激突
「・・・・・」
穴口は警察署で大破したパトカーと
パトカーに積まれていた自分の自転車を目の前にしていた。
「・・・・・何が有ったんスかこれ?」
穴口もこれには放心状態である。
「トラックがパトカーに突っ込んだ」
「・・・・・」
警官の説明を聞いても訳が分からない。
「何かの事件ですか?」
「トラックは盗難車で昨日盗難届が出されて昨夜パトカーと激突した
事件性が有るのかないのかは分からない、 盗難事件だとは思いますが
流石にパトカーに、 警察に喧嘩売って来る奴が居るとは・・・」
「犯人は?」
「捕まっていないし手がかりも無いですね」
「監視カメラとかは・・・」
「周囲には無いです」
「この令和の時代に?」
「・・・・・」
言い難そうにする警官。
「何で黙るんですか?」
「えー・・・実は近辺の高校に警察の上層部の御子息が居まして」
「何となく察しました」
恐らく小学の悪事を記録させない為にカメラの取り付けを禁止しているのだろう。
「それで・・・その・・・乗っていた警官の方は?」
「一人死亡、 一人が重傷を負っています」
「・・・・・」
何方が死んだのかは置いておこう。
パトカーに突っ込んで来る奴なんて無理だ。
ハッキリ言ってここまで命をかけてやる案件ではない。
自転車は残念だったが保険がおりる。
それなりに良い自転車だったので良い保険に入っていて良かったと
穴口は心底思った。
その後、 パトカーで事務所に帰された。
外からは夕日が見える。
「・・・・・はぁ」
久々に厄介な案件だったが断りの連絡を入れてもう今日は寝よう。
スマホから依頼人に連絡をする。
『見つかったか!?』
「いや、 すまないが降ろさせて貰う」
『な、 何故!? 金か!?』
「命の問題だ」
『命!?』
「俺の他にも小学を嗅ぎまわっていた連中が居た
その連中がトラックが激突して亡くなった」
『何だとぉ!?』
依頼人は驚いていた。
「小学の取り巻きの最後の1人も死んでいた
いや、 自殺に見せかけて殺されているかもしれん
ハッキリ言って今回の依頼はこんな事が起こると想像していなかった
前金は返すから返金の口座を」
『ま、 待って!! 待ってくれ!!』
依頼人が絶叫する。
『す、 すぐそっちに行く!!』
ぶち、 と電話が切れた。
「・・・・・」
流石にこのまま応対は危険と感じビル内の警備員をこちらに呼ぼうかと思った時。
ドッン!!
「!?」
思い切り扉が叩かれた。
「もう来たのか!?」
困惑を通り越して恐怖を感じる穴口だった。
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