第5話

氷視点


 先生が入って来て、寝て居るメンバーが一斉に目を覚ました。


 「みんな、眠そうだな。この部屋の温度変えるか?」


先生のスーツの姿は久しぶりに見る。未来の先生はもっとだらしない格好が多い。よく考えたら、先生は元は真面目な印象があった。だが、きっとそれが変わってしまっただろう。私達のせいで。


 それよりこのスーツを着ている先生はどっちなんだろう?


 あと今起きた生徒達は?


 私は調べる方法を考える。早く調べないと、太郎にとって授業中も決して平和じゃない。


 「先生!!」

急に叫ぶなんて、 絶対にこの時の私はやらない


 「おっどうした氷?」

先生は普通に驚いている。これは違うのか?


 「先生は未来にどんなことが起こると思いますか?」

 

「本当に急に聞くな?まぁ基本静かでこんなふうに聞いてくるなら事情があるのか?」

 この様子から、違う方が濃厚だ。


 「どれくらいの未来?」


 「先生に任せます。」


「うーん?じゃあざっと10年くらい後だとして。」


やっぱり、未来の先生じゃなさそうだ。


 「きっとその頃には俺にも子どもが居て、このクラスにもある程度、結婚するやつも出るんだろうな。そしてたまに俺と飲みに行くそんな感じかな?」

最後しか会ってません先生。


 「俺はいつか皆と飲み会が出来ることを楽しみにしているぞ」


ーーーーーーーーーーー


 「ねぇ、さっきはなんであんな質問したの?」


隣の席の未機 棚、未来では本屋で働いている。


 この質問からきっと棚も未来の記憶がある訳じゃなそうだ。


 「それはなんとなく、それよりごめんね。」


「どうしたの?氷?」


 私は棚を置いて、すぐに太郎の元へ向かう。


 「太郎!!」


「何?」

少し怒り気味に返事をする。


 「その、何か悪いこととかなかった?」


「・・・嫌味?」


しまった。彼にとは嫌味にしか聞こえない。昨日までの私は太郎にとっては悪い人間でしかない。


 


 

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