第10話祝福:皇帝とエレノアの秘密

お二人とも仲睦まじくて素晴らしいですな。とお父様が声をかけて来た。


ええとても、と私は答えた。


ありがとうございます、お義父さん。セレナのこと幸せにします。とアルスが伝えた。


それはいい、そこで今日は、凄い人物が結婚式に来てくれた。

驚くぞ、東の帝国カイゼルからハワード皇帝がいらしてくれた。


まさか…皇帝がこの国に?

まずいわ…でもアルティクスには寄らないわよね?

平常心で会わなきゃ。



ご結婚おめでとう!

ハワードだ、お見知りをおきを。

とてもダンディーなおじさまだ。


ありがとうございます。遠方からわざわざお越しくださり、とても光栄に思います。とアルスが言った。


セレナ嬢のこと幸せにしてやってくれよ。とハワードが言った。


はい! もちろんです。とアルスが答えた。


セレナ嬢、君の父上には大変お世話になった。西の国々と戦争中、安心して駐留出来たからな。


まさに命の恩人だ。そして私は独身でね…君たちが羨ましいよ。とハワードは言った。


皇帝は結婚されないのですかな?

世継ぎの問題とか責められ大変でしょう?

とお父様が聞いた。


失礼じゃない、お父様と私は言った。


ははは、大丈夫だ。昔関係を持った女性の事が忘れられなくてな。私も一途な方で、結婚したかったんだが、少しトラブルになってしまって。


その女性に会う機会があれば謝りたいなと思って。おっと結婚式で大変なことを語ってしまったな。とハワードが言った。



皇帝なのに…偉ぶらない…むしろ暖かみのある人。やっぱりエレノアと血が繋がってるんだな。エレノアの性格の良さを両親から引き継いでいる。と私は感じて思った。



その女性がどこにいるか私は知っている。伝えるべきなのだろうか?


私の家庭教師をしてくれた人で、エレノアの母である、女性…でも皇帝の逆鱗に触れたら?


恐ろしくて伝える事は出来ない。と私は黙っている事にした。


それに伝えるのはエレノアにまずは相談してから、それからよね。と私は思った。


どうかしたかな? セレナ嬢?

と皇帝が心配そうに聞いた。


ええと…皇帝陛下に来てもらえてお話までしてもらえて、その一途な話に感動してしまって。と戸惑いながら言い訳を言った。



そうでしたか。恥ずかしいお話でしたが…その女性に会った国はセレナ嬢の生まれ育った国でして、しばらくしたらその国によってみようかなと。

皇帝が照れながら言った。



それは…まだ待って欲しい。会う可能性も高い…上手く言うしかない。と引き止める策を考えた。


それなら、今度私が招待します。自国に挨拶に行った時にお呼びいたします。と私は伝えた。



悪いな、そうさせてもらおう。とハワードが同意した。


良かった…もしできる事ならエレノアと母カシミアにこの国に来てもらえれば、鉢合わせせずに済む。私はそう考えた。



セレナ!

後ろから抱きしめられて驚きの声を私は出した。


びっくりするじゃない、ライナ姉様。



ごめんなさい、そして結婚おめでとう。とライナ姉様が祝福してくれた。


はしたないぞ、とお父様はライナ姉様を叱った。


私とセレナの関係だからいいのよ、お父様。ねぇセレナ。と姉様が同意を求めた。



そうね…と私はみんなからの祝福に涙が出て来た。


どうしたの? ごめんなさい、気まずい事言ったかな?

とライナ姉様が心配そうに聞いた。


大丈夫、少し感情的になって、結婚式ですもの、嬉しさが込み上げて。と私は言った。



姉様は何も言わず微笑みで答えた。


結婚式はこうして幕を閉じた。




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