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「味、濃っ!!!」




お洒落なイタリアンのお店、私の向かい側に座る先生が大きな声でそんな失礼な感想を叫んだ。

それに私は焦ることなく冷たい視線だけを先生に送る。




“俺だって最近は色々食べられるようになってきただろ!?”




数分前にそう言っていた先生。

私の目の前に座る完璧な容姿をしている男はとにかく口が悪い。




その口から実際に出てくる言葉もそうだし、その口に入れられる食べ物については極端に少ない。




「だから向かいのお店のチェーンの和食屋さんにすれば良かったじゃないですか。

イタリアンなんてハイカラな物は食べられないのにこんなお店に入るから。」




「イタ飯も食べられるようになる為に入ってみたんだよ!!」




「イタ飯とかうちのお父さんとお母さんでも言わないから。

どんだけ老人なの?」




「お前だってハイカラなんて使ってただろ!!」




「それは先生の為に使ってたの!!

先生、今年で34歳とか本当に老人だし。」




「老人ではねーだろ!!」




「私からしてみたら老人。」




「そういうお前はいつまで経ってもガキ。

少しは女らしくしてみろよ。」




楽しそうに私のことをバカにして、それから苦しそうな顔をしてパスタを食べ進めている先生。




「34歳の先生からしてみたら25歳の私はガキだろうね~。

大人の先生が色々食べられるようになる為にご飯に付き合うとか、ガキの私には荷が重いから今日で最後にしましょうか。」




美味しいパスタを食べながら先生のことを見ることなくそう言うと、先生が少しだけ無言になった。




「・・・最近は俺も色々食べられるようになってきただろ!?」




「食べてはいるけど毎回文句ばっかりだし、そんな人と一緒にご飯なんて食べたくないから。」




「これは文句も言いたくなる!!

すっっっげー味濃いからな!?

ちょっと食ってみろよ!!」




先生がフォークに巻き付けたパスタを私に向けてきて、それにはニッコリと笑いながら教えてあげた。




「間接キス~なんて躊躇う程私はガキではありませんし、先生が口を付けた物を食べられるような関係でもないので不可能です。」

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