魔剣召喚 ーはないちもんめー
福山典雅
魔剣召喚 業火
暗礁絶海の憤りが、激烈な大禍を黯然銷魂たる思いで揺るがす。
昨日の自分を乗り超えて、強さを、誇りを、決意を、俺は胸の中に滾らせる。
手放すな、落ち込むな、前を見ろ。
もう時間は少ない、仲間の死を忘れず、失っても、失っても、友の想いを繋ぎ、俺達は進まないといけない。
望んだ世界じゃない、打ちのめされて、砕け散って、何もかも思い通りに行かず、歯がゆさに滲んで悔恨し、狂おしく魂の血涙を流そうと、情けなく佇むだけでは何も変わらない。
剣を持て、しくじるな、歯をくいしばれ。
悔しさが、無念が、怒りが、目の前の地獄を睨みつけ、それでも俺は、俺の矛を収めるわけにはいかない。
業火が累積する様な切なさを帯び、己を奮い立たせ目の前の惨劇を見つめた。
死の匂いが満ちた地獄。あらゆる希望を凌駕する絶望。屍に屍が積もる戦場で、俺は血反吐を幾度も吐き、死を見据えて剣を構える。
血しぶきで哀しみを何度洗い流そうと、
地鳴りのような慟哭を幾重にも重ねようと、
絶対に譲れない想いが死滅する瞬間であろうと、
届かないと狂いそうな絶望に打ちひしがれようと、
どんなに譲れない意思を踏み躙られようと、
立ち止まる事は許されない。
強く己の真を握り締めろ。
「来い!!!」
絶望を纏う魔剣を携えた禍々しき呪怨の存在。
俺は血で霞む視界を睨みつけそう叫んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます