逃げたカイルの行方
カイルは、魔物領へと逃げた。先ず、初めに目の前に現れたのは、吊るされた女性だった。その人と目が合う。
「助けて、助けてください、もう、蜘蛛の蜘蛛の魔物を産むのは、嫌なのぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」
そこに2匹の大きな蜘蛛が現れる。初めのお腹が大きい蜘蛛が人間の女性の下半身に結合させて、卵を産み付けていた。
「いやぁいやぁ。どうしてどうしてたすけてくれないのぉぉぉぉぉぉ」
卵を産み終わった後、その女性のお腹はこれでもかと膨れ上がっている。そこに今度は大きな蜘蛛が何かを流し込んでいた。恐らくアレだ。
「いやぁいやぁ、もう出さないでよぉぉぉぉぉぉ」
しかし、暫くすると気が狂ったかのようになる。
「あっキモチイイ。キモチイイのぉぉぉぉぉぉぉぉ。赤ちゃん、私の赤ちゃん。たくさん産むのぉぉぉぉぉぉぉぉ」
なんなんだ此処は?こんなことがあって良いのか?アレは紛れもなく人間の女性だ。どっかから捕まった?それともこの魔物領にも人間が生息している?一体全体どうなっている?頭がパンクしそうだ。あの女性を助ける?魔物との戦闘経験はない。どうやって?一旦、その場から立ち去ろうと下がろうとした時、木の枝をバキッと踏んだ。その音に気付いた蜘蛛の魔物がこちらへと様子を見に動いていた。その瞬間僕は、近くの草むらへと何者かに引き摺り込まれた。
「離せ。うぐっ」
「声を出すな。死にたいのか?」
金髪で碧眼の色白で細身の耳が長い女性?その女性が合図をすると一斉に蜘蛛の魔物へと攻撃を仕掛け、仕留める。
「良し、もう声を出してもよかろう。その女性を下ろしてやれ。暫く、デススパイダーの快楽毒でずっと出産し続けるだろうが全て、潰すのだ」
「はい族長」
「それにしても人間がこんなところで何をしている?此処が危険な場所だと人間の国で習わなかったのか小童よ」
「助けてくれたことには感謝するが俺よりも若そうな貴方に小童呼びされる謂れなどない!」
「フフフ、我らエルフに啖呵を切るとは、面白いやつだ」
エルフ?エルフだって?昔読んだ童話の中の登場人物?実在していたのか?それも魔物領に?どうやら敵対する意思は無いようだ。どちらかというと友好的に見える。
「何だ?怪訝そうな顔をして、ひょっとして、エルフが珍しいのだな。そうであろうそうであろう。触っても良いのだぞ」
「揶揄うなよ!」
「フフフ、面白い小僧だ」
「小僧じゃ無い、これでも20歳だ」
「ハッハッハ、小僧では無いか!我らエルフの寿命の100分の1ってところであろう」
「100分の1!?」
「我らエルフは2000年生きるのだからな。妾も族長に就いたのは、500年ほど前であるな」
「500年前!?」
「いちいち、驚いて、ほんと面白い男だ。我らの村に来るが良い。それとも女の多いところになど来たくはないか?」
「いってやらぁ」
「では、来るが良い」
生い茂る森によって、まるで隠れ里のように覆い隠されている村がそこにはあった。男のエルフが畑を耕し、子供のエルフが駆け回る。そこには、確かに生活感があった。
「おぉアリエル様、デススパイダーを倒してくださったのですな。感謝致しますぞ」
「我らの村の近くで縄張りを張られては、困るからな。良い鍛錬になった。気にするなアムロード爺」
「それはそれは、ですが倒してくださったのは事実。ありがとうございますじゃ」
「うむ、また何かあれば遠慮なく言うが良いぞ」
「はい」
「アリエル姐様〜、私を愛して〜」
「ベタベタするなエルミア。早く良い男を捕まえろ」
「いやぁーん、姐様が良い〜」
「馬鹿者、妾は、女に興味はない」
「ケチ〜」
やがて、一際大きな木で作られた家へと辿り着く。
「ここが妾の家じゃ。入るが良い」
「失礼します」
「おかえり〜アリエル母さん。あれっ。誰この子?」
「メルロス、ただいま。デススパイダーの近くで拾った」
「デススパイダーの。ふんふん。ってええええええ?デススパイダー?アリエル母さんが討伐に向かった」
「あぁ」
「お帰りなさい、アリエル」
「エルミア母上」
「若い男を引っかかるなんてやるじゃありませんか。ホッホッホ」
「違うわ。旦那一筋だわ」
「外まで聞こえていたよアリエル」
「リオン、あぁ会いたかったよ」
「僕もだよアリエル。あっ初めまして、リオン。裏の大きな畑で作物を作っていてってこれじゃ説明にならないかな。アリエルの夫です。メルロス、挨拶はしたのかい。エルミア義母さんも」
「初めまして、メルロスっていう。よろしく」
「エルミアと申します。よろしくお願いいたしますね」
「よろしくお願いいたします」
エルミアさん、胸も大きくて包容力がありそうで、金髪ロング胸に髪が掛かっていて色っぽいしめちゃくちゃ綺麗。メルロスちゃんは、論外だな。胸は平族。どう見ても幼児体型だ。
「今、お婆ちゃんと私のこと見比べてたひどーい。どうせペッタンコだもん。でも大きくなるんだから」
「あらあら、ウフフ。可愛い男の子が増えて、私も楽しいわ」
「色目使ってんじゃないよ。エルミア母上」
「行くところがないならここにいて良いからね」
「タダで止めてもらうなんてことできません。何か手伝います」
「そうかい。だったら僕の畑を手伝ってもらおうかな」
「よろしくお願いいたします」
「うんうん。良い返事だね。こちらこそ宜しく」
こうしてカイルは、エルフの族長アリエルの家で、居候となったのである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます