第14話 晩御飯準備と栄養 ②

 前置き失礼致します!

 食材に関するあれこれが出てきてますが、全部ちゃんと読むのは大変かと思います。

 鑑定結果の内容など特に…(笑)

 ですので、めんどうだと感じる方は流し読み程度で、『オレオルの鑑定結果がなんかバグってるんだなー』とそれだけ覚えて先に進んでいただければ大丈夫です。

^─^─^─^─^─^─^─^─^─^─^─^─^─^─^─^─

 ガリク(ニンニク)がカリカリになるまで待ちつつ、肉を漬けている間、明日以降食べる予定の分と今日刺身で食べる分にもとりかかる事にしたオレオル。


 普通の水で作ったブライン液につける分、血抜きで水につけて放置する分、下処理にトリミングだけをして大きな寸胴に放り込む分、同じくトリミングだけしてそのまま切る分、切ってタレに漬け込んでおく分、生で刺身として食べる分を準備していく。

 途中からは今日焼く分の肉が終わった2人も来て3人でとにかくたくさんの肉を捌いてくれたので1人で準備するよりはるかに早いペースで進んだ。


 そしてある程度それが終わった頃、もう少しで内臓系の血抜きとベビーローズティにつけている肉の漬け込みが時間的に終わりそうなため残りの焼く肉のカットと盛り付けを2人に任せ、オレオルは残りのやっておくべき料理に取りかかる事にした。


 時間のかかる調理からやっていこう。

 って事で骨から。


 オレオルは調理用道具袋から大きめのコンロと寸胴を取り出すと、ファイヤーオストリッチの骨を手に取り、少し乱暴にはなるが浄化魔法をかけて強引に血抜きをすませると、それを鍋に投入した。

 そしてその鍋の中に精霊に頼んで普通の水を張ってもらう。


 よし! しばらく火にかけて放置して、ちょくちょく見に来て灰汁あくだけ取ろう。


「あ、そういえばお2人に聞き忘れてましたが、今晩はバーベキュースタイルで焼きながら食べるって感じでいいですか? 」


 せっかくの新鮮な高級肉だし余計なことをせずにシンプルにいきたい。


 オレオルは火にかけた鍋に【時間経過速度上昇】魔法をかけつつ尋ねた。


「ばーべきゅーすた…えっとそれはなんですか?」


 あれ、バーベキュースタイルって言葉ももしかしてじいちゃんにしか通じないロウル語だった?


「バーベキュースタイルというのはじいちゃんが好きだった肉の美味しい食べ方で、みんなで焼きながら食べる食べ方?です! 」


 たぶん。


 実はじいちゃんも人から聞いた食事スタイルだと言っていた。


 オレオルはそんな事を考えながらバーベキュー用の道具一式が入っているマジックバックをリュックから取り出した。


「せっかくの美味しいお肉ですし、俺は初めての肉ですし、皆さんの方が美味しくなる方法をご存知かと思いまして⋯」


 バーベキューなら作り置きしてる各種タレ達と調味料だけいろいろ出して置けば、各々が好きな味付けと焼き加減で飽きずに肉を楽しめる。

 会ったばかりの4人の好みもわからないし、万が一俺が食べすぎて用意してる分が無くなっても、切ってくれば補充できるからちょうどいいと思うし。


「常に出来たてが食べれるって事か! それはいいな! 」


 アレクのいい返事を聞いたオレオルはバーベキュー道具用のマジックバックの中から、特別製魔導コンロ(バーベキュー用)、折りたたみ式テーブル(大)、折りたたみ椅子5つ、各種調味料とタレセット、皿、コップ、トング、ナイフ、フォークなどを取り出した。各種調味料と作り置きしていたバーベキュー用のタレ達はマジック保冷ボックスごとその場に置いた。


「さすが国宝級マジックバック…」

「そうね、こんなに大きなテーブルまで入るのは【重量無視】あってこそね」


 少し離れた地面に引かれた線の向こう側から声がした。周囲を念の為に警戒しつつこちらを見ていた女性2人だ。


「なんか魔獣も魔物も来ないみたいだし、ぼく達はそのテーブルのセッティングしてくるよ〜」

「そうね」


 そう言って食材接近禁止令が出ている2人は料理担当の2人から『調味料各種が入った保冷ボックスは絶対に開けない』という約束をさせられた上でオレオルが出したバーベキュー用セットを持って少し離れたところでテントを張り始めた。


「パンと野菜は手持ちから出そうと思いますけどそれでいいです? 」


「別に構わないが…では、その分のお金は支払おう」


「別にいらないですよ? 」


 俺が自分で食べる量に比べたら4人分合わせてもなんて事ない量だろうし。


 オレオルは別にいらないと固辞しようとしたが、珍しい調味料もあるようだし、こういう事ははっきりさせておいた方がお互い気兼ねなく食べられるからと言われて、結局お金を受け取ることになった。 金額にして4人合計で小金貨2枚。


 うーん…だいぶ多い。

 護衛代に足りない分あるしご飯くらい奢っておきたかったんだけど…ここで揉めてまで断るのは本末転倒だしなぁ。

 しょうがないから別れる時になにかお金以外で別にお礼をしよう。


 と、そんなこんなでお金のやり取りをしているとガリクがいい感じの色になっていたので慌てて取り出して冷ましておく。


 血抜きしていた内臓達とベビーローズの液につけておいた肉ももう良さそうだ。つけすぎは良くないし。

 こちらも今日食べる用でアントンさんとアレクさんが食べやすいサイズに切ってくれると言うので任せた。

そして、オレオルは作ってみたいと解体時から思っていた料理、カルパッチョにとりかかる。


 このカルパッチョという料理は以前ブラックホーンブルの肉が手に入った時、じいちゃんに教わって作った料理で、じいちゃんが好きだったからよく作っていた。


 カルパッチョ用に程よい塊に切り分けてから先程まで漬けこんでいた塊肉を、さっきまでガリクを揚げ焼きにしていたフライパンにいれた。

 全体の表面に焼き目がつけばそれでいいのですぐにフライパンからとりだす。


 肉の焼けるものすごくいい匂いがする…。

 お腹空いた。


 カルパッチョに関してはあとは薄くスライスするだけなのでソースを作ることにしたオレオルはカバンの中から野菜や調味料を取り出した。


 さっきの蜂蜜のこともあるから念の為に【鑑定】。


 ───────────

[コマト]

 魔素によって変異しているがミニトマト。

 はるか昔「ミニトマトが食べたい」といったとある国のお姫様の家臣が苦心の末何とか作り出した野菜。今ではいろいろな国でいろいろな種類が栽培されている。

 主な栄養素はリコピン、βカロテン、ビタミンCなど。

 可愛らしい見た目と甘い事からこの世界ではもっぱらスイーツに使われているが、油や加熱と相性がいいので火を通して使用するのがいいとされている。

 ───────────


 コマト(ミニトマト)って加熱にいいのか…知らなかった。


 ───────────

[クペミス]

 魔素によって変異しているがきゅうり。

 世界一栄養の少ない野菜として有名だが、実際は最も熱量が低い、ローカロリーな果実というだけで栄養が無いわけでは決してない。95%以上が水分だという事が誤解を加速させた原因かもしれないがそこは定かでは無い。

 主な栄養素はカリウム、ビタミンK、ビタミンC、食物繊維など。

 定番はサラダ・酢の物・漬け物といった料理にする事だが、スープにしたりヨーグルトとあわせたり千切りにして肉と一緒に炒めたりとさまざまな味わい方がある。

 ───────────


 ヨーグルト…炒める…。

 美味しいのかな今度やってみるか。


 ───────────

[オローグオイル]

 魔素によって変異しているがオリーブオイル。

 オローグの果実から搾り取り水分と分離させた油。主に料理に使われることが多い。

 多く含まれるオレイン酸は悪玉コレステロールを減らし善玉コレステロールは減らさない働きがあるため、動脈硬化にともなう心筋梗塞・脳梗塞・高血圧などの予防に役立つと言われている。

 ───────────


 はい。わからんから次。


 ───────────

[ブラックペパ]

 状態:乾燥

 魔素によって変異しているが黒胡椒。

 完熟直前のペパの果実を乾燥させて香辛料として加工したもの。

 はるか昔は高価で庶民には手が出なかったがある国のお姫様が普及に尽力し今ではどこの街でも比較的安価に手に入れることができる定番の調味料のひとつ。

 主な栄養素はカリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄分、マンガンなど。また、ピペリンという栄養吸収を促進させる効果のある成分も含まれているため風味が増すだけでなく体にもいいとされている。

 ───────────


 あー、昔は高かったってのはじいちゃんに勉業の時に聞いたな。


 ───────────

[エソル]

 塩。

 主成分は塩化ナトリウム。

 岩塩を綺麗に洗浄し粉砕した後に魔法によって有害物質を取り除かれたもの。

 はるか昔は海の遠い内陸部では高価でその地方に住む庶民には手が出なかったがある国のお姫様が「塩が高い!」と家臣に普及に尽力させた。

 今ではどこの街でも比較的安価に手に入れることができる定番の調味料のひとつ。

 ───────────


 この姫様ほんといろいろやってんなー。

 家臣の人大変だったろうなぁ。次。


 ───────────

[ミッカの葉]

 魔素によって変異したミント。

 さわやかで冷たく感じる独特の風味がある薬草の葉。

 収縮した血管を広げる効果があるため緊張型頭痛を緩和する効果があり、胃のむかつき吐き気などにも効果があるのでストレスから調子を崩している時などにお茶にして飲むといいとされ、この世界では広く普及している。

 また、子宮の筋肉の収縮を緩和する働きがあり生理前や生理中1日2~3杯を目安に飲むと生理痛を軽減させる効果がある。

 さまざまな効果があり体にいいとされているが副作用もあるため、肝臓や胆のうに異常がある時、流産の経験がある時など、控えた方がいいとされる事もあるので、この世界での取扱には薬師免許が必要。

 ───────────


 はい。以上で鑑定終わり!


 結果、食材そのものには異常なし!

 けど、鑑定結果には異常あり!


 おかしかった【鑑定】が前よりさらにおかしくなっている。食材関係はなぜか特に変化が激しいようだ。

 俺ってそんなに食い意地はってるのかな...そんなつもりないんだけどな。


 それになぜかちょくちょく登場するある国のお姫様とか、頻繁に出てくる"この世界"って言葉とか、他にも俺の鑑定にしか出てこない謎ワードはたくさんあるし...鑑定のくせに不明な点が多すぎるんだよな...。

 鑑定したのに謎が増えるって俺だけだよ?


 今回の鑑定結果だけでも、ミニトマト、栄養素、リコピン、βカロテン、ビタミンC、きゅうり、カリウム、ビタミンK、食物繊維、オリーブオイル、

 オレイン酸、悪玉コレステロール、善玉コレステロール、動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞、高血圧、黒胡椒、カルシウム、マグネシウム、鉄分、マンガン、ピペリン、塩、塩化ナトリウム、ミント...

 とまあ、あげればキリがないしクペミスの『世界一栄養の少ない野菜として有名』ってどこで有名なんだよ! って感じだし...

 その言葉の読み方は鑑定結果と一緒に頭の中に勝手に入ってくるからギリギリわかるけど、それだけだからわけわかんない気持ちになるんだよなぁ。


 俺、俺の鑑定スキルの謎ワード専用辞書か専用解析スキルが欲しい。


 真っ赤なコマト(ミニトマト)を半分にカットし、クペミス(きゅうり)は細かく刻んでボウルに入れ、そこにオローグ(オリーブ)オイルを回しかけると細かく砕いたブラックペパ(黒胡椒)とミッカ(ミント)の葉をアクセントに入れる。

 最後にエソル(塩)で味をつけて味見。


「うーん...なんか栄養的に心配」


 あっそうだ残ってたけど量が多すぎて使い切れてなかった豆があったな。


 ───────────

[チャナピー]

 状態:塩茹で

 魔素によって変異しているがひよこ豆。

 主に大陸の南の方で人気の主食。

 食物繊維が豊富で腸内環境を整える効果がある。

 主な栄養素はカリウム、カルシウム、マグネシウムなど。

 豊富な栄養をもっており、高血圧予防やコレステロールの吸収を抑制する効果があるなど大陸南部に限らず健康志向の女性を中心に人気の食材。

 ───────────


 これもなんかいろいろ書いてある…。

 まあいいや、入れるか。


 なんかもはやカルパッチョというよりサラダな気がするけどまあ美味しければなんでもいいよな。


 あとは...あ、そうだ! さっき森でキノコ見つけたんだった!


 アントンさんが「今まで帝国内では見た事ありませんでしたが、美味しいですよ」って言ってたやつだ。

 採る前に毒が無いかだけ簡単に【鑑定】して確認したけど大丈夫そうだったから採れるだけ採っておいたのだ。

 これもバーベキュー用の食材に加えよう!


 ───────────

[シイタケ]

 状態:魔素超過多

 はるか昔ある国のお姫様が「干し椎茸のお出汁の効いた美味しい煮物が食べたいわ」と家臣に無茶ぶりをした結果、家臣のとんでもない苦労の末にこの世界に生み出され、長い時を経て魔素によって変化したとても美味しい食用キノコ。当時はお姫様とその周囲しか食べられない超高級キノコだったが「それじゃあダメよ」と言われた家臣のこれまたとんでもない苦労の末にこの大陸全土に広がった。

 主な栄養素はエリダデニン、ビタミンB1、ビタミンD、食物繊維など。

 干して乾燥させることで三大うま味成分の一つであるグルタミン酸が増加する他、同じ三大うま味成分の一つであるグアニル酸が生まれる。また、日光にあてることでビタミンDも増加するので天日干ししてからつかうといいとされている。

 そっくりな見た目で元からこの世界に自生するブラナ茸という猛毒キノコとそっくりなため注意が必要。

 ───────────


 三大うま味成分..?

 グルタミン酸?とか言うのとグアニル酸?とか言うこれがそうか?

 こういう書かれ方するとあとひとつあるんだよな。

 あとひとつなんだよ、気になるだろ! 書いといてよ!


 まあ…でも、"うまみ"ってついてるってことはうまいんだよな? 知らんけど。


 なんか天日干しがいいらしいし、日が落ちるまでは干しとくか。美味しくなれよー。



^─^─^─^─^─^─^─^─^─^─^─^─^─^─^─^─

 お読み下さりありがとうございます!


 食材の名前に関しては世界観のひとつとして現実とは名前を変えてますが、覚える必要はありません…

 もしかしたら後々名前を変えるかもしれませんが、その時はお知らせいたします…


 火の通ったミニトマト美味しいですよね。私は好きです。

 あと、現実でもしいたけに似た毒キノコは存在するそうですね。なんでもツキヨタケという名前らしいですが…

 私は今回の事で調べるまで名前を知りませんでしたが、毒キノコなのに可愛い名前してるんですね。


 ↓の♡ところをポチッと押して行ってくれると

 私のやる気とモチベが上昇するので

 どうぞお気軽によろしくお願いいたします!!


 また、[☆☆☆]レビューやコメントもよろしければお願いいたします

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る