巨乳女騎士を添えて~復讐、大軍襲来もあるよっ!
「ヒッ、ヒイイイイ!! やめっ――」
「来るなッ! 来る――」
「ゲーヘッヘッヘ!! テメーは食人植物の巣に転移させてやろうッ! ゲヘッ、どこ行くんだァ? テメーは底なし沼に、テメーは地獄ヒルの群生地に、テメーはヴォックスが趣味でやってる温室の盆栽エリヤに転移してやろう! ゲーーヘッヘッヘ!!!!」
「うわー…心底楽しそうにやってるなあ」
乳山は甲板に、何かの木箱を運びながら戦闘…というか、嫌がらせを遠目から眺め、敵の背後に転移すると、そいつに触れ、どこかへと転移させる様子を、横目で見ながら呆れたように溜息を漏らす。
「というか、なんであんなに振動してるんだ、絵面的にそこそこキモイんだが」
〔オソラク、転移ニヨルモノデショウ、細カク指定シタ座標ニ転移スルコトデ空中ニ留マッテ、アノヨウニ、飛行シテイルモノト推測シマス〕
「…本領を発揮するとか粋がってたが、それがこの嫌がらせってわけか、つくづく、アイツはどうしようもないな……」
もはや攻撃する意思などみじんも感じられず、逃げ惑う羽付きの魔族たちに、笑いながら転移を繰り返し、残り一人まで処理したが。
「ゲーヘッヘッヘ…! ウッ…ゲーヘッ…オエッ、振動し過ぎてそろそろ限界だ」
最後の一人を、ヴォックスの部屋の下着が入っている箪笥へ転送し終えると、船に向かって戻ろうと踵を返すが。
突然、魔王島の方から雄たけびが聞こえ、それと共に島の森が大きく波打ち始める。いや、波打ったように見えたのは森ではなく、森の一部を覆いつくすほどの大群。
飛行している魔族の軍隊だった――。
「うわうわうわうわ! 何だあれ!? 何だあの大軍は!」
〔ピー、推定サレル敵兵約千体、直チニ排除ヲ要求シマス〕
「排除って! 無理に決まっているだろう! さっきの奴らとは桁違いに大きいし、何より、装備もしっかりしていて、めっちゃめっちゃ強そうだぞ!? というか、他人事みたいに言っているが、この船が遅すぎるのが問題なんだ! もっとスピード上げろ!!」
〔ソレハ無理デ…オ、オ辞メ下サイ、甲板ヲ剣デ切リ付ケテモ早クハナリマセン、ホ、ホントニ、八ツ当タリハオ辞メ下サイ!〕
俺はいつも通り無茶な注文をしている乳山の元に帰ると、ひとまず、ポンコツ魔力炉に話しかける。
「おいポンコツ、この船の大砲は使えんのか?」
〔ハイ、何ト言ッテモコノ船ハソコガ魅力ノ主力艦デス、搭載サレタ魔導砲ハ百ト一門、全テ発射可能デスヨ、能無シ〕
「よし、なら、舵を切れ、船体を横にしたらそのまま、あの大軍向けて打ちまくれクソったれ」
「ま、待て、迎え撃つのか!? あの量を!? 無謀だぞ!」
「だったらどうすんだ、この速度じゃ逃げ切るのは不可能だぞ?」
乳山は俺の提案に食ってかかるが、そこまでは考えていないようで、少しの沈黙の後、思い出したかのように俺の右手に取り付けられた指輪を指さし、抗議する。
「ああ! そうだ、指輪を使え! ここから島の逆側ギリギリに転移すれば、そうすれば、逃げ切れるかもしれないだろう!?」
「逃げ切れるかもしれないが、逃げ切れないもしれない、成功率は半々ってところだ」
「何故だ! なぜ渋る!? このまま戦う方がよっぽど無茶だと思うが」
〔ハア…、コレダカラ乳ニ栄養ヲ吸ワレタ牛豚ハ……〕
「なんだ? このポンコツ、今私にものすごい失礼なこといわなかったか!?」
〔ア、ワ、分カリマシタ謝リマス、ダカラ、甲板ヲ傷ツケルノハ止メテクダサイ!〕
「……」
話進まねー…。
このピンチに何やってんだコイツらは、二人とも転移の指輪で空中に放り出してやろうか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます