詩集
りいな
サルベージ
たまの休日の昼下がり
部屋の片付けが終わらなくて
足の踏み場かないほど
たくさんの思い出が散乱した
「こんなところにあったのか」
呟き僕は目を細めた
「まだ残っていたのか」
伸ばす手は蔑み憐れんでいる
これは僕の証
僕が足掻いた跡
どうにも上手くいかなくて
目をそらし続けた跡
中途半端で 優柔不断で
途中で投げ出して
何もしていないと思っていた日々の
記憶がどかんと音を立てる
大丈夫だ あの頃の僕
君はちゃんと色々やっていた
満足できる形にならなかったけど
拙いながらも 頑張った証が
目の前の思い出が物語る
片手間でも その瞬間だけは
ひたむきだった僕を
僕だけは 僕自身だけは
褒めても良いんじゃないか
記憶の遠くに埋もれた景色を
ほんの少しだけ引き上げた
勝手に時間は流れていく
今まで何をしていたのか
振り返って何も無い
何てことは決して無い
今の僕に力は無くて
大したことなど無いと思っている
何もかもが中途半端すぎて
心臓が殴られ続ける
目をそらしかけた日々に
埋もれる小さな奇跡
これじゃ駄目だと慌てて
全てが空回り
見つけ出せ 探し出せ
僕が通ってきたはずの道
たとえ足跡が隠されても
埋もれた先で音を立てる
大丈夫だ 今の僕よ
君はちゃんと色々やっている
他人に見せられるようなものでも
自慢できるものでも無いけど
必要以上に自分を下げるな
時間が経った少しあと
僕だけは 僕自身だけは
褒められるように
気付けるんだ 気付けたんだ
僕は今 現実を歩いている
あの頃は見れなかった
目をそらし続けた
あの頃の必死だった
現実が引き上げられる
思い出せ 思い起こせ
目を背け続けるな
決して無くならない
全てじゃなくても
あの頃の僕が足掻いた跡
これからも続いていく
大丈夫だ 未来の僕
いつだって僕達は真剣だ
もどかしくても
これで良いかと諦めても
どうしようもなく 苦しくなったら
呼び起こせ 引き上げろ
埋もれた僕らの足跡は
必ず力になる
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