に辺境伯様のご息女の安全は確実にお願いする。」
と言う事で普段はCランクとDランクの冒険者を使うのが今回は俺たちBランクパーティーまで依頼を受けたのだ。
初めは簡単な依頼だと安易に考えていたが違う意味で恐ろしくなった。
4人1組のチームに冒険者が2名と教師が付く。
初日のキャンプの準備で俺に担当のチームの坊主があまりにも手際がいいので驚いて声を掛けるとDランクの冒険者証を見せてきた。
おいおいまだ8歳でDランクだとと思ったがランク以上に落ち着いた坊主で少しばかり鳥肌がたった。
次に日、森の中を移動しながら弱目の魔物を狩って野宿するのがその日の目的だ。
移動する付近はゴブリンやコボルト程度の低ランクの魔物がいるだけのまあ安全な場所だと油断していた。
確かにそれまではゴブリンとコボルトしか居なかった、あの音がするまで。
ドサッ!その音に驚いて後ろを見るとそこに死神が居た。
死神とはこの辺りの冒険者の隠語でシャドーサーペントのことだ、音もなく気配を消して襲ってくるその蛇の魔物は素早さと猛毒で冒険者から死神と恐れられていたのだ。
そのシャドーサーペントがおちてきたのだ音をたてて、理解が追いつかなかったが慌てて俺は剣を抜いたが坊主が言った
「もう大丈夫です、仕留めましたから。」
と言うと更に
「問題ないですよ、気づいてましたから。他にはいません進みましょう」
と先を促された。
全く気付かなかったしかも大物だ下手すると上位の魔物かもしれない。
その後は問題なく目的地に着き野営の準備を始めた生徒たち、そしてまたあの坊主がやり始めた。
魔法で野営地を整地すると草木を刈り取りそれをそのまま薪に変えた。
あっという間にテントを建てて料理を始めるとものすごくうまそうな匂いがし始めた。
どこからともなくテーブルや椅子を取り出す坊主、どうも収納の魔法のようだ。
食事ができたと声をかける坊主に見張りのことを尋ねると
「僕の結界があるので見張り入りませんが、それと感知魔法も常時発動中なので問題ないと思います。」
と言いやがった、俺は魔法のことはそこまで得意でないので引率のサファイア様に顔を向けると
「確認済ます」
と言って周囲を確認したサファイア様は問題ないと答えたので皆んなで食事を始めた。
またこの食事がうますぎる、こんな野営地でコレほどの料理を食べれるなんて異常だ。
そう言えば移動の時も
「音を立てるなよ」
と注意すると突然皆の足音が聞こえなくなった、一瞬俺の耳がおかしくなったかと思ったが多分あれも魔法だろう。
ーー カミュ side
今度の料理はもう商品にするしかないよシャドー君、カレーと言うのこの料理帰ったらレシピくださいね。
彼の料理は全てが黄金の如く完成されたものだった。
明日の料理も楽しみで仕方がない。
そう言えば移動中に大きな蛇が落ちてきて冒険者のフランクさんが驚いていた、すぐに蛇はシャドー君が収納したのでよく分からなかったが・・・問題ないよね。
ーー サファイア side
あれほどの魔法師は見た事がない、あれでもし癒しの魔法でも使えたら万能すぎる。
結界魔法は強度と範囲が異常なほどであの結界ならドラゴンすら壊せないのではないだろうか。
しかも途中、シャドーサーペントを仕留めた腕、Bランクのフランクが気付けないほどの高ランクの魔物を事前に気付いて何もさせることなく首を狩っていた。
末恐ろしいではなくすでに恐ろしいほどの腕を持つ冒険者であり魔法師だ。
この子は絶対に辺境伯様の陣営に取り込みたいいや王国の至宝に成り得ると私はそのとき思ったが、食事に時少し考えが変わった。
「是非この子の料理を食べ続けたい」
と。
ーー カレン side
またまたシャドー君がやらかしました。
どんどん私の影が薄くなります、嬉しいー。
しかしシャドー君はどういう生活をしてあそこまで強くなったのでしょう?
魔法の腕は元より冒険者としての行動も先導の冒険者以上だと気付きました。
あの冒険者はBランクの冒険者と聞いています、それ以上てAランクほどの実力なのでしょうか?
それ以上に料理が美味しいです、もう私の胃袋はシャドー君に掴まれてシャドー君の居ない生活は考えられません、友達より以上の関係を構築しましょう。
ーー レクレーション3日目
昨夜はフランクさんやサファイア先生のテントにも空間魔法を付与してベッドを置くとかなり感謝された。
夕食にカツカレーを出したのも高評価でデザートは女性たちが感激していた。
3日目の朝は、軽くサンドイッチで朝食を終えると片付けをして森の外周を目指して移動を始める。
移動の先頭は僕が担うことになった。
僕は移動しながら魔眼を使い遠くの獲物を仕留めては引き寄せのスキルで収納していく。
お陰で僕たちの周りには魔物がすっかり居なくなり平穏な移動に終始してしまった。
昼過ぎに外周に着き外周で待つ先生に報告をして食事の用意を始める。
外周でキャンプして明日の朝には帰路に着くのだ。
チカが近づいてきて
「シャドー君今度はどんな料理なの?」
と興味を見せて尋ねてきた。
「今度は焼きそばだよ」
と答えると
「焼きそば?」
と言いながら戻って行った。
僕は豚肉を炒めながらカミュに野菜を適当にカットしてもらう、野菜を炒め麺を混ぜながら蒸し焼きにする。
十分に蒸し上がると焼きそばのソースをたっぷりかけ仕上げる。
テーブルと椅子を準備して皿に大盛りに注いだ焼きそばを並べると果実ジュースを冷やしながらコップに注いで準備終了、皆に声をかけて食事を始める。
他のチームはまだ戻ってきていないようだが問題はない、だって皆にエンジェルの仲間を潜ませて確認してるからだ。
エンジェルの能力に認識阻害があり目の前にいても認識できないのだそのため堂々と監視ができているし守ってもいるのだ。
「この細いのはなんだい?」
カミュが興味深そうに麺を見せながら聞く
「それは僕が開発した麺という食材だ。」
と半分嘘を交えて答えると
「コレも良いな、保存はできるのかな」
と独り言を言っていた。
夕方頃になって他のチームも戻ってきたが皆疲労困憊のようだ。
僕は自分たちのテントの側に簡易の浴室を収納から出して準備を始める。
その様子を見ていたカレンが聞いてきた
「シャドー君、コレはなんなの?」
「よくぞ聞いてくれました、こんなキャンプや野営では何が一番ほしい?」
と言う僕の質問に
「そうね、温かい食事、よく眠れる寝具、安全な場所、そしてトイレとお風呂かな。でもそこまでは無理だろうけど。」
と言う言葉に
「あ!トイレは忘れてたな。ごめん今準備するよ。」
と言いながら僕は今完成した簡易風呂場の横に簡易トイレを取り出して据えた。
「コレを見て」
と言いながらカレンに風呂とトイレを説明すると
「凄すぎて言葉にならないわ、ありがとう。早速チカと使って良い?」
と言う言葉に「どうぞ」と言いながらほくはフカフカのタオルを手渡していた。
ーー カレン side
全行程が終了し私達のチームは最速で外周にたどり着いた。
早速当然のようにシャドー君は、今夜のキャンプの準備と食事の準備をしていた。
美味しい食事の後シャドー君がまた何かを取り出して準備している、小さな小屋のようなものだ。どれだけのものを収納できるのか興味が尽きないがそれが何なのかも知りたくて声をかけた。
「シャドー君、コレはなんなの?」
「よくぞ聞いてくれました、こんなキャンプや野営では何が一番ほしい?」
と逆に質問されて
「そうね、温かい食事、よく眠れる寝具、安全な場所、そしてトイレとお風呂かな。でもそこまでは無理だろうけど。」
と答えた私の答えに慌てたように、それは忘れていたと謝罪して更に何かを取り出して据えつけていた。
暫くするとその説明をすると言いなが私を案内する。
それはお風呂とトイレだった、まさかこんな辺境の地で・・・もはや彼に実現できないことはないのではないだろうか。
私はチカを呼んで2人でお風呂とトイレを使わせてもらう、たっぷりのお湯を使ったお風呂は絵も言われぬ快適さだった。
風呂上がりに渡されたタオルも見たこともないほどの柔らかさで2人で顔を見合わせて
「これ貰えないかな」
とはしたないことを口しにて思わず笑った。
風呂からら出た私はチカに先生にも教えてきてと頼んでテントに入った。
テント内には鏡台が置いてあった、本当に便利すぎるシャドー君。
「あなたを逃すことは私の未来にはないわね。」
そう言いながら私は薄く笑った。
ーー サファイア side
チカが
「サファイア先生、お風呂とトイレがあります。どうぞ案内しますのできてください。」
と言ってきた。
こんな辺境でお風呂だなんて信じられないが・・・彼ならあり得る、トイレは正直嬉しい。
私は着替えを用意するとチカの元へ、案内に従い彼女らのテントの奥に。
そこには小屋が二つ
「大きのがお風呂で小さなのがトイレです。」
と言われて私はお風呂と言う小屋の扉を開けた。
そこは脱衣所、その奥に扉を開けると木製の湯船にたっぷりのお湯が張られていた。
脱衣所には真っ白く柔らかそうなタオルが数枚。
チカは「そのタオルも使って良いので」と言っていたが物凄く高級そうなタオルだ。
風呂場に入り洗い場の椅子に腰を下ろすと目の前に身体用、髪用、顔用と書かれた入れ物が置かれていた。
どうやら洗剤の類のようだ、最近王都では石鹸と呼ばれるものがで始めたと聞いたが、汚れは落ちるが匂いがきついと聞いたことがある。
そっと匂いを嗅ぐととても良い香りがした。
先ずは身体用の物をタオルにかけて擦るとものすごい泡立ち、香りを楽しみながら身体を洗うとコレでもかと言うほど綺麗になった。
その後は髪を洗い最後に顔を洗うと側に大きな姿見の鏡があるに気づいた。
コレほどの鏡はかなりの値が張るはずだが・・・。
鏡の中の自分の顔は一皮抜けたように白く綺麗になっていた。
その後泡を綺麗に流し湯船に浸かる
「あーっ」
思わず心地よさに声が出て赤面してしまった。
たっぷり堪能した後、脱衣所でフカフカのタオルを使い身体を拭き上げてトイレを使って見た。
コレも驚きの連続、こんな場所に魔導具を付けたトイレ、匂いもしないし音も漏れないようだ。
そう言えばあのお風呂のお湯も汲み出しても全然量が減らなかった、あれにも魔道具が使われていたのではないか?
もう彼の使う道具のない生活は考えられないかもしれない。
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