その7-弓木さんside
【7月のとある日】
いつも制服かジャージを着ている私は、世界の全てを塗り替えたくなる時が来る。
だけどそれは出来ないから、今日も制服かジャージを着なければいけないから、下着くらいは履き替えたくなる。
だけど、私が持っているのは、水色の下着が、ちょっと薄い水色の下着だけだから、それこそ、私は生まれ変わることが出来ない。ちなみに、私の下着は他人よりちょっと攻めているらしい。この前何の気もなしに更衣室で着替えていたら、部員たちに言われた。あまり人の着替え姿を見つめるもんじゃないと思うのだけど、
「つまんないなぁ…」
何が無限の可能性なんだろう。高校生の私に出来ることには、結構限界があると思っている。
「つまんないなぁ…」
だから、気付いたら私が下着を脱ぎ去ったのは、ある種必然だった。
凄く手前にある、最もアクセスしやすい無限の可能性、それが、下着を脱ぐことだった。
部活の目標とか、将来の進路とか、勉強のこととか、そんなこと、全て「下着を脱ぐこと」が一蹴する。
遠い未来のことより、近くにあるノーブラノーパンが一番だ。
「さて、この下着どもをどうしよう」
これに関しては、魔が差したとしか言いようがないけど、私はコピー機に自分の下着を置き去りにした。
確かに、誰かに見つけて欲しかったんだと思う。ある種の自傷行為と等しい。
購買部の近くのコピー機。目立つから、すぐに見つかると思った。
だけど、思いのほか誰もコピー機を使わなくて、困った。
ていうか、男子に見られたら厄介だな。女子専用コピー機は無いのかしら。
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