第7話見に来て欲しい…
どうなることかと思ったもののあれからは何事もなくあっという間に帰る時間になった。部活の人は部活に行く準備をしている。
「豊和君」
「どうしたの柚希?」
「あっ……ええ~と…ね。よ、良かったら私が部活してるところを見に来て欲しいな~…なんて…」
「私も居るので見に来るといいです」
「…見たいんだけど…。見に行けたらでもいい?」
「うん…構わないけど、もしかして何か用事でもあったとか?」
「何でです?」
「実は、梓希ちゃんと先に約束しててさ…」
「「梓希(ちゃん)と!?」」
(やられた!?梓希めぇ~ホントちゃっかりしてるんだから!もぅ~)
「じゃ、じゃあ、明日!明日は見に来てくれる?」
「うん。約束する」
「約束…だよ?」
「うん」
******
凛と一緒に体育館へと向かう。体育館に近付く度聞こえてくる声が大きくなってくる…。もう練習が始まっているみたいだ。
「パース!」
「パスパスパスパース!!」
「マーク急いで!」
「必殺スリーポイント!」
「甘い!」
「やるね!」
「そっちこそ!」
案の定練習中だった。梓希ちゃんはどこかな?探していると、
「だだだだだ男性が見に来てりゅぅー!?」
「そんなわけ………マジか!?」
「あわわわわ…」
「今日の私…下着何着てたっけ…」
「きゃ~のきゃ~のきゃ~の!!!」
「誰目当てなの!?」
一気に騒がしくなってしまったけど集団の中から2人飛び出しこちらへと走って来る。
「お兄ちゃ~ん!来てくれたんだね?」
「おおおお久しぶりです」
「約束だったしね!優奈ちゃんも久しぶりだね」
「は、はい。お、お会いしたかったです/////」
「優奈ちゃん、お兄ちゃんの事ばかり話していたんだよ」
「あああ梓希ちゃん!?」
「そ、そうなの?」
(そういう事言われると照れちゃうな…)
「アンタ何デレデレしてるのよ…」
「いや、デレデレなんて…」
「ふん!」
ふと周りを見てみると体育館には他にもバレーや卓球する人達も居るんだけどみんな手を止めてこちらを凝視している…。邪魔しちゃったみたいで申し訳なく思う。取り敢えず「皆さん部活頑張って下さい。出来るだけ邪魔しないようにしますので見学させて下さい」とだけ声を掛けさせて貰った。凄いよね…みんなの動きが一斉に活気づいたんだから…。
「「「「「うぉぉー!」」」」」
「「「「「気合いだ!気合いだ!」」」」」
「今ならどこにも負けないね」
「応援されたら全国制覇も夢じゃないね?」
「毎日応援に来てくれないかな?」
「ホントそれっ!」
え~と…みんな張り切り過ぎて怪我しないでね?
「…凄いね。お兄ちゃん効果…」
「ホ、ホントだね…」
「みんな現金なだけでしょっ…」
「…だよね」
「あっ…」
「ん?どうしたの優奈ちゃん?」
「え~と…あの…しぇ、しぇんぱいと…お呼びしても?」
「勿論」
「あ、ありがとうごじゃいますしぇんぱい」
「あなた達2人…いつまでそこでじゃれてるッス?」
ボーイッシュな茶髪の女性がやって来た。
「「主将!!」」
この人がバスケ部の主将なのか。
「バスケ部の主将してる
「邪魔したみたいですいません!僕は…」
「知ってるッス!知らない女性はいないッス!今日は見学に来てくれたッスね?」
「はい」
「…良かったらしていくッス?」
(((((((((主将ナイス!!!!!!!!)))))))))
「え~と、良いんですか?」
「勿論ッス!」
「あっ…でもバッシュが…」
「あるわよ?ちゃんと持って来てあげたわよ?」
「ホントに!?ありがとう凛!」
「か、感謝しなさいよね?」
凛からバッシュを受け取り学ランを脱いで準備完了。
「お、お兄ちゃんバスケ出来るの?」
「任せて!(何だろう…。運動は全般やれるよね僕?やった記憶があるみたいだし…どこでやったのかな?あんまり深く考えても分からないよね…)」
体をほぐして準備運動!準備運動は大事だよね!ボールを受け取りシュート練習。
「入った…」
「…綺麗なフォーム」
「ちょっ…どんだけ凄いのよ!?」
「男性って運動も駄目だったよね!?」
「みんな分かってないなぁ~。お兄ちゃんは最強なんだよ!」
「梓希…そういえばあなた何でお兄ちゃんって呼んでいるの?」
「えっ?一緒に住んでいるからだけど?」
「「「「「「「はっ?」」」」」」」
「名字一緒でしょっ?」
「「「「「「「梓希が義妹になるのかぁ~。宜しくね梓希?」」」」」」」
「何言ってんのみんな!?お兄ちゃんは私のなんだからね!?何結婚したつもりになってるのよ!?」
「ほら!騒がしいッスよ?天使君の準備出来たみたいだから誰か相手になるッス?1on1誰かご指名ッス?」
「「「「「「はいはいはい!」」」」」」
私が私がと言ってるところ申し訳ないけど…
「あっ…すいません!」
「どうかしたッス?」
「5対1でお願いします」
「お兄ちゃんそれは…」
「せ、先輩無茶です」
「…余程自信があるッスね…。じゃあそこの5人相手してあげるッス!流石に負けたら分かってるッスよね?」
「「「「「勿論!!!!!」」」」」
流石に5人相手に1人は厳しい、舐めてるとみんな思ってる事と思う。
「天使君のボールから始めるッス!」
始まった!ドリブルで相手陣地に攻め込む。1人がディフェンスとして立ちはだかるけど問題ない。決して舐めてる訳ではない。流石に僕でも分かった事があるんだ。ディフェンスと体の1部が密着…。その瞬間に相手ディフェンスを抜き去る!
「抜いた!?」
「まだ1人よ!?」
「抜かれた…ッス…」
─2人、3人と抜き去り4人目を躱し…最後のディフェンスも躱してレイアップ…。
パサッ……。
ネットを揺らしボールが転がる音が響き渡りコートには倒れた5人の選手達…。こうなるよね?ディフェンスと密着する度…あふぅ~と言って気絶していくんだから…。
「な、成る程ッス…こうなるッス…ね」
「み、密着羨ま…」
「コートに倒れてる子の幸せそうな顔よ…」
「し、試合にならないわね…」
「だよね…」
こんな感じになってしまったけど久しぶりに体を動かせて楽しかった。またやらせて貰う約束もしたし、その後は終わり迄見学させて貰ったんだ。そして部活も終わり帰る為にクツ箱で靴を履き替えた時…
「…っう」
「どうかした?」
「……何でもないよ、凛」
「そう?何かあったら頼りになるアタシにいつでも言いなさい!」
「ありがとう凛…」
靴の中に画鋲が入っていたんだ…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます