第49話 後始末が残ってたよ

あ~やっと終わったよ。

ひとまずは・・・だね。


『き、消えた・・・』

『跡形もなく・・・』

『なんてことだ・・・』


〖ん?斬首刑の方が良かったかい?君たちの時はそうしようか?〗ニッコリ

後始末がね、残ってたよ~。こいつらのこれからを決めないとね。


『『『めめめ、滅相もない!』』』


〖そう?まあ、これからの君たち次第だね。まずは誠心誠意、謝ることだね。下らないプライドは身を滅ぼすだけだよ〗

『そうよ。あんた達は魔法も使えない。狩りだって魔法ありきだったなら、外の子供の冒険者以下よ。冒険者として暮らそうとしたって誰かの助けがなければ生きていけないわ。助けを乞うのに命令でもする気?私だったら冗談じゃないって相手にもしないわね』フンッ


『『『あ・・・』』』ぶるぶる


〖やっと分かってきたかい?少しは考えるんだね〗

『それで、こいつらどうするの?森から追放は決定でしょ?だったらさっそく飛ばしていいかしら?即刻消えて欲しいんだけど?』

〖そうだね〗

(ふふ、ずいぶん楽しそうだね?)

(当たり前でしょ?お仕置はきちんとしないとね?ふふ)

わ~すっごい無表情の下で、すっごい悪い顔が見える


『お、お待ちくださいっ』


〖おや、何かな?〗

『あら、私の邪魔をするの?』

(やっぱり、来たね)

(そうね)


『・・・っ。ご無礼をお許しください。ですがっ発言をお許しいただけますでしょうかっ』


〖いいよ。白騎士の団長。発言を許そう。いいよね?〗

『仕方ないわね。いいわよ』

(さて、どう出るかな?ふふ)

(この子、お人好しだからね。くすくす)


『この者達の処分、私におまかせ頂けないでしょうか?』

片膝をつき、胸に手をおいて、訴えてくる。騎士だね~


〖どうしてだい?〗

『私たちの決定に不服でも?』


『い、いいえ。命を助けてくださった寛大な処置に感謝いたします。ですが、しばしご猶予を頂けないでしょうか?』


〖それはどういうこと?〗キリッ

『猶予?何のために?』キッ

(ぷふっ・・・どうしよう。予想通りになりそうで、顔が勝手に笑っちゃいそうなんだけど)

(ガマンよ、ガマン!ぷぷっ)


『はい。この者達の追放、仕方ないことだと思います。ですが、せっかくお見逃し頂いた命、このままでは直ぐに落としてしまうでしょう』


〖そうだね。でも、それは君には関係ないよね?〗キッ

『そうよ。そいつらがどうなろうが、あなたにも私たちにも関係ない事だわ。そいつらの責任よ』キリリ

(ねえ、笑っていい?いいかな?ぶふっ)

(ダメに決まってるでしょ!ガマンよ!ぷぷっ)

表情が崩れないようにもう必死!


『いいえ。御座います。このままこの者たちが死ねば、神様や神樹の精様に申し訳なく・・・よって、お許しいただければ、この者たちが自力でこの森を出て行けるようなるまで、私どもにお預けいただけないでしょうかっ』


『『『え・・・』』』

庇われた茨を刻まれた者たちがようやく反応を示した


〖ダメだよ。そんなことをしたら、そのまま森に居座ることは目に見えてる〗

『そうね。それでは罰にならないわ。コイツらは、反省し償わないといけないのだから』

(素直に許しちゃダメだよね。ぷっ)

(当たり前でしょ?コイツら調子乗せちゃダメよ。叩き落とさなきゃ。ぷっ)

神様たちに手の平の上でコロコロされてるのに気づいているのかいないのか・・・


『ごもっともでございます。なれば、期限を設けさせて頂ければっ』


〖期限?どのくらい?〗

(さあ、どのくらいって言うかな?)


『一年、いえ、半年っ』


『長いわね。それだけあれば、自分たちは許されたと甘えるわよ』

(やっぱり甘いわね~)


『では、三月、いえ、ふた月ではっ』


〖そうだね。森の外にたどり着くのをふた月後。ならいいか?〗

『そうね、私はひと月だって長いと思うけどね』ギロッ


『『『『『・・・っ』』』』』


(ふん。この位でビビってんじゃないわよ)

(まあまあ、気持ちはわかるけどさ)


『あ、ありがとうございます』


〖まあ、条件があるよ。この先、君がエルフを束ねること〗

『そうね。新しい族長はあなたでいいでしょう。これだけのことを言い出したのだもの。責任は取らないとね』

(ふふ。タダで聞くわけないよね♪)

(当然よね。私たちにも言わせてもらわないとね♪)


『わ、私がですか?』


〖そうだよ。これはもう決定事項ね。それから、森の外、まあ、淵でもいいか?ギルドを作ること〗


『ギルド、ですか?』


『そうね。あなたたちが閉鎖的なことが今回のことに繋がったとも言えるんだから、外と繋がりを持つのはいいことかもね』

(さすが、神!将来的にあの子に色んな選択肢が出来るわね)

(ふふ。問題も起こるかもしれないけど、そこはみんなに頑張ってもらわないとね!)


『たしかに・・・』


〖それに、そこで今回、森の外に出るヤツらを監視することも出来るわけだ〗

『そうね。呪いは死ぬまで生きるから、悪事は一切できないしね。改心したヤツはそこで働かせてもいいかもしれないわね。絶対に裏切ることはしないでしょう』

(まったく、神ったら、ここでそこまで言っちゃう?結局一番甘いのはあなたじゃない)

(ふふ。君だって似たようなものじゃない?)

(だ、だって逆恨みなんかされたら目覚め悪いじゃない?フンっ!)

(くすくす。そうだね、そういうことにしてあげるよ)

(何よ!それっ!知らないわッフンッ)

(くすくす)


『『『・・・あっ』』』

『『『うううっ』』』

茨を刻まれたモノ達も、神の言葉の裏にきづいたようだ。これなら、更生も可能かもしれない


『神様、神樹の精、感謝いたします。精一杯、努めさせていただきます』ぐっ

涙を堪えて誓う、新しい族長


〖うん。それから、これが一番重要〗


『な、なんでしょう?』


〖今回のことを包み隠さず後世に伝え、二度と過ちを犯さないこと〗

『そうね。こんなこと二度とゴメンだわ』

〖次は無いよ。次があれば、それはエルフが一人もいなくなる時だ〗キッ

(あら、かっこいいじゃない?そのキリッとした顔)

(まあ、最後くらいカッコつけないとね)

(ふふ。そうね)


『かしこまりました。必ずや』


〖ああ。頼んだよ〗

『さあ、それじゃあ行きましょうか』

〖そうだね。これ以上の長居は無用だ〗

『あ、ちょっと待って』

そう言って神樹の精様が歩み寄ったのは今は寝ている子供達のところ


こそ

『落ち着いたら、セイジュウロウの家に子供たちと遊びにいらっしゃい。この子たちをお願いね』

『は、はい。ありがとうございます。必ず、伺います』

『ええ。待ってるわ』

母親に笑顔で伝え・・・


『さあ、行きましょう』

〖ああ。それじゃ、族長、頼んだよ〗


『はい!』


そしつ、光とともに二人はエルフの元を去り、



ぱあああっ

〖ただいま~!〗

『はあ、終わったわよ~♪』

〖あの子はどう?〗

『はやく会いたいわ~癒しをちょうだい!』


さっきまでのかっこいい姿はどこへやら・・・騒がしくセイジュウロウの家に戻ってきた。


☆。.:*・゜☆。.:*・゜

お読みいただきありがとうございます。

次回、ようやく!出てくる?

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