自殺教唆クラブ

佐久間 譲司

第一章

 薄黒い靄のようなものが辺りを漂う平原に、天海俊孝あまみ としたかは、降り立っていた。


 空はハルマゲドンの到来を想起させるような、赤と黒を基調とした禍々しい色に変化している。まるでベクシンスキーの絵の中みたいだ、と思った。


 ふと自身の体を見下ろすと、青い法衣のようなものを身に纏っていることに気がつく。そして、手には赤い宝珠がはまった柏の杖(ワンダ)。


 顔を上げ、正面を見てみる。いつの間にか、人がいた。その人物は、人のサイズほどもある斧を持ち、筋骨粒々とした背中をこちらに向けている。肉体には、古代ローマの剣闘士のような鎧を身につけていた。


 俊孝はそこで、ああ、と悟る。


 これは、いつもやっているネットゲームの一幕なのだと。


 目の前のウォリアーは、相方のキャラクターだろう。そして自分はウィザードである。


 俊孝は、安堵する。なんだ、ただのゲームか。


 しかし、おかしなことに気がつく。普段プレイしているゲームは、背後から操作キャラクターを映し出す、三人称のカメラワークだったのだが、今は人が見た視界を直接映し出す一人称である。つまり、FPSゲームのような主観視点であった。


 仕様が変わったのかな? と思う。運営からのアナウンスはなかったが、元々から見切り発車ばかりの追加をやる運営だったので、また今回もその類なのかもしれない。


 俊孝がぼんやりとそんなことを考えていると、自分、そして、目の前のウォリアーの視線の先に、何かが現れた。


 地面から、やせ細った猿のような生き物が『生えて』きたのだ。


 これには見覚えがある。ゴブリンだ。


 ゴブリンは、次々に姿を見せ、ついには百五十体ほどにまで増える。学校の一学年ほどの人数だ。


 そのゴブリンの群れは、一斉にこちらに向かってくる。それはヌーの大移動を思わせた。


 静謐な平原は、たちまち合戦のような有様になった。


 俊孝よりも前にいるウォリアーの反応は、素早かった。先陣を切ったゴブリンの胴体を巨大な斧で両断すると、次から次へと飛びかかってくるゴブリン達を、容易く蹴散らしていく。


 俊孝も負けじとウォリアーに補助魔法をかけ、続いて攻撃魔法でゴブリンを攻撃する。手馴れたメソッドだ。


 少しの間、戦火の共鳴音が辺りを包む。やがて、大勢のゴブリン達は、急速にその数を減らしていった。


 いくら人数がいようと、ゴブリンは相手ではなかった。敵モンスターの中では、最下層に位置するほど弱く、いわゆる雑魚モンスターの部類である。もしもこれが、上位種であるハイ・ゴブリンなどであれば、物量を前に、多少の苦戦は覚悟しなければならないのだが……。


 戦闘の業火が止み、平原はあっという間に、ゴブリンの屍が広がった。辺りを漂っている薄靄と、邪悪な空の色のせいで、ひどく凄惨な光景に見える。ゲームなのに、やたらとリアルだ。血と臓物の臭いすら漂ってきそうだった。


 俊孝は、構えていた手のワンダを下ろし、戦闘モードを解除する。そして、無傷でゴブリン達を虐殺したウォリアーの背中を眺めながら、ある現象を待つ。


 敵モンスターを撃破すると、オレンジ色のエフェクト共に経験値オーブが手に入る。今回の戦闘は、このゴブリン集団が一つのオブジェクトとして機能しているはずなので、一体倒す度にオーブが手に入るのではなく、集団を討伐して初めてオーブ入手が可能な仕様であると思われた。つまり、今この瞬間に経験値が増えるのだ。


 だが、いつまで経っても、経験値の入手は行われなかった。モンスターを討伐すると、必ず経験値が入手できる。それが行われないとするならば、システム的な問題、エラーやバグの可能性がある。極稀に起こりうることだ。


 だが、それ以外にも一つ要因が存在していた。


 それは、敵のモンスターが死んでいない場合だ。こちらが相手を討伐したと思っていても、実際、達成できていなければ、フラグが立たず、当然ながら経験値の入手は不可能となる。


 俊孝はハッとした。それまで躯となって地面に倒れ伏していたゴブリン達が、次々に立ち上がったのだ。両断され、銅が真っ二つになった者でさえ、いつの間にか再生し、何事もなかったかのように体を起こしている。


 草原は当初と同様、ゴブリンの群れがひしめき合うエンカウントエリアとなった。

 俊孝は、再び戦闘態勢に切り替えた。ワンダを構え、迎撃の姿勢を取る。目の前のファイターも、斧を水平に持つ。


 ゴブリンの群れは、まずファイターに踊りかかった。ファイターは、通常攻撃で対応するようだ。斧を持った腕に、力がこもったことが確認できた。


 ゴブリンが先ほどのような再生能力を有していることは、前代未聞だったが、それでも大した問題ではなかった。何度復活しようと、所詮はノーマルゴブリン。容易に捻りつぶすことが可能だ。


 ファイターが水平になぎ払った斧が、ゴブリン達を捉えた。後はこれまでと同じように、次々に切り倒されるはず――だった。


 だが、予想外の光景に、俊孝は目を見開いた。


 先頭にいたゴブリンに当たったはずの、人間大サイズほどもある斧は、ブロック菓子のように、いとも簡単に砕け散った。


 本来それは有り得ない現象だった。このゲームには、武器破壊のシステムなどない。何があろうと、刃こぼれ一つせず、新品同様にいつまでも使用が可能なのだ。それは防具も同様である。ゲームならではの都合だった。


 しかし、ファイターの斧は、無残にも砕け散った。これも運営側が、システム的な仕様変更を行ったせいなのかもしれない。そう思った。主観視点へと変化したのもそうだが、武器破壊まで有するようになったことをアナウンスしないのでは、あまりにも杜撰だと言わざるを得なかった。


 そして、さらに驚愕する出来事が起こる。ゴブリン達は、ファイターに飛びかかると、その体に喰らいついた。ファイターは倒れ込み、その上にゴブリン達が折り重なる。


 血が飛び散った。血だけではない。肉片や内臓らしき塊が周囲に散乱する。ゴブリン達は羆のように、ファイターの肉体を撒き散らしながら、貪り食っているのだ。それは鳥葬を思わせた。


 やがて、轢死体のように無残な肉塊となったファイターは、事切れた。本来のように、光に包まれ、リスボーンのためのロストが行われることもなく、その場で躯と成り果てているのだ。


 自分達の今のレベルと装備では、ゴブリンに負けることなどまずありえない。そもそも、システム内部の防御係数の関係で、向こうはこちらに一ダメージすら与えることはできないはずである。極々稀に、同デザイン、同種族ながら、突然変異的に生まれ出る強敵、HGM(ハイグレードモンスター)と相対することはあるが、これほど強いやつは見たことも聞いたこともない。それに、根本的に、それとは違う気がした。


 ゴブリン達はこちらに一斉に目を向けた。猛禽類のような眼球。そこには、強い殺意が込められていることが、見て取れた。


 俊孝は、そこで初めて思い当たる。どうして今まで気がつかなかったんだろう。


 実際のゲーム画面は、コンソールやコマンドアイコンなどのインターフェースが表示されているが、今の視界には、それらが存在していなかった。


 これは、つまり、ゲームなどではなく、現実なのだ。


 ゴブリン達が次々にこちらへ襲いかかる。


 俊孝は悲鳴をあげた。


 ゴブリンの血に塗れた牙が肩に食い込む。俊孝は、仰向けに倒れた。

 その体に、複数の牙がかかる。


 全身に、引き裂かれるような痛みが走った。

痛い、痛い。


 体を貪り食われながら、俊孝は、呆然と思う。


 何ということだ。これは現実だ。俺は、生きながらゴブリンに全身を食われているんだ。


 ゴブリンの牙が、蛇のような腸を引きずり出したところで、俊孝は恐怖と痛苦に、絶叫をあげた。




 六月初旬の朝日が照りつける中、俊孝はほぼ全力の走りで通学路を駆けていた。理由は学校に遅刻寸前だったからだ。原因は妙な夢のせいだ。アラームをスルーし、起きたところ、すでにデッドライン。すぐさま飛び起き、家を出た。


 通学路を全力疾走し、ようやく駅前へと辿り着いたのだ。


 俊孝は駅前の交差点を渡り、青葉台駅へと駆け込んだ。とうに息はあがり、汗も滲み出している。六月に入り、制服はすでに夏服へと衣替えを行っていたのだが、それでも熱を逃がす放熱システムとしては不充分で、体は古びた車のエンジンのように、熱がこもっていた。


 とは言っても、自宅がある松風台からここまで走ってきたので、ヒートアップは当然の話である。日頃の運動不足を抜きにしても、汗をかくのは仕方がない。自分はマラソンランナーではないのだ。


 青葉台駅の北口から駅構内へと入った俊孝は、通勤や通学で大勢の人間が行き来する中、中央改札機へと辿り着いた。定期券を投入口に挿入し、ホームを目指す。


 二番線ホームには、東急電鉄のシルバーの列車が停車していた。もうすでに発車寸前だった。


 俊孝が列車に乗り込むと同時に、背後で扉が閉まった。そして、走り出す。


 俊孝は、ホッと胸を撫で下ろした。ギリギリのところで間に合ったようだ。この列車を逃すと、学校に遅刻する恐れがある。まさに間一髪、と言えた。


 揺れる車内で、俊孝はハンカチで汗を拭い、息を整える。


 幾分か落ち着いたので、周りを見渡した。


 列車内は、いつものように、多数の人間がひしめき合っていた。山手線ほどではないにしろ、田園都市線なので、ここも相当である。スーツ姿のサラリーマンや、OL風の女性など、様々な格好の人間がいる。俊孝と同じ高校の制服を着た生徒も目に付いた。


 座席は当然、一つたりとも空いてはいなかった。座りたい欲望があったのだが、どの道三駅しか乗らないので、このままでいいや、と思う。


 俊孝は今いる場所から一歩も動かず、そのまま窓の方へ体を向け、外を眺める。


 窓の外は、青葉台の区画整理された綺麗な街景色が流れていた。


 神奈川県横浜市に位置する青葉台は、非常に住みやすい街として評価が高かった。駅周辺には東急スクエアを始めとする商業施設が豊富に存在し、普段の買い物にも事欠かない。また、交通の便もよく、東急を使えば、渋谷や横浜へも三十分もあれば到着することが可能だった。


 元は丘を切り開いて造られた土地らしいので、坂が多いという欠点はあるが、そこに目を瞑れば、治安や街並みも良く、子育てにも適している。駅から少し離れれば、緑が充実した公園や土地も目にすることができ、そこも魅力の一つだった。


 列車は程なくして、隣駅の藤が丘へと到着した。大勢の人間が吐き出され、入れ替わるようにして、大勢の人間が乗ってくる。一瞬だけいくつか席が空くが、椅子取りゲームの如くすぐさま人が座り、俊孝が分け入る隙はなかった。


 再び列車は走り出し、車窓の景色が後ろへと流れ行く。


 俊孝は、昭和大学藤が丘病院の白い建物を見ながら、早朝マラソンの一因となった『夢』のことについて考える。


 相当リアルな夢だったと思う。今もあのゴブリン達に食い荒らされた腹が、痛むようだった。


 あんな夢のせいで夜中に飛び起き、しばらく眠れなかった。再び眠りについたのは日が出始めた頃で、ついつい起床時刻をスルーして眠り続けてしまったのだ。無意識に停止していたスマホの目覚まし時計を見て、慌てて起きた後は、飯も食わずに家を飛び出し、今に至る。間に合って本当に良かったと思う。


 しかし一体どうして、あんな夢を見てしまったのだろうか。


 という、今では死語に近い単語が、俊孝の頭をかすめる。


 厳密には別物だが、普段からのめり込んでいるネットゲームの影響で、夢にまで現れたのかもしれない。いささか深刻だ。依存症と言えるほど熱中しているつもりはないが、毎日夜遅くまでやっていることは事実だった。今のところ、日常生活に悪影響を及ぼすまでは至らないものの、その片鱗が垣間見えてしまった。今日のような状況が続くようでは、控えなければならないだろう。


 もっとも、今日出遅れたのは、いつもタイムリミットが迫ったら起こしてくれる母の恵美子が、同じように寝坊したせいでもあった。父の武雄が出張でいないため、油断したのだろう。普段ならこうはならないはず。


 そうは言っても、寝坊の原因を母に求めるのは、少々甘え過ぎではあるが。いずれにしろ、ある程度の自戒は必要なのかもしれない。もうあんな夢は見たくなかった。


 俊孝は、窓から視線を逸らし、ポケットからスマートフォンを取り出す。そして、LINEやツイッターのチェックを行う。目ぼしい着信はなかったため、ネットのまとめサイトを流し読みする。


 そうしている内に、列車は高校最寄の駅、江田駅へと到着した。




 俊孝の通う公立東稜とうりょう高等学校は、青葉台から三駅離れた横浜市都筑区に存在していた。


 東陵高は、横浜市内でも上位に位置する進学校である。偏差値も高く、早慶上理ICUやGMARCHなどへの進学も多い。


 それなりの高校であるため、風紀を乱す輩は少なく、上質な高校生活を送ることが可能だった。


 だた、唯一の欠点を上げるとするならば、制服がダサいことであった。これは生徒間の話題や、風評にも顕著に現れており、皆口を揃えて「あの制服はありえない」と漏らしている。


 ファッションに疎い俊孝でさえ、同様の意見だった。まるで旧日本軍の軍服を暇な老人が適当にアレンジしたような、アウトオブデート的なデザインは、さすがに閉口してしまう。驚くべきことに、女子すら似たような趣向であるため、ファッションを重視する女子からは、すこぶる評判が悪い。


 幸いにも、今は夏服へと移行している期間であるため、制服の持つキッチュな力は、充分に発揮できてはいなかった。そこだけは救いである。


 俊孝は、江田駅にある東口から外に出て、歩き始める。周囲は通勤する大人の姿もあったが、学生服姿の人間の方が多かった。


 東名高速道路の高架下を通過し、国道二百四十六号線、厚木街道と呼ばれている道路を抜ける。そして、そのまま県道に入り、東稜高へ向かうため、南下する。


 後は一本道であり、このまま道なりに進めば、高校へと辿り着く。二年間通い続けたため、飽きるほど通った道だった。


 やがて、県道沿いに、クリーム色の建物が見えてきた。俊孝は、周囲の生徒に混ざりながら、運動場と校舎に挟まれた校門を通り、東陵高の敷地内へと入った。


 下駄箱で上履きに履き替え、自クラスである二年四組を目指す。二年生のクラスは、本校舎の三階に揃えられていた。


 階段を上がり、二年生の教室が並列する廊下を歩く。教室は階段に近い側から順に、一組、二組と並んでおり、俊孝のクラスは一番奥にあった。


 途中、二組の教室の側を通り過ぎる際、内部をチラリと覗いてみる。


 すでに登校を終えた二組の生徒達が、始業までの時間を思い思いの形で過ごしている。そのような中、場違いな物が目についた。


 教室の一番後方にある机の上に、真っ白い百合の花が、地味な花瓶と共に供えられているのだ。供花であり、すでに席の主はこの世にいないことを無言で表わしていた。


 それは坪井順子つぼい じゅんこの席であり、少し前に『とある理由』によって亡くなっていた。記憶によれば、順子の席は、教室の中央に位置する場所にあった気がするのだが、後ろの席の視界を遮るということで、一番後方に追いやられてしまったのかもしれない。


 少し薄情な気もするが、仕方がない話だ。そして、そうやっていずれは、花も机も撤去され、時間が経つごとに、クラスメイト達の記憶からも消え去っていくのだろう。


 去る者は日々に疎し。元は南朝梁の昭明太子の文選にあった言葉だったと思うが、人の心の移ろいようは、少し残酷な気がする。順子が死んだ時の二組の女子達や、他クラスの友達は、ほぼ全員が恋人を失ったかのように泣きじゃくっていた。だが、その悲哀すらも、月日の流れと共に風化していくのだろう。それは、順子の家族とて同じのはずだ。


 もっとも、二組の女子に限って言えば、そもそも泣く資格などない気がするが。


 順子の葬式を俊孝が見物に行った際、号泣する女子達を見て、首を捻ったものである。あれが俗に女性が持っていると言う『共感性』というやつなのだろうか。不思議である。


 俊孝は、二組を通り過ぎ、自身の教室へ向かう。順子の机の上に供えられた百合の花が、そのまま自分の成果の証のような気がして、気分が良くなった。


 午前の授業の最後となる英語の時間。英Ⅱの教科書に記載されている内容を、桝本純佳ますもと すみかが流暢な英語で喋っている。


 それはマザー・グースの童話の一つ『十人のインディアン』だった。

 

 Ten little Indian boys went out to dine;

 (十人のインディアンの少年が食事に出かけた)

 One choked his little self and then there were nine.

 (一人が喉を詰まらせて、九人になった)

 Nine little Indian boys sat up very late;

 (九人のインディアンの少年が遅くまで起きていた)

 One overslept himself and then there were eight.

 (一人が寝過ごして、八人になった)

 Eight little Indian boys travelling in Devon;

 (八人のインディアンの少年がデヴォンを旅していた)

 One said he'd stay there and then there were seven.

 (一人がそこに残って七人になった)

 Seven little Indian boys chopping up sticks;

 (七人のインディアンの少年が薪を割っていた)

 One chopped himself in half and then there were six.

 (一人が自分を真っ二つに割って、六人になった)

 

 純佳のリズミカルなスピークイングリッシュが、教室内に響く。


 純佳の英語を耳にする度に、こいつはネイティブ並の英語力を持っているのではと思ってしまう。それほど上手いのだ。


 純佳は、スピーキングに限らず、ヒヤリングやライティングもこの高校においては、トップクラスの成績を誇っていた。前に小耳に挟んだことがあるが、将来は語学留学を経て、英語に関わる仕事に就きたいという夢があるらしい。


 純佳はさらに『十人のインディアン』の文章を読み続ける。

 

 Two Little Indian boys sitting in the sun;

 (二人のインディアンの少年が、日向に座った)

 One got frizzled up and then there was one.

 (ひとりが日に焼かれ、一人になった)

 One little Indian boy living all alone;

 (一人のインディアンの少年は一人ぼっちで暮らしていた)

 He got married, and then there were none.

 (彼が結婚し、そして誰もいなくなった)

 

 純佳が読み終わると、中年の英語教諭、及川は、感嘆の溜息と共に肩をすくめ、純佳を誉めそやした。「グレートSUMIKA!」


 俊孝は、後方にある自分の席から、右前方に立っている純佳の顔を伺った。


 角度の関係で完全には見えないが、ナチュラルショート風の横顔に、朱が差したように感じた。おそらく今は、優しげな顔をほころばせて、喜んでいるに違いない。


 純佳が椅子に座ると、授業は進み始める。次は『十人のインディアン』の和訳だった。


 その和訳を聞きながら、俊孝は、つくづくこの童謡が陰気なものであると実感していた。


 そもそもマザー・グースはイギリスにおける伝承童謡の集合作であり、童謡と冠する通り、主に子供達に読み聞かせするものが多い。


 マザーグース内の作品群は、様々な形式で作られ、数え歌や子守唄など多岐に渡っている。この『十人のインディアン』を始め、『クックロビン』や『一人の男が死んだ』など、子供の精神的発育に悪影響を及ぼしかねない陰惨な内容のものも少なくなかった。


 そのようなものをポリティカル・コレクトネスが盛んな昨今、野放しにしておくのはいささか世相に反するのではと、疑問を呈したくなる。


 もっとも、それらは子供に対して引用される場合、ソフトに改変されるか、そもそも除外される場合がほとんどらしく、そこまで問題視はされていないのかもしれない。こうやって高校の英語教材に紛れ込んでいることがあるが、それはもう対象である高校生が、物語から悪影響を受けるほどの年齢ではないと判断された結果なのだろう。


 それが正しいかはわからないが。


 及川教諭は和訳を解説し終わると、派生について言及した。


 「この『十人のインディアン』は、イギリスの小説家アガサ・クリスティの作品『誰もいなくなった』のモデルとなった童謡なのです」


 そう説明したものの、教室にいるほとんどの者は、無反応だった。進学校とは言えど、昨今の読書離れのせいか、アガサ・クリスティなどそもそも存在すら知らないか、あるいは名前くらいは知っている程度なのだろう。俊孝は中学生の時に読了済みであり、いたく感銘を受けたクチなので、せめて後者であって欲しいと願う。


 それにしても、と俊孝は思う。今の及川教師の説明は、根本的にテーマのチョイスをミスしている気がする。教科書には記載されていない内容であり、生徒の気を引くための薀蓄なのだろうが、逆効果だった。


 第一に当該作品を読んでいれば、原典を知ることができる内容であるため、読了した者には説明が蛇足なのだ。そして、知らない者にとっては、掻い摘んだ断片的な内容を話されたところで、理解も感慨も生まれるはずがなく、どうでもいいと思わせる必要のない説明である。つまり、これで知ることが出来るものは、及川教諭の授業におけるマネイジメント能力の低さくらいだろう。


 興味を示さない生徒の反応に、及川教諭は、薄くなっている頭を一つ掻くと、諦めず説明を続けた。


 「劇中にも『十人のインディアン』の童謡が出てきますが、それはアガサ・クリスティ女史の手によって改変されています」


 そう喋りつつ、及川教諭は黒板に英文を書き出した。


 見覚えのある文章である。先ほど純佳が読んだ『十人のインディアン』の最後の一文が、少し書き換わっているのだ。

 

 One little Indian boy left all alone;

 (一人のインディアンの少年が後に残された)

 He went out and hanged himself and then there were none.

 (彼が自分の首を吊り、そして誰もいなくなった)


 及川教諭が和訳まで書き終ったところで、終業を告げるチャイムが鳴り響いた。


 昼食になり、俊孝は購買で買ったパンを自分の席で食べていた。普段は母が手作り弁当を用意してくれているのだが、今日は母息子共々、寝坊してしまったため、パン食を余儀なくされていた。幸か不幸か、母からこれで何か買って、と千円もの大金を渡されていたので、お釣りは丸々懐に入れることにする。後で返却を要請される可能性はあるが、全部使ったことにして押し切ろうと思う。




 安い惣菜パンを食べ終えた俊孝は、手洗い場で歯を磨き、再び自分の席へ戻った。


 そして、クラスメイト達が、周りで雑談やはしゃぎ回る喧騒の中、俊孝は通学鞄から一冊の本を取り出し、読み始める。


 本のタイトルはベル・ジャー。アメリカの詩人シルビア・プラスの自伝的小説で、世界的に有名な作品である。


 内容は鬱々としたものだった。


 主人公エスターは、十九歳になると奨学金を貰い、文章の勉強のため単身ニューヨークへ移り住む。光り輝くニューヨークにて、エスターは新生活を始めるが、次第に自身と外界の隔たりを感じ始め、やがて夢を追うことにも行き詰る。出会った男性達の卑怯な二面性や、自分の居場所を見出せないことから、精神を病み、故郷へと戻る。


 故郷に戻ってからもエスターの精神状態は悪化の一途を辿り、夢を目指すことすら不可能で、頭に思い浮かぶのは自殺とそれを決行する場所のことのみ。ベール・ジャー(ガラスの覆い)から抜け出せなくなったエスターは、やがて自殺未遂を起こしてしまう、といった展開である。


 作者であるシルヴィア・プラスは、三十歳の時に自宅のオーブンに顔を突っ込み、ガス自殺で死去している。この小説が自伝的作品だと銘打たれている通り、エスターの心情は、そのまま希死念慮に取り憑かれた作者自身の感情とリンクしているのだろう。エスターは挫折や疎外感で自殺を考えたが、作者も同じだということだ。


 往々にして希死念慮を抱える者は、その根底に孤独と周囲からの疎外感がある。理解者に囲まれているなら、自ら死は考えないということだ。ましてや、微妙な年代の少女なら、なおさら孤独や疎外感は死に直結するに違いない。


 俊孝がページを捲り始めて、数分が経った頃。教室の前方から大きな笑い声が聞こえてきた。


 顔を向けてみると、川戸聡史かわと さとしがクラスメイト達と楽しそうに談笑している姿が目に入った。聡史のやんちゃそうな目が、三日月形に曲がっている。


 聡史は二年四組の中心人物的な存在で、明朗快活な性格と、整った顔立ちを持った男子生徒だ。俊孝から言わせれば、アメリカの映画俳優「アンセル・エルゴート」に似ていると思っている。バスケ部に相応しい長身を誇り、コミュニケーション能力も高い。成績こそは大したことがなかった気がするが、女子からも男子からも人気があった。


 聡史は、校則から逃れるためか、誤魔化し気味のカミサマッシュの髪をかき上げると、立ち上がり、その場で突然踊り始めた。ロボットダンスのような奇妙な踊りだ。


 脈絡はわからないが、その場のノリやテンションで踊る結果になったのだろう。一緒にいるクラスメイト達も爆笑しながら見守っている。中には、スマホで撮影をしている者もいた。後でツイッターやインスタグラムにでも上げるつもりなのかもしれない。


 盛り上がりの輪が広がり、それまで関係のなかった他のクラスメイト達も聡史に注目している。踊りが最高潮に達した辺りで、教室は爆笑の渦に包まれた。


 俊孝は、そこで顔を逸らし、手元の本に目を落とす。本はちょうど、エスターが自殺未遂を起こし、精神病院に入院するところで止まっていた。


 クラス委員長である坂木真一が礼の号令を行い、今日の授業は全て終了を迎えた。


 放課後になり、俊孝は早々に教室を後にする。いつもはこの後、所属している『情報処理部』の部室へ向かい、作業を行うのだが、今日は気分が湧かなかった。このまま家に帰って、サボろうと思う。部長には嫌味を言われるだろうが、そこは適当に誤魔化せばいい。




 俊孝は、教室から一階の下駄箱へ向かうため階段を降りる。途中、スクールカウンセラーの入谷仁美いりや ひとみとすれ違う。入谷は少し前に、教育委員会から派遣されてきた臨床心理士の女性だ。三十八歳ほどと聞いたが、外見はもっと若く見える。


 入谷は、スクールカウンセラーとして着任しているものの、予想に反して需要がなかったようで、暇を持て余しているのが現状のようだ。今も三階へ上がってきたが、一体何の用だろうと疑問に思う。


 入谷は独身だったはずなので、同じく独身で婚活中の及川教諭にでも呼び出されたのかもしれない。及川教諭は、この期にかこつけて、入谷を口説いているらしいとの噂だった。


 俊孝は、入谷に頭を下げ、下駄箱へ向かう。そして、帰宅部や部活を休むであろう生徒達に混ざって、学校を出た。




 母と二人だけの夕食を済ませた俊孝は、二階にある自室へと戻った。


 八畳ほどの俊孝の部屋は、簡素にレイアウトされている。右奥の壁際には、学習机とその隣にデスクトップパソコンが載った作業机。その反対には、ベッドが置いてあった。後は他に目に付くものは本棚くらいで、テレビやポスターもない。自分でも思うほど、殺風景な部屋だった。


 俊孝は、作業机に座り、黒い筐体のパソコンの電源を入れた。


 静かに唸るようなファンの音と共に、ウィンドウズが立ち上がる。


 この黒い鉄の箱のようなパソコンは、ゲームに特化したゲーミングパソコンだ。有名なパソコン専門店の製品で、性能は高水準。CPUも強化しており、ハイレベルなグラフィックボードの性能を、遺憾なく発揮できる土壌を形成していた。複数の3Dネットゲームのベンチマークを試したところ、平均が一万千五百と、高いスコアを叩き出している。


 ゲームはおろか、動画編集や動画視聴に際しても何一つ不自由がない、ハイスペックモデルのパソコンだった。


 惜しむらくは、その無骨な本体デザインだろう。黒い鉄の箱を小さくしたような、ミリタリーボックスにも似た筐体は、物々しくて色気を感じないのだ。それが良い、という者もいるが、俊孝はあまり好きではなかった。しかし、ハイエンドとも言える性能には満足しているため、大して気になるような欠点ではなかった。


 俊孝は、ウィンドウズのデスクトップ画面に置かれているアイコンの一つを、クリックした。すぐさまゲームクライアントが立ち上がり、読み込みが始まる。


 これは、俊孝が毎日のようにやっているネットゲームだった。今朝の『悪夢』の根源でもある。


 ゲームクライアントは起動を終え、タイトル画面がモニターに表示される。名前は『Sky Face』魔法と神話が融合した3DのファンタジーMMORPGであった。


 MMORPGとは、複数のプレイヤーが、一つの世界に集まり、共にプレイする形式のゲームである。Massively(大規模な)Multiplayer(複数人数での)Online(オンライン)。


 タイトル画面から先へ進み、キャラクター選択画面に移行する。そこで、自身が作成したキャラクターを選ぶ。そのキャラは高レベルまで成長したウィザードだ。ゼウスが身に付けているような白い派手な法衣と、豪奢な金色の杖。いずれも最高峰のウィザード用装備である。


 キャラを選択し終った後、ゲームを開始した。


 最初に映し出されたのは、白い城壁に囲まれた大きな広場だった。そこを様々な姿をした大勢のプレイヤーが行き来している。広場の外周には、アイテムや武器が売買できる露天も見えた。


 広場の中央には、フランスのロトンドの噴水を思わせる、大きなモニュメントが設置されていた。上部には、杯型の台座が置かれ、白い女神像が上で佇んでいる。豊満な肉体をそなえた女神で、これがこの街『デメテル』の信仰の対象であり、名前の由来でもあった。


 俊孝は自キャラを操作し、広場を進む。


 この広場周辺は、俊孝が現在拠点にしている街『デメテル』のセントラルエリアだった。『デメテル』のような大型の拠点でログアウトした場合、必ずその街のセントラルエリアからスタートする。つまり、ログインしてくる人間と会いたければ、ここで待ち合わせをするのが一番だった。


 俊孝はフレンドリストを開き、よく共にプレイする仲間のログイン情報を確認するが、誰もまだインしていないようだった。


 俊孝は、少し考えた末、この拠点に存在している自分のホームに行くことにした。


 ホームとは文字通り自分専用の部屋で、装備を整えたり、アイテムを補充したり等、ゲームプレイの統括を担う場所だった。


 そこで作業をしていれば、いずれ誰かがログインするだろうと考えたのだ。


 俊孝は、中世時代のような『デメテル』の街並みの中を歩き出した。ウィザード特有の細身で長身の体躯が、大勢のプレイヤーとすれ違う。


 やがてホームのある区画へと到達した。そして、そこにある自分のホームへと入る。


 中で装備やアイテムを見繕っていると、左下のチャットウィンドウに文字が表示された。色が水色なので、個人用のチャットを受信したのだとわかる。


 『Sky Face』内のチャットは複数あり、用途によって使い分けられていた。


 エリア全体にいるプレイヤーへ届かせることが可能なエリアチャット、パーティのみに伝えることができるパーティチャット、フレンド同士でやりとりが可能なフレンドチャット、そして、特定の個人間のみのやりとりができる個人チャット。


 他にも細かく分ければいくつかあるが、メインはこの数種類だ。


 俊孝は、チャットウィンドウに表示されたメッセージを読んでみる。発信者はSAT。


 『よー。おつ。ベルリ、今日はインが早いな』


 ベルリとは、俊孝のキャラクター名だ。フランスの作曲家、エクトル・ベルリオーズから取っている。


 『今日は部活さぼってすぐに家に帰ったからね』


 『ズリーぞ。こっちはバスケの練習でクタクなのによー』


 『運動部をやる方が悪い』


 『パソコン部に入るよりはマシだよ』


 『パソコン部じゃなくて、情報処理部』


 『同じだろ?』


 『違うぞ』


 テニスのラリーのように、プライベートに関するチャットがやりとりされる。これはいつもの調子だ。向こうもこちらも、相手の実物像を知っているのだ。


 大して興味はなかったが、話を変えるために、別の話題を出してみる。

 

 『そう言えば、今日教室で、突然踊り出したけど、あれ何?』


 『ああ、神山かみやまの奴がロボットダンスを知らないって言うから、試しに踊って見せたんだよ』


 『なるほど』


 今日、クラスの注目を浴びていた人物の姿を思い出す。そしてそれが今、目の前(ゲームの)にいる。


 今チャットしている相手は、同じクラスの川戸聡史であった。聡史もまた『Sky Face』のユーザーなのだ。


 俊孝はチャットを打ち込む。


 『それで今日はどうする?』


 『ジークリンデの強化のために素材を集めたい』


 『オーケー。SAT、お前今どこにいる?』


 ゲーム内では、お互いキャラクターネームで呼び合っていた。これは、ほとんどのネットゲームで見られる現象だ。


 『インしたばっかだから、広場にいる。今からホームに向かうつもり』


 『わかった。俺もホームにいるから、装備を整えたらそこで合流しよう』


 俊孝は、自キャラを操作し、ホームから外へ出る。しばらくホーム前の小さな広場で待っていると、大男を模したキャラクターが側にやってきた。


 野獣のような相貌に、赤い髪。筋骨隆々とした肉体を持ち、背中には、巨大なハルバードを背負っている。


 これが、聡史の操作するキャラクターである。ファイターであり、前線で戦うタイプの戦闘能力重視キャラだ。


 『じゃあ行こうか』


 俊孝は先を促した。


 『他の奴等は?』


 『まだ来てないから、来るまで二人でやろう』


 『オッケー』


 俊孝は、ウィーザードが持つ魔法『トラベルマジック』を使い、目的地まで、聡史と共にワープを行った。


 結果としては、フレンド達は、最後までインしなかった。少し前から懸念していたことだが、ここ最近、フレンド達のイン率が徐々に低下していた。


 フレンドの何人かは、このままゲームを止めるのかもしれない。そんな気がした。


 ネットゲームは、人よりも高レベル、あるいはレアな武器や防具を装備している者が正義であるという風潮がある。そして、それに至るまでには、膨大な時間を消費する必要があった。


 そのため、イン率が低下し、プレイ時間が減った場合、その分だけ遅れを取り、他者よりも、劣等なレベルや装備品でプレイを行わなければならなくなる。それはモチベーションの低下を意味し、さらにイン率が低下、そこからまた引き離される、という悪循環に陥る可能性があった。そしてやがては、ネットゲームそのものからフェードアウトする、といった流れが散見されている。


 顔も本名も知らない者達だが、長時間共にプレイして来たことは事実なのだ。このままサヨナラするのは少し寂しい気持ちもあった。


 結局、聡史と二人だけのプレイが続き、数時間が経った。


 聡史が要望した素材集めは終了し、いくつかクエストをクリアした後、二人はゲームを終えることにした。


 モニターの時計を見ると、すでに十一時を回っている。明日も学校があるのだ。これからやることもあるし、あまり無茶はできない。それに熱中し過ぎると、また『悪夢』を見そうだった。


 二人は『デメテル』のホームへ戻り、ログアウトすることにした。


 俊孝が別れの挨拶を行おうとした際、聡史が個人チャットで、こう訊いてきた。


 『次の標的、見つかった?』


 その聡史の質問により、俊孝の脳裏に、一人の女子生徒の姿が浮かび上がった。


 『ああ、目星をつけたよ』


 『誰?』


 『オンラインゲームのチャットではまずい。今度会って話そう』


 ネットゲームのチャットも、一時的にサーバーに保管されると聞いたことがある。万一、警察に嗅ぎつけられたら、証拠となりうるのだ。もっとも、そこまで探られる場合、相当深いところまで疑惑がかけられている段階になっているはずなので、すでに手遅れかもしれないが。


 それに、個人チャットとは言え、公衆の場同然のネットの中で、『計画』を書き込むのは気持ちが悪い。


 いずれにしろ、警戒はし過ぎるに越したことはなかった。


 『そうか。慎重だな』


 『当たり前だろ。じゃあ寝る。おやすみ』


 『ああ、おやすみ』


 聡史とのチャットを終えると同時に、ログアウトを行う。そしてそのままパソコンをシャットダウンした。


 椅子から立ち上がり、着替えを持って、風呂場へ向かう。


 シャワーを浴びながら俊孝は、次の『ゲーム』の獲物である、三組の女子生徒のことを考えた。


 大人しい女の子だったと思う。吹けば飛ぶような、儚げな印象を持っていた。真面目な人間が多い東陵高生の中でも、さらに輪を掛けた品行方正な生徒であると思われた。


 俊孝は、頭から温かい湯を浴びながら『計画』について思索する。


 今回を入れるとしたら、四人目である。もしも発覚したら、確実に厳罰に処されるだろう。『ゲーム』は『直接手を下さない』ことが肝であるため、殺人罪に問われることはないはずだが、間違いなく保護観察処分などの生温い措置ではなく、未成年と言えど、実刑が下されるはずだ。それは自分の人生にとって、大きな痛手になる。


 だから、慎重にやらなければならない。


 しかし、それでも『ゲーム』を止めるつもりはなかった。これは一種のチャレンジなのだ。クラーク博士も言っていたではないか。少年よ大志を抱けと。


 シャンプーで頭を洗いつつ『計画』を脳内で組み立てる。この思案の時が、一番楽しかった。


 そこでふと、自然に鼻歌が漏れていることに気がつく。


 鼻歌の曲は、ベルリオーズの幻想交響曲第四楽章『断頭台への行進』だった。

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