魔剣召喚 ーはないちもんめー

福山典雅

魔剣召喚  業火


 暗礁絶海の憤りが、激烈な大禍を黯然銷魂たる思いで揺るがす。


 昨日の自分を乗り超えて、強さを、誇りを、決意を、俺は胸の中に滾らせる。


 手放すな、落ち込むな、前を見ろ。


 もう時間は少ない、仲間の死を忘れず、失っても、失っても、友の想いを繋ぎ、俺達は進まないといけない。


 望んだ世界じゃない、打ちのめされて、砕け散って、何もかも思い通りに行かず、歯がゆさに滲んで悔恨し、狂おしく魂の血涙を流そうと、情けなく佇むだけでは何も変わらない。


 剣を持て、しくじるな、歯をくいしばれ。


 悔しさが、無念が、怒りが、目の前の地獄を睨みつけ、それでも俺は、俺の矛を収めるわけにはいかない。


 業火が累積する様な切なさを帯び、己を奮い立たせ目の前の惨劇を見つめた。


 死の匂いが満ちた地獄。あらゆる希望を凌駕する絶望。屍に屍が積もる戦場で、俺は血反吐を幾度も吐き、死を見据えて剣を構える。





 血しぶきで哀しみを何度洗い流そうと、


 地鳴りのような慟哭を幾重にも重ねようと、


 絶対に譲れない想いが死滅する瞬間であろうと、


 届かないと狂いそうな絶望に打ちひしがれようと、


 どんなに譲れない意思を踏み躙られようと、


 立ち止まる事は許されない。


 強く己の真を握り締めろ。


「来い!!!」


 絶望を纏う魔剣を携えた禍々しき呪怨の存在。


 俺は血で霞む視界を睨みつけそう叫んだ。





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