第26話家族として
一通り話を聞き終えた後、リビングには僕と茜さんと雫ちゃんの3人になった。3人にしてくれたというべきかな。円香さんと冴子さん、それに凛には後でお礼を言わないといけないね。3人になってからは色々と茜さんと雫ちゃんからお父さん、お母さんの話を聞いたんだ。血の繋がりなんか関係なく僕を愛して育ててくれた。本当に感謝しかない…。
そして話はあの日の話に…。
「─あの日私達を置いて行ったのには理由があったんだね…」
「そうだね姉さん…。兄さんと血が繋がってない事をまだ知られたく無かったんだね…。でも…記憶を失くす前の兄さんは知ってたのかな?」
「毎年墓参りに行ってたみたいだし…どうなのかな?」
「…知ってても知らなくても僕達は家族。それでいいよね、茜さん、雫ちゃん?」
「うん…。でも出来れば…あの頃みたいにお姉ちゃんと呼ばれたいな?」
「私もです!雫って呼ばれたいです!」
「うん、姉さん、雫」
「で、出来ればお姉ちゃん呼びがいいんだけど…」
「お姉ちゃん呼びは…なんか恥ずかしいので…」
2人は僕が失った記憶を埋める様にあった事を話してくれた。全然思い出さない事を不甲斐なく思ってしまう…。表情にそんな事を思っていたのが出ていたのか2人は気遣ってくれた…。ずっと一緒に居たから分かるらしい。そして今後の事の話に…。
「…兄さん…また一緒に暮らそ?もう、兄さんと離れたくないよ私…」
「お姉ちゃんも雫と同じ気持ちだよ…」
「…良かったらここで暮らさない?」
「「…ここで?」」
「うん…。父さんと母さんと姉さんに雫と暮らした家で暮らすか考えたんだけど…僕にとって、ここにも大切な人達が居るんだ…。勿論以前住んでいた家は僕が働いてでも守るから…「「それは駄目!」」…2人迄そんな風に言わなくても…」
「姉さん、ここに暮らすべきだよ!」
「そうだね!弟君考え方が危ないよね?」
「うん。そう思う!」
「でも…他の人達は大丈夫なの?私達がここに住んでも…」
「僕が話してみる…「それには及ばないわ!」…冴子さん…」
リビングのドアを勢いよく開けて入って来たのは…またもやコスプレ衣裳に着替えている冴子さん…。なんでバニーガールなの?
「御姉様ぁぁぁー!!!(キラキラ)」
えっ?姉さんが冴子さんを見る目が何かおかしくない?僕は雫の方に視線を送ると…雫からアイコンタクトで返事が帰って来た。
(気にしないで、兄さん。姉さんは冴子さんに心酔しているから…)
(はあっ!?)
(姉さんはコスプレに興味があったみたいで…)
(…悪い影響を与えそうだよね?)
(…兄さんの仰る通りかと…)
(冴子さんには姉さんに近付かない様にして貰った方がいいね…)
(兄さん…)
「どう?どう?豊和君?私のバニーガール姿に欲情した?した?したよね?するよね?」
「御姉様素敵ですぅぅぅー!」
「…そんな事よりさっきの話の続きを…」
「弟君…。何言ってるの?」
「えっ?」
「まずは御姉様のあの姿をしっかり褒めないとお姉ちゃん怒るからね?」
「えっ?」
(兄さん頑張って?)
(そこは助けてよ…雫?)
(無理です。ああ、なった姉さんは厄介なので…)
「弟君…。見なさい!あのバニースーツから伸びる様に長い美脚♡見える太ももは程よい太さ♡程よい肩幅に今にも触れてしまいたくなる鎖骨♡頭には少し長めのウサミミバンド♡そして何といってもバニースーツから今にも零れ落ちて弾けそうな程のFカップもある2つのたわわ♡」
(雫ぅぅぅー?)
(…最早手遅れ…です)
(仕方ない…な。こうなったら…)
(褒めるんですか兄さん!?アレを!?)
(雫よ…兄として雫に教えておく事が一つだけある…)
(ごくっ……何でしょう…か?)
(それは…)
(それは?)
「すぅぅぅぅぅ………助けてぇぇぇー!円香さぁぁぁ────ん!!!」
僕が叫んだ瞬間まるでヒーローの様に円香さんは現れ、その瞬間固まった冴子さんの横をスッ─とすれ違う。
─すると冴子さんは床へと倒れ込んだ。すれ違い様に武道で言う所の無拍子だったのだろう。予備動作なしに攻撃したのだろう。全く見えなかった…。姉さんは慌てて冴子さんへと駆け寄って行ったが…。
「おねぇ~さまぁぁぁぁぁーーー!!!」
「……見えなかっ……た」
む、向こうの事は気にしない様にしよう。うん。それがいい…。
「呼んだ豊和君?」
「助かりました…やっぱり円香さんには傍に居て貰わないと駄目ですね…」
「も、もう…そんな事言われたら照れるんだけど…また…お風呂場で洗いっこでも…する?」
「がふぅ…」
「兄さん!?」
おかしいな…。一気に雫の僕を見る目が軽蔑を含む目線に変わった気がするぞ?円香さんは僕にとって諸刃の剣だったって事なのか……。
「雫ちゃん…それに茜ちゃん?」
「「はい」」
「良かったら一緒に暮らしましょう?」
「「いいんですか?」」
「当たり前じゃない。もう私にとっては茜ちゃんも雫ちゃんも私の家族だよ?」
「「…ありがとう…ございます。お世話になります」」
「堅苦しいのはなしよ?じゃあ…みんな呼んで来るからみんなでいっぱいお話しましょう?敬語とかもいらないからね?」
「「え~と…うん」」
最後はきっちり纏めてくれた円香さん。本当に母性というかそういうのが溢れている。
これでまた家族一緒に住める事になった。まあ、みんな家族だけどね…。
******
あとがき
というわけで、柚希の話を1話挟み、学校に転校生が!?
なので、どうか評価や応援宜しくお願いします!それと、ここまでお読み頂きありがとうございます!
美鈴でした!
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