第22話 振り返り配信(1)


「皆さん、こんばんは。ひでおです。今日の神保町ダンジョン振り返り配信をお届けします」


”待ってた!”

”お疲れー”

”ダンジョン配信の後で振り返りとか、マジでありがたい”


「おかげさまでチャンネル登録者数が50万人を突破しました。今日の動画もすでに100万回以上再生されてて、ちょっとビビってます」


”おめ”

”おめでとー”

”順当だな”

”100万突破もすぐだな”


「えーと、今回の狩りの季節ハンティング・シーズンですが、昼過ぎに協会から要請がありました」


”そうだったんだ”

”協会ナイス”

”たまには良い仕事する”


「なんでも、協会の方でもダンジョンヒーローが話題になっているそうです」


”そりゃそうだ”

”さすがに無視できないだろ”

”変なのやらされないといいな”


「これからもいろいろ頼むかもしれないと言われました」


”やっぱり”

”協会は探索者使いが荒すぎる”

”それで上前をはねてるからな”


「人助けに関する依頼でしたら、全部引き受けるつもりですが、『特定のアイテムを取って来い』みたいな依頼は受けないつもりです」


”カッコイイ”

”さすがひでお”

”なんか言われても、ワンパンで倒せるからな”

”協会には負けないで欲しい”


”俺らがついてるからな”

”頼りにならんけどなw”

”F5くらいなれできるww”


「生田ダンジョンに向かった探索者たちを責めないでください。探索者は『自由』であるからこそ、探索者だと、僕は思ってます」


”まじ、ひでおは探索者のかがみ”

”大人すぎる”

”まだ高校生だろ?”

”やっぱ、ヒーローになろうってヤツは違うな”


「人が集まらなかったのは、協会の問題だと思います。協会が報酬を渋ってるからです」


”やっぱり、協会が悪いんじゃん”

”お役所は金絞るからな”

”民間だったら考えられん”

”ひでお、安く使われるなよ”


「協会批判をするとマズいかとも思ったのですが、友人がOKだと言っていたので、僕の正直な気持ちを伝えました。賛否両論だと思いますが、僕は自分の意見を曲げるつもりはありません」


”どんどんいったれー!!”

”それでこそ、ひでお”

”まじ、応援する!”


「動画もちょうど下層付近になりましたね」


”あっさり言うけど、コメ欄見ながらダッシュ30分で下層前ってアタマおかしい”

”会話に夢中でダンジョン走ってるの忘れてたw”

”モンスターまったく出会わなかったしなw”

”視界の端っこにちょっと映っただけwww”


”ブレるとかいってたけど、動画ヌルヌル”

”配信端末がありえない”

”ひでおの友人作だからな”

”なら当然”


「『らんらん探検隊』の皆さんは親切でした」


”あの子たち評判良いよね”

”仲良しだから、見ててほっこりする”

”ギスギスパーティー多いからな”

”人気が出てくるとお金で揉めてギスギス”

”ワンチャン、仲間が死んだら、取り分増えそうとか考えてそうww”

”だから、ソロ配信者が多いんだよな”


「あの後、彼女たちは無事に帰還できたようです」


”よかった”

”配信で他の探索者に避難するよう伝えてた”

”ええ子たちや”


「今度、また話をしようという約束になりました」


”コラボ来るか?”

”普通だったら、ひでおを羨ましいと思うけど、らんらんたちの方が羨ましい”

”それな”

”俺もひでおとコラボしたい”


「みなさんが気にしている『十二騎』の虎夫さんですが、悪い人じゃないですよ」


”いやいや”

”あの対応はぶち切れても悪くない”

”ひでお人格者過ぎる”

”どっちが年上かわからんな”


「さて、スケルトン戦ですね」


”あれ、ひでお見てるだけ?”

”配信見てなかったのか”

”すぐに出番来るぞ”


「あ、『らんらん探検隊』のエナさんから、ヘルプ頼まれたとこですね」


”は?”

”え?”

”なにが起こった?”


”初見だとそうなる”

”俺もなにが起こったのか分からなかった”

”説明キボン”


「あれは『ヒーローフィンガーブレット』ですね。ダンジョンで拾った小石を指で弾いて飛ばします」


”なんか凄い勢いでスケルトンが消えていく”

”ヒーローマシンガンに改名しろw”

”スケルトンが可愛そうwww”

”一方的すぎる”


”小石でこんなんできるの?”

”普通の小石じゃダメ、ダンジョンの小石じゃないとって言ってた”

”ダンジョンヒーローだけ”

”よい子は真似しないでください”

”普通の人間には不可能”

”誰も真似できねえよww”


”本気出したら、『ヒーローフィンガーブレット』でスケルトン全滅できた?”


「はい。スケルトンリーダーまでなら、一撃で倒せます」


”他のパーティーいらないwwww”

”ひでおひとりで十分www”

狩りの季節ハンティング・シーズンとは一体……”

”ザコ狩りにしか思えん”


「ただ、ヒーローに変身しているときだけです。ひでおだと爪が痛くなるので、あまりやりたくないです」


”爪が痛いwww”

”ひでおでもできるんだ”

”やっぱり、コスチューム着ると強くなるの?”


「そうですね。ヒーローコスチュームのおかげが大きいです。後は、テンションですね」


”テンションw”

”ほんとに成りきってるwww”

”さすが、ヒーローw”


”ヒーローコスチュームすげえな”

”傷ひとつついてなかったな”

”どうなってんの?”

”教えて?”


「えー、そうですね。ここで説明してもいいのですが、せっかくなので、機会があったら素材調達配信をやろうかと思っています。そのときまでお待ちいただけるとありがたいです」


”いつやるの?”

”次にやってよ”

”明日、見たい”


”急かすなよ”

”ひでおの好きなときで良いぞ”

”あんま、困らせるな”


「次回の探索配信はやることが決まっているので、ごめんなさい」


”謝らなくていいぞ”

”待ってるから、大丈夫”

”ひでおのやりたいようにやってくれ”

”視聴者のリクエストに応え続けようとして、プレッシャーで潰れる配信者を何人も見てきたからなあ”

”ひでおが楽しむのが一番”

”同意”


「では、クアッドスケルトン戦について説明したいと思います」


”調べたけど、深層の中でも結構強いモンスターみたいだな”

”出会ったら逃げろって書いてあった”

”あれは見た瞬間に逃げ出すだろ”

”本能的に怖い”


「最初は避けてばかりだったので、モヤモヤさせてしまったかと思います。ごめんなさい」


”最初の数分、避けっぱなしだったな”

”ヒヤヒヤした”

”ヒーローでも勝てない相手かと思った”

”むっちゃ祈ってたわ”


「でも、あれにはちゃんと理由があったんです」


”理由、だと?”

”ピンチじゃなかったの?”

”なになに?”


「クアッドスケルトンが持っていた四本の剣。あれ、欲しいなって思ったんです」


”草草草”

”まさかそんな理由www”

”クアッドスケルトン相手にそんなこと考えるのお前だけwww”


”でも、あの剣が欲しい気持ちはよくわかる”

”俺も欲しい”

”凄い高値で売れそう”

”でも、だからって……普通やるか?”

”ひでおだからしゃーない”


「受けたりすると傷ついちゃいそうだったので、全部避けて、手首を折ればいいなと」


”クアッドスケルトン相手に縛りプレイw”

”無理ゲーすぎるwww”

”言いたいことは分かるけど、実際にやるヤツはいない”


「あと、クアッドスケルトンの核も欲しかったので、ああいう倒し方になりました」


”あの核も凄かったよな”

”あんなサイズ初めて見た”

”直径30センチくらい?”


「そうですね。30センチくらいです。ドラゴンのはもっと大きいですよ。1メートルくらいあります」


”ドラゴンw”

”比較対象がおかしいww”

”サラッと言うなwww”


「両方ゲットできて良かったです」


”この笑顔”

”本当に嬉しそうw”

”イレギュラーがただの素材狩りになってて草”


”本気で戦ってたら、どんな感じだったの?”


「本気を出したらですか? うーん、倒し方にこだわらなければ、30秒くらいかかるかもしれません」


”30秒!”

”かかるかもってw”

”30秒の時点で意味不明”


”だったら、早く倒してやれよ。その間、虎夫と仲間たち苦しんでただろ”


「えーと、探索者じゃない方には分からないかもしれませんが、深層以降だと『死ななきゃかすり傷』という感じで、腕がなくなったり、1分以内に回復しないと死ぬって状況が日常茶飯事なんですよね」


”深層こえー”

”どんだけだよw”

”ちょっとなに言ってるかわかんないwww”


「なので、痛みには慣れちゃうんですよ。だから、彼らレベルなら全然平気だと思ったんですが……」


”ひでおだけ”

”ダンジョンヒーローが異常”

”完全に人間卒業しててワロス”


「やっぱり、痛いんですか。ごめんなさい。今後は気をつけます」


”ひでお基準で考えるな”

”気をつけてやれよ”


”クアッドスケルトン余裕だったけど、どんな相手でもワンパンなんじゃない?”


「いえ、さすがにドラゴンは30分くらいかかりました。腕も何回か、もげましたし」


”さすがにドラゴン相手に瞬殺はないか”

”ドラゴンってやっぱり、そんなに強いんだ”

”そもそも、ソロで戦う相手じゃない”

”上級パーティーのレイドで50人以上は必要”

”それでも死人出たりするからな”


「とまあ、こんな感じで倒しました」


”まとめると、素材ゲットのために縛りプレイして、無傷で勝った”

”意味不明すぎるwww”

”まだ、全力じゃないんだろうな”


「虎夫さんですが、たしかに僕に対する態度や人間性にはちょっと問題があったかもしれません。でも、彼は決して悪ではなかったので。悪でない限りは、どんな相手でも助ける。それがダンジョンヒーローです」


”すげー”

”まさにヒーロー”

”普通、そう思ってても、嫌なヤツや嫌いなヤツを助けたりできない”

”有言実行なのが、カッコ良すぎ”


”『十二騎』に勧誘されてたけど?”


「『十二騎』に入るつもりはないです。配信中も言いましたが、どこかのクランやパーティーに入る気はありません。ただ、ちょっと、考えていることがありまして。はっきりしたらお伝えしたいと思います」


”ひでおはソロの方がいい”

”しがらみあるからなあ”

”考えてることってのが気になる”


「それで、『明日は告知配信をやれ』と友人に言われてまして。夜には配信しますので、よろしくお願いします」


”おお、告知楽しみ”

”わくわく”

”とんでもない告知が来そう”


「皆様、おつき合いありがとうございました。今日の配信はこれでお終いにします。お楽しみいただけましたら、高評価、チャンネル登録お願いします」






   ◇◆◇◆◇◆◇


【後書き】


次回――『上野毛ダンジョン(1)』


楽しんでいただけましたら、フォロー、★評価お願いしますm(_ _)m

本作品を一人でも多くの方に読んで頂きたいですので、ご協力いただければ幸いですm(_ _)m


   ◇◆◇◆◇◆◇



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