西色の風

直球ストレート

打たれたその時は

目の前が真っ白になって

ただ立ち尽くした


だけど僕は微笑んでいた

西色の風の中

涙を滲ませて



太く危うい綱の上を

ずっとギリギリ渡ってきた

僕にドラマは似合わない

いつだって脇の脇役


出来ることをひた向きに

やってこれただけ

ただ偶然 仲間に

出会えたからここにいる


こんなにも青空の下に

立つなんて思わなかった

ずっと憧れていた

最高の舞台

僕は渾身の一球を投げる


けれど僕の全力は

軽々と頭上のはるか彼方へ



歓喜と慟哭が入れ替わる



ああ

夢が終わる


瞳に少しずつ湧く涙

もうだめか ここまでか

砕ける覚悟を決めたとき

それは大きな手に包まれた

仲間の大きな手が夢を繋げた



慟哭と歓喜が入れ替わる



目を擦り

頬を叩き

大きく深呼吸


願いをかける

祈りを込める

そして僕はもう一度

全ての勇気を振り投げた


勝負はストレート

たった一球に全てを託す

繋がるか 断ち切るか

答えが出るのはほんの一瞬先


西色の風が吹く場所で

僕らの夢は綱渡り


僕達が憧れた

西色の風の下で


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