闇に蠢く懐かしの村
O.K
第1話:恐怖の満ちた場所
久しぶりに訪れることになった懐かしい村。かつては私の家族が住んでいた場所で、子どもの頃には幸せな思い出が詰まっていた。しかし、長い間訪れていなかったため、その風景や人々の顔もあいまいになっていた。
訪れる日がやってきた。車を運転している最中、どこか不安な気持ちが胸をよぎる。村に近づくにつれ、道路も狭く荒れてきた。看板も錆びて朽ち果て、かつての賑わいは何処へやら。それでも、私は懐かしい思い出に胸を膨らませながら進んでいく。
やがて、村に到着した。しかし、予想とは違って、村は静まり返っていた。どこからか聞こえてくるのは風の音と、時折聞こえる不気味な鳥の鳴き声だけだ。家々は草むしりされ、窓ガラスも割れているのが見受けられた。
私は家族の旧宅を目指して歩き出した。家の前に立つと、そこには崩れかけた建物が佇んでいた。屋根は朽ち果て、窓はひび割れ、草が庭いっぱいに生い茂っている。懐かしい思い出とは裏腹に、その光景はまるで廃墟のようだった。
気持ちを奮い立たせて家に入ってみると、内部も荒廃していた。壁には落書きや傷があり、床にはガラスの破片が散乱している。思わず涙がこぼれるが、それ以上に私を戦慄させたのは、壁に描かれた奇妙なシンボルだった。
そのシンボルを見ると、どこかで見たことがあるような気がしてならなかった。記憶の奥底からほじくり返すが、どうしてもそれが何か思い出せない。しかし、そのシンボルが何かを暗示しているような気がしてならなかった。
さらに探索を進めていくと、村の中心部にあるはずの神社にたどり着いた。神社の鳥居は崩れ、社殿も朽ち果てていた。しかし、なぜか灯りが灯っている。不気味な不安感を抱えながら、私は社殿に足を踏み入れた。
社殿の中には、薄暗い明かりの中で祭壇がそびえ立っていた。祭壇の上には、何やら奇妙な形状をした物体が置かれている。それは、まるで人間のような形をしているが、何か異様な雰囲気を漂わせていた。
不安に駆られながらも、私は近づいてその物体を見つめた。すると、突然、物体が震え始め、ゆっくりと動き出した。その姿が明らかになるにつれ、私の心臓は凍りついた。
それは、かつての村人たちの姿をしているように見えた。しかし、その顔は歪み、目は赤く輝いている。彼らは何かを囁きながら私に近づいてきた。言葉は聞き取れなかったが、その言葉の中には不気味な響きが漂っていた。
私は恐怖に支配され、足がすくんでしまった。彼らがますます近づいてくる中、私は自分が村に戻ってきたことを後悔した。この村にはもはや、かつてのような平和な日々は存在しないのだと痛感した。
彼らの手が私に触れようとする瞬間、私は我に返り、全力で逃げ出した。村を後にすると、背後からは不気味な笑い声が聞こえてきた。その笑い声は私を追いかけてくるようで、心臓を鷲掴みにされるような恐怖を感じさせた。
私は汗だくで逃げ続け、やがて村から遠ざかって安堵の息をついた。しかし、あの恐ろしい経験は私の心に深い傷を残し、二度と戻ることはないと誓った。懐かしいと思って訪れた村は、実は闇の中に潜む恐怖に満ちた場所だったのだ。
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