人間め!!

犬時保志

第1話 プロローグ

 今日まで私の村は平和な村でした。

 私達亜人に偏見を持たない10人程の人間と、50人程の私達亜人それに3人のダークエルフが、助け合って暮らす平和な村でした。


 思い起こせば、私が行き倒れの商人さんを助けたのが間違いでした。

 商人さんは元気になって、感謝して帰って行きました。

 悪気が有ってとは思いたく有りませんが、酔ってとか何かの弾みで村の事を洩らし、キャットピープルの村の存在が知れ渡ったようです。


 人間達が村を襲撃して居るようです。


『魔女を殺せ!』『魔王を殺せ!』

 声が近付いて来ています。

 私はベッドでシーツを頭からかぶって、隠れて居ました。


「サコ逃げるぞ!」サトルさんはミクを抱いて、オロオロ隠れて居るつもりの私の手を引いて、走りだしました。




 悲鳴が遠退いて、やがて聞こえなくなりました、辺りは真っ暗な森ですが私はホッとしました。


 私はサコ、キャットピープルの子供です。

 一緒に逃れたミクちゃんは同種族、私の親友です。

 私達キャットピープルは魔女と言われ、人間に嫌われている亜人だそうです。

 外見は人と全く同じで、少し小柄な者が多い気はしますが、猫耳が頭頂にある訳でも有りません。

 人と違うのは髪の毛が真っ黒と言う事です。



 私達を連れて逃げてくれたサトルさんも黒髪です、なので人間にも黒髪は居ると思っていましたが人間に黒髪は居ません。

 サトルさんはこの世界の人間じゃないそうで、異世界人って理解出来ませんが亜人に近い力を持った人間のおじさんです。

 サトルさんが、突然立ち上がって村の方向をうかがって居ます。


「やっと追い付いた!息が苦しい」

「エルちゃん?」

 ダークエルフの子供エルちゃんも私達を追い掛けて逃げて来たようです。

 エルちゃんの外見は耳が違ってとがっているし、顔も身体も真っ黒なのに人間です。


「他にこっちに来てる者は居ないようだ」

 安心したように言ってサトルさんが座りました。


 明け無い夜はないと言われますが、今夜は特別長く感じます。

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