トリスとラムとシャンディ・ガフ ——The life and opinions

スロ男

「二次元バーコード」の謎

 そういえばいつからでしょうか、「QRコードはデンソーウェーブの商標です」という文面を見なくなったのは。


 と書き出してみたものの、おそらく2017年だかで20年経ったからか、特許権とかあそこらへんが切れたのもあるんでしょうね、きっと。


 さて。二次元バーコード、と目にして「え?」と思った方も少なくはないと思います。私は最初「二次元」のほうに目が向き、ぼんやり考えてるうちに「いや、そもそもバーコードじゃないやんけ!」となったクチです。バーコードのほうに先に反応した人も少なくないのでは?


 二次元コード、といえばイコールQRコードではないわけですが、実質流通している二次元コードは、ほぼほぼQRコードではないでしょうか。


 おっと。


 そもそもQRコードってなんだっけ? という人はいるかもしれません。四角い、ドットマトリクスで構成された、最近だと特にアプリなど使わなくてもカメラで写してみるとURLだのがわかるようになっている、アレです。いや、もっとわかりやすい言い方ありますね。コード決済の時に使える、バーコードじゃない四角い方のアレです。


 ところでバーコードですが。こちらは流石に説明不要かと思います。黒線と白(空白)で表現された、間隔の不規則な縞模様のことです。私は、逆にバーコードを「一次元コード」といわれても違和感があったのですが、よくよく考えれば二進数を図形で示しているだけなので、一次元といえばたしかにそうでした。それにしてもバーコードが一次元だったらモールス信号も一次元信号なんですかね🤔


 最近の若い人はもしかしたら「? どゆこと?」と思うかもしれませんが、バーコードはあの特徴的な縞模様から、薄毛の男性のスダレ頭を指してバーコード頭、などといったりもしました。そのぐらいバーコードとは一般的な言葉ではあったのですが、QRコードはどの程度一般的なんでしょうか?

 デンソーが開発して無償で解放していた二次元コードという知識はないにしろ、モノ自体は知っているはずだし、それをなんと呼んでいたのか。気になります。

 QRコードと呼んでましたか?

 二次元コードといってました?

 それとも二次元バーコード?


 あるいは二次元バーコードという言い方が普及してしまえば、コード決済だなんだでよく使う/馴染みがあるという理由で、バーコード頭とはトラガリにされた頭を指すこと、なんて意味が変遷していた可能性もあったかもしれません。

 ギガを使う、みたいな最初の頃は知ってる人はみんな笑っていた使い方も、いまでは普通に企業(通信インフラ企業まで)が使ったりしてますしねえ。そんな言葉使いたくねえ、と思ってた人たちも、よく知らない人に伝える時に「ほら、ギガ。ギガのこと」なんていっているうちにどうでもよくなってきてませんか。


 ところでトラガリというのは若い人に伝わるんですかねえ?


 言葉が省略される、というのは他の国でも普通にあることなんでしょうが、日本はほんとに略さなくても良さそうなものまで略されて、普及したりしている気がします。

 最近では「スマホ」という言い方もだいぶ普及したせいで使われなくなってきた「ケータイ」という言い方。それまでならおそらく「ケーデン」になりそうだったのに、なぜケータイになったのか。寡聞にして私はその理由を知りません。

 E電が普及しなかったのと、似たような背景なのでしょうか。


「スマホ」という言い方(表記の仕方)ですが、これを「スマフォ」と書かれるとなんだかものすごく恥ずかしい感じがします。

 iPhoneを「アイホン」と書かれると、「おいおいインターホンかよ!」と思ってしまうのに。しかるに最初にインプリントされた言葉を正しいと、人は思いたがる存在だということなのではないでしょうか。

「テレビ」を「テレヴィ」と表記して許されるのは大江健三郎ぐらいです。「ヴィデオ」は許されても「テレヴィ」は赦してはいけません。仏文専攻の人の場合は大目に見てあげましょう。初めて読んだ作家が大江健三郎だった人も仕方ありません。


 許す気持が大事、とたまたま「二次元バーコード」で検索して出てきたブログにも書いてありました。人は誰でもミスを犯すもの。それから、たまたま最初に触れたものが偏見に満ちてたり、酷く狭量なものであったりも、ないわけではないのです。


 人を赦すということは、つまり自分を赦すということでもあります。とんでもない勘違いや赤面してしまう恥ずかしいミスなども、そんな時代もあったなあ、と暖かく見守ってあげましょう。


 そこからがスタートです。

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