(二)-5

「生かしておいたら逃げられる。逃げられたら警察がくるぞ。俺たちはまだこんなところで掴まるわけにはいかないんだ」

 そういうと侍は刀を抜いた。肺を貫かれたのか、若い男は口から血があふれ出てきている。息もできないようで咳を数回した。血しぶきが飛び散った。下男の目が中空をさまよう。やがて力が抜けた。

 二見は下男を看取ると、厨房を出るため振り返った。仲間はすでに厨房から出て行ってしまっていた。

 二見は仲間の後を追って厨房を出た。これ以上先には部屋はないので階段の方に戻った。


(続く)

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