第42話 勘違いの老人

『はぁ⋯これはダメね。もういいわよね?要らないわ。こんなヤツら。ね?⋯創世の神』


な、何を言っているのだ?

要らない?何をだ?

神樹の精はなんと言った?


『そ、創世の神、だと?』


そんな、まさか

目を閉じたまま、ただ立っているだけのこの若造が?


〖・・・そうだね。私も正直ここまで堕ちてるとは思わなかったよ。神とは皮肉な存在だよね。直接手を出せる時が誕生の時と・・・〗


な、何だ?なんだと言うのだ?身体中から汗が吹き出すのが分かる。体が立っているのが不思議なほどガクガクと震える。

『あ、あぁぁぁ』

や、奴の目が、目が開く・・・っ


〖終焉の時だけどはね〗スゥ・・


ガチガチガチガチっ

『あ、あっ』

奴の目が私を見たとたん、歯が噛み合わずにガチガチと鳴る。

なぜだっ私はエルフの長、いや、王だ。こんな若造に気圧される訳が無いっ


『き、貴様が神だと?でた、でたらめを言うなっ!こ、こんな若造がそんな訳がっ』


『父上っ!お控え下さっ・・・『黙れっ!出来損ないがっ』くっ』ギリギリっ

出来損ないがっ要らぬ口出しをするなっ


『私はエルフの王だぞ!神樹もっ神もっ私のためにあるのだっ!』

『・・・愚かなッ』ぎりぎり

なんとでもほざけっ

『その証拠に神樹はエルフを選んだではないかっ』

『バカじゃない?』

『は・・・?』


な、何だと?


〖神樹の精、違うよ。『バカじゃない?』ではなく〗

『あ、ごめんなさい。そうよね、これは』

〖『バカ』〗

『よね』

〖それも、大が付くね〗


『なっ・・・儂が、儂がっバカだと!?』わなわな

なんと、無礼なっ


〖『違う。大バカ』〗キッパリ


『・・・っ精霊ごときがっ』ギリギリッ


『ごとき?』ギロッ


『・・・っ』ビクッ

な、なんだこの威圧感は?たかだか女の精霊ごときがっ


『何勘違いをしてるんだか知らないけど、私はあんた達の為にあったことなど無いわ。まして、あんたの為だなんて、有り得ない』ギロッ


『・・・なっ』

何を言って

『なら、なら何故ここにっ』


『勝手にあんた達が住み着いただけよ。偶然、私を見つけただけなのにね』


な、何だと?だが、伝承では

『そう伝わっているのに。って?』フッ

『・・・っ!?』

な、なぜ

『何故!あんたの考えていることが分かるかって?そんなの当たり前じゃない』

〖神樹は私がこの世界を守る役割を与え、天界より降ろしたのだ。云わば、私の代理。その分身である神界樹の精霊は神に次ぐ者、お前如き・・の考えが読めないわけが無いだろう〗


『・・・っ』ブルブル

わ、儂如き?如きだと?


『何を怒っているのかしら?自分が私たちに思っていたことを返されたから?たかだか女の精霊ごとき・・・・・・・神ごとき・・・・あんたが散々思っていたことでしょうに。自分が思われることはないとでも?お前如き・・が』フッ

『・・・っ』ぶるぶる

く、クソッ



神様と神樹の精様、裏の声


〖ぷぷっノリノリだね~『フッ』だって!あんまり楽しみすぎちゃダメだよ〗くすくす

『あら、神様だって〖私〗だなんて、口調までいつもと違うじゃない?ぷぷっ』

〖まあ、しかし、よく鳴くね?この爺さん〗

『如き如きね。ほんと腹が立つわ』フンッ

〖まあ、もう少し遊んであげなよ〗

『あら、少しでいいの?やるなら徹底的に・・・でしょ?』ニヤ

〖やれやれ、程々にね〗にんまり

『任せて♪』



☆。.:*・゜☆。.:*・゜

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