第23話 ご先祖さま?

この家に代々伝わるという本。それが何故か私なら読めるんじゃないかと言う。


「ど、どちて?」


〖君はさ、この家とか、この家の人達の服装とか見て、何も思わなかったかい?〗くすくす


「ほえ?」

家と服装?

家⋯あれ?畳?神様のおしりの下には座布団?ちゃぶ台に、和箪笥に、鴨居に土壁、むき出しの木の柱⋯あ、床柱立派なのに床の間に変な掛け軸?、竿縁天井?襖に、障子?

これは、これは、めちゃくちゃ

「にほんかおく⋯」

〖うんうん。だよね?〗


お洋服⋯ハイエルフさん、若草色のお着物に羽織に、足袋に、髪を結ってるその紐は組紐?

それにママのカッコはお着物にエプロン、ほっかむりは日本手ぬぐい?家妖精さんたちは

「かっぽうぎ⋯」

〖そうそう〗にこにこ


と、言うことは?もしかしてご先祖さまって


「にほんじん?」

〖ピンポーン♪ちなみに彼の名前はね?〗


『カミシロ セイジュウロウと言う』


「ほ、ほえ?」

なんですって?


『カミシロ セイジュウロウだ』


「に、にほんじん?」

その割に、何か、カタコトなカタカナ語に聞こえるんだけど?


『その昔、カミシロ セイイチロウと言う日本人が召喚され、ハイエルフの族長の娘と結婚したんだそうだ。それ以来、後継者にはセイジロウ、セイザブロウと、名前の数字だけを変えて名を引き継ぐこととなったらしい。私がちょうど十代目という訳だ』


「へ、へぇ~、しょうなんだぁ、ちなみに、しょの、かけじくは⋯?」ヒク

なんて書いてあるかご存知?


『ああ、初代様のありがたいお言葉らしく、家宝にせよ!と仰ったそうでな。だが、もう誰も読めんのだ』はあ⋯


「へ、へぇ~しょっか~」ヒクヒク

読めなくて良かったんじゃないかな?


ハッ!

『もしかして、読めるのか?』


ギクゥッ

「え、えっちょ~」

言ったら、ショック受けるよね?ど、どうしようかな?

こんないい人のご先祖さまがなんでこんな残念な人!?

か、神様、神様は知ってるの?バッ!


〖⋯⋯〗

『⋯⋯』

ど、どうなの?

〖⋯⋯〗にこぉっ

ガーンっ

し、知ってるなっ!


こそこそ

「か、かみしゃま、おちえてあげちゃりゃ?」

〖ええ?やだよぉ〗

「しょだいしゃまって、もちかちて?」


〖えっとぉ、彼はね?『大正昭和ロマンっていいよね~♪平成令和にはない色気?っていうの?俺、和風喫茶って言うのやりたかったんだよね~。着々と準備してたんだよ俺。なのに、あのいけ好かない王とかいう奴がさぁ、魔王を倒せとか言って勝手に俺を召喚なんかしやがってさぁ。民を助けろ?自分も城ん中も趣味の悪いいかにも高価です~ってやつで溢れてんだぜ!宝石とかジャラジャラさせて何が日々の食うものにも困るだよな?でっかい腹タプタプさせてよ。あんまり頭に来たから、だったらそのジャラジャラつけてる宝石で何とかしろやっ!って民衆の中にぶち込んでやったんだよ!城にあった高そうなもんとか一緒にさ!よっぽど嫌われてたんだな~?あの王族。あっという間に全身ひん剥かれてやんの!今どきのオタク舐めんなってんだよな!あ、魔王とかいうヤツも勝手に悪者にされて迷惑被ってたんだってさ。この森を守ってるだけなんだって。すっかり仲良くなってさ~、人間の街には居ずらいだろうからってこの土地くれたんだ。家もさ、ハイエルフって木の扱いが上手い種族だからって紹介してくれて、俺の拙い説明からこの家建ててくれたんだ!良い奴らだよな!俺の作った料理や菓子もすっげぇ喜んでくれるんだぜ!だから、俺はここで楽しく暮らせてるんだ!魔法も楽しいもんな~ラノベやゲームで培った知識で俺は生き抜いてやるぜ!ワハハハ!』って、召喚を止められずに謝罪に来た僕に言うような人物だったよ〗


「へ、へ~」

まとめると?大正昭和レトロモダン好きの、ラノベ大好きゲーマーさんが、勇者として召喚されたけど、勇者として働くどころか召喚した王族を滅ぼして、魔王と仲良くなった。ってこと?中々ぶっ飛んでるね。

それにしても平成令和って、どういうこと?


〖あ、それは召喚される時間軸がね、バラバラなんだよ。時の流れも違うみたいだしね〗

な、なるほど~


『あ、あの?それであれには何が書いてあるのだろうか?』


ハッ!

そ、そうだったぁ!どどど、どうしよう?


☆。.:*・゜☆。.:*・゜

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