第3話天使さんの家の息子に…

「だからね?豊和君は私の息子として戸籍登録したのよ…」


 どうやら聞き間違いでは無かった様だ。でも…


「…そんな事出来るんですか?」


「うん…出来るわよ…。どうやら豊和君は記憶を失ってしまってるみたいで覚えていないと思うから1つずつ言うけど、今の世の中の男性はかなり少ないのよ?」


「…えっ?」

(男性が少ない!?だから街を歩いていても男性の姿を見掛け無かったのか…)


「その顔は男性が少ないという事も忘れてるみたいね?いい、男性が少ないという事は襲われたり拐われたりする危険性があるの!その為に男性を守る職業の女性が居てその女性達を男性警護官と言うのよ?」


「…そうなんですね」

(なるほど…。天使さんが言ってた警護官ってそういう事なのかぁ…)


「そして今の世の中の半分位の男性は大体生まれた家の家族と一生を終える事が多いの…」


「…ん?生まれた家の家族?」


「え~と、分かりやすく言うと、近親婚ね」


「え~と、親族に近い人との結婚…っていう事ですか?」

「そうね。殆ど合ってるけど近い人…というよりは繋がってる者同士かしら…」

「へぇ~」


「私もそうだけど…男性に出会えなかった女性は人工授精で子供を授かるのが普通よ」


「そこまで…男性が少ないのか…」


「後、大事な事と言えば男性は生活が保証される代わりに精子の提出…または子供を作る事が義務付けられてるわね…」


「……えっ?えっ?」

(さらっと今とんでもない事聞いた様な…)


「で、大体大事な事を話終えたと思うから最初に戻るけど、男性を産んだ女性が余所に息子を取られない様に存在を隠してる場合も多いの…。世の中の男性は女性が苦手だしね…。だから国は男性の存在の事後報告も認めているのよ…国は把握したいからね…。まぁ色々難しい所があるみたいだけど…」


「うわぁ、そうなんですね…」

(男性が女性を苦手とは…)


「だからこそうちの息子として申請出来たんだけどね?」

「お手数お掛けします…」

「仮にだけど…本当の親御さんが見付かれば申請し直せば良いしね?だからそれまでは遠慮なくここで暮らせば良いから…」


「…何から何迄…本当にありがとうございます…」


「良いのよ…気にしなくて」

「「流石お母さん…」」

((ナイスよお母さん!!))


「でも…天使さんと妹さんはそれで良いの?得体の知れない男だよ?」


「柚希って呼んで良いからね?勿論私は一緒に暮りゃすのは大丈夫!」

(噛んでしまったけど…これって男性と結婚出来るチャンスだよね?)


「私も梓希って呼んでねお兄ちゃん♡」

(いつか梓希の旦那さんに…♡)


「ふふふ。2人共賛成みたいよ?梓希なんてもうお兄ちゃんと呼んで慕ってるみたいだしね…?」

(もしかしたら私の旦那様に…)


「じゃあ…分からない事ばかりあると思いますがどうか宜しくお願いします…。今の世の中僕1人で生きられそうにありませんので…」


「「「宜しくね!!!」」」


本当に優しい女性達に出会えて良かったよ僕。


「あっ…そうそう、豊和君」


「はい」


「上半身裸になって貰って良い?」







「「「…………え"っ"???」」」


たっぷりと間を置いて何度も言葉の意味を考えた後、3人共何処から出たか分からない声でまたもやハモってしまった…。


「…3人共変な意味じゃないから…確認しないといけないのよ?虐待とか…色んな傷の跡が無いかを第三者からの目で見て…これから一緒に暮らすんだし…」


確かに…それはそうだよな…。自分で無いですと報告しても嘘の報告をするかも知れないし、妥当というか当然だよな…。それに上半身位なら…


「分かりました…。それじゃあ見たく無いとは思いますが見て貰えますか?」


プチ…プチ…プチと着ていたシャツのボタンを外していく…。


「おおおおおおお、お姉ちゃん、お兄ちゃんが脱いでる脱いでるよ!?!?!?ボタンが、ボタンが1つずつ外れて…(ツ──ぅ)」

「みみみみみ、見てるから…言わないで良いから!(タラ~)」


流石に実況されながらガン見されるのは恥ずかしいんだが……鼻血出てるし…天使母あまつかかあさんに至っては世にも有名なゲン○ウポーズで見てるんだが…


パサッ…っと脱いだシャツを椅子に掛けシャツに手を掛け腹筋が見えたと思われるタイミングで…


─バタン!!!バタン!!!


と大きな音が!?何事!?視界がシャツのせいで隠れていたので慌てて脱ぎ辺りを見渡すと…柚希ちゃんと梓希ちゃんが倒れているではないか!?そして床に広がるのは…血!?

2人に慌てて駆け寄る!


「大丈夫?柚希ちゃん!梓希ちゃん!しっかり!どうしたの!2人共?天使さん娘さんが娘さんが二人共…」


天使母さんの方に視線を向けると例のポーズのまま…床には血だまりが……。えっ?天使母さんも!?一体どうなって……とにかく一番近くに居る柚希ちゃんを抱き抱え…


「う…うぅぅん…」


「良かった柚希ちゃん!一体どうした…「あばばばばばっ…半裸の豊和君に…抱き抱えられて…ぶふぅー!……」…えっ?」


 美少女が俺の腕の中で鼻血を出して気絶した?気絶した3人ってもしかして俺が原因なの──────っ!?!?!?








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る