第5話男性管理局

 私は男性管理局に勤めてわずか5年で管理局長に迄上り詰めた。男性管理局といえば女性が選ぶ職業で人気ナンバー1の職業。その理由は単純。男性と直接会えるうえにワンチャン狙えるかもというのが人気の理由。だが、いざ勤めてみるとそれは大きな間違いだと気付く…。それもその筈。男性管理局に登録している男性は生活が保証される代わりに年に最低3回の精子の提出、及び生存確認の為に職員と直接会う事が義務付けされているのだが、その際直接会ってみれば分かる事がある…。幻滅するぞ?夢なんて持つ物じゃない。だって、大抵の男性は傲慢、我儘、体型は肥えて醜く性欲がかなり薄い…。まぁ、肥えている理由としては、その男性に関わる女性が他の女性に奪われたりしない様に肥えさせたというのと男性は引きこもる習性があるのが主な理由かな…。


 それに管理局に登録しない男性も中には居る。そういう人達は大抵家族で男性の存在を隠している為が主な理由だな…。隠しても損するだけだろうに。それに隠しても妊娠した時点で男性が居た事は分かるのにな?人工授精で妊娠したのなら誰の精子を使ったか記録されるのだから。そして仮に…億が一男性と出会って妊娠した場合でもその子供からの血液検査で父親の名前は明かされるというのに…。だからこそそこで父親が分からなかった場合に登録されてない男性が居た事が分かるのだ。まぁ、今はそういう事について罰則はない…。厳しく取り締まった方が良いと私は思うのだが…。



 前置きが長くなってしまったがそんな私の元に1本の電話が事務員から回された。何でも男性管理局に登録されている男性の登録確認をしたいとの事。そんな事わざわざ私に回すまでも無いでしょうに……。えっ?私の名前を出して私を指名!?ここはそういう指名とかのお店じゃないのにと思いながら電話に出る…。


「…お電話代わりました。男性管理局局長の冴嶋さえじまです」


『久しぶり!冴子さえこ元気だった?』


「…その声!?円香先輩!?…ホントお久しぶりです!こちらは元気にやっています!先輩の方こそ元気でしたか?」


『こっちは元気だよ!』


「先輩がお元気そうで何よりです…。でも、どうして急に?」


『冴子にお願いがあってね?』


「先輩の頼みなら勿論断りませんよ?久しぶりに飲む約束ですか?」


『せっかくだからそれも約束しようか?』


「はい…是非!でも…せっかくという事は別に要件があるのですね?」


『ええー、そうなの…』


「言いにくい事なんですか?」

『少しね…。でも言わないと話が進まないからね…』

「水くさいですよ先輩!何でも言って下さい!」


『…実はで調べて貰いたいの…』


「…ん?先輩息子さんって居ましたっけ?」


『…豊和って名前なんだけど…』


「ちょっと待って下さいね……豊和豊和……

……………登録されている男性には豊和って名前は存在してないですね…。俊光と豊臣なら1人ずつ居ますが…」


『………やっぱり登録して無かったみたいね?』


「ええ…登録しておきますか?」


『お願い出来る?』


「パソコン1つで出来ますよ…。それにしてももっと早く確認して登録してれば男性だから色々保証されてたのに…。まぁ遡って保証は受けれますが……え~と…天使豊和で良いんですよね?」


『…うん…そう』


「年齢は?」


『…15歳よ』


「…あれっ?確か柚希ちゃんも15ですよね?」


『…そうね』


「先輩?」


『言っておくけど事件とかそういうのじゃないから!』


「そこら辺は疑ってませんけど…何があったんです?」


『…ごめんね。騙す様な形になってしまって…』


「事件とかでないなら問題ないですよ…。男性の存在を隠している人はまぁまぁ居ますしね…」


『…柚希が連れ帰って来たんだけど…一部記憶喪失みたいなのよ…』


「……はっ?」


『…で、話してみたんだけど優しくて顔も良くてね?』


「いやいやいや…先輩それってボロクソ事件じゃないですかぁぁぁー!?」


『失礼ね!事件じゃないわよ!』


「いやいやいや…先輩!その子記憶喪失なんでしょ?」


『そうだけど…登録してる男性の中には名前は無くて捜索依頼も無いわよね?』


「…確かにそれは無いですけど…」


『とにかく男性登録してくれる?登録したらが来るのよね?理想の男性よ?』


「…登録完了しました…。取り敢えず明日そちらに伺いますので詳しく聞かせて下さいよ?」


『ありがとう。待ってる!それと…』


「…?」


『私達で彼を…豊和君を見守りましょうね?』


「…そこまでの男性なのですか?」


『会ったら分かるわよ…ふふふ…じゃあ…明日待ってるわね?』


「了解しました…。元男性特務大臣殿…」

『その呼び方は止めてね?』

「分かってますよ先輩」



 電話を終えた私は明日の準備を始める。先輩は私が高校の時にある所で出会いお世話になった以来の付き合い…。そんな先輩が言うのだから男性に少し期待してしまう自分がいる…。久しぶりに明日という日が待ち遠しい…。


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