第13話本部突撃、③
アメリナは大きく全身しマイクに右袈裟斬り見舞う。マイクは身を右に逸らし、躱しアメリナにバスタードソードを振り下ろすが、隙を消すようにマイクに向けて切り上げたアメリナのクレイモアと刃が合わさり、鍔迫り合いに近い状態となる。
「やはりお前が不幸か!」
マイクはアメリナに向かい叫ぶ。
「貴様こそ、何の話をしている!」
マイクの叫びに対抗するようにその叫ぶ言葉の真意を問い、アメリナはクレイモアを振り上げ
る。マイクはバスターソードこそ話さなかったが、右半身を後ろへ逸らされ大きな隙が生まれた。アメリナはすかさず首へクレイモアを斜めに下ろす。が、マイクは体をさらに逸らし転がるように下がる。
「…強い。が、貴様ではないか。」
アメリナからは悪寒がしない。
そう戦いの中で感じ取った上で、それでも負けるかもしれない不安を拭うための強がりの言葉。もちろんそんな意味はアメリナには知る由もないのだが。
「その言葉はどう言う意味だと言っている!」
そう言いアメリナはマイクには突進し、横一文字にクレイモアを薙ぐ。マイクは伏せると喉元に刃を突き立てようと、バスターソードのリカッソを持ち突き上げた。
アメリナは右足を軸に回転し、突きを躱しながらその勢いのままマイクに回し蹴りを打ち込んだ。
「がふっ」
マイクは声を上げながら右へ吹き飛ばされ、ゴロゴロと転がる。バスタードソードを杖に、剣先を地面に突き立てながら何とか立ち上がるマイクにアメリナはクレイモアを構える。
「はぁ、今のはなかなか効いた…」
そう言い剣を地に突きながら本部正面へ歩き出した。
アメリナはすかさず迫ろうした時、横から飛び出した槍はアメリナの頸動脈を狙い正確に放たれた。アメリナはすぐさま身を後ろに引きながら穂先を狙いクレイモアを振り上げる。切り落とされた穂先は乾いた音を立てて地に落ちた。
「クソっ、増援か!」
アメリナはもう一歩大きく下がると槍の持ち主である新手の王国兵にそう吐き捨てた。
アメリナは剣を頭上に水平に構え、負けん気の雄叫びをあげた。
「うぉぉぉぉ!」
どうやら効いたらしく、敵兵の何人かはのけぞった。が、効いたと言ってもその程度で終わる。そしてアメリナの元へ続々と槍や戦斧を持った敵兵はやって来た。
「そんなに纏めて片付けて欲しいか、有象無象どもが!」
そんな小悪党じみた言葉を言いながらクレイモアを構えた。
~~~
「エラァッ!」
ハイミルナンは叫びながらトマホークを持つ王国兵の鎧の無い右股関節を斬りあげた。
「あぁぁぁぁぁ!」
王国兵は悲鳴を上げながらパルチザンの柄を掴み、抵抗するがハイミルナンは無慈悲に腰骨までめり込んだそれを右に回しながら引き抜いた。王国兵は右股関節を押さえながらびくびくと体を生まれたての子鹿のように震えながら倒れる。
「あう……あっ…」
涙を流しながら嗚咽を漏らし、震えた双眸でハイミルナンに命乞いをするように見つめる。
無様であるが、ハイミルナンの目には
かつて___
___殺された父の目に似ていた。
「そいつから離れろぉぉお!」
刹那、左後ろからハイミルナンのこめかみに剣が振り下ろされようとしていた。別の王国兵のものだった。ハイミルナンは振り返るとパルチザンを両手持ちで頭上で横にし剣を柄で受けた。不意打ちの一撃を流せる筈もなく、振り下ろされた一撃の勢いのままその王国兵と共に背後へ倒れる。ハイミルナンが仰向けに、それに覆い被さるように王国兵が倒れる。
「くそぉぉぉぉぉ!」
ハイミルナンは叫びながら王国兵が顔に押し付けようとする剣をパルチザンの柄で反対に押し上げようとする。
「死ねぇぇぇぇ!」
股関節の王国兵がそう叫びながら腰に刺していたダガーを取り出しハイミルナンの目へを突き立てようと振りかぶる。
あの躊躇いがなかったら、あの優しさがなかった、きっとこんな事にはならなかっただろう。
ハイミルナンは震える声で小さく呟く。
「死にたく無い。」
死にたく無い死にたく無い死にたく無い死にたく無い死にたく無い死にたく無い死にたく無い死にたく無い死にたく無い死にたく無い死にたく___
___肉を切り裂く鈍い音が、響く。
~~~
デイビッドは1人、ロングソードを持ち複数の王国兵に囲まれている。当たり前だ、団長の指示で少数で突撃したので囲まれるのは当然だった。
「ふっ!」
デイビッドはロングソードを王国兵の鎧の無い
右肘へ振り下ろす。
王国兵の腕が中を舞う。切り落とされた王国兵は悲鳴を上げながら尻餅をついた。
「あぁぉぁぁぉぁ、腕がァァァァァァァ!
まっ、待っ___」
尻餅をついた王国兵の顎を慈悲の欠片もなくすかさず蹴り上げる。叫んでいたので口が勢いよく口を閉じ舌を噛み切ったらしく、口から肉の塊と血を吹き出しながら斃れた。
腕を切断しているので出血多量で死ぬだろう。
デイビッドの背後には帝国兵はおらず、4体の死体が転がっていて、どれも体の一部が欠損している。
複数の王国兵はその様を見て、冷や汗を垂らしながら後ろに下がるがそのうちの1人の薄緑の髪をした、投げ槍___ジャベリンを持った兵士が飛び出し、デイビッドの頭へ目がけそれを投げつけた。
「よくもレディルを!」
先程蹴り上げた兵士の名前であろうか。
デイビッドは躱そうと体を左に捩るが、ジャベリンの穂先がデイビッドの右顔の頬を横に切り裂く、その王国兵の手には縄が。
王国兵はすかさずそれを引く、どうやらその縄はジャベリに繋がっているようで引かれたジャベリはデイビッドの左耳の耳たぶよりも少し上を掠めた。
王国兵は自身の元へ戻ってくるそれを手に取るとデイビッドに叫んだ。
「…なんで人を物探しの過程みたいに殺せる!」
デイビッドはその問いを無視して構えた。
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みなさんお久しぶりぶりです。また再会して行くのでよろしくお願いします
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