(二)-7

 さらにデスクのところでは背広を着た男性が侍たちに取り囲まれて刀を突きつけられていた。

 二見はその男性の顔に見覚えがあった。以前新聞で見た。それこそ、熊本県令の安岡良亮であった。安岡はこの後に起きるであろう自身の運命に顔をゆがめた。

「やめろ! 待て! 儂を殺しても何にもならんぞ!」

「奸賊安岡! 覚悟!」

 そう言うと、侍の一人が安岡を刀で斬りつけた。うめき声を上げて安岡は倒れた。

「県令を討ち取ったり!」

 安岡を斬りつけた侍がそう声を上げた。

 二見と侍たちは、一斉に鬨の声を上げた。


(続く)

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