ダンジョン配信はついで扱いで無双します。

放浪者

第1話_間違いからの無名配信

「どうしてこうなった…?」


俺は1人あるダンジョンの石の上に座って考えた。


両手にはふたつの機器があり、片方は己のスマホ、もう片方はここダンジョン内で必要不可欠なデバイスを持って俺は再度デバイスの方に目を向けた。


:お疲れ様

:無名最強!無名最強!

:拡散待ったナシ!

:切り取りめっちゃ上がってて草

:配信終わってんのに視聴者入ってくるのおもろww

:遅かったの泣き;;

:ww


「いやぁ…ミスった!ほんとどうしようか?これ、幸いだったのが顔を写していなかったことだな。」


未だに結構な速さで流れているコメント欄を俺は見たあと、ため息をつきながら閉じ、スマホの方を見た。


「もうダンジョン探索って気分でもないしあいつへの動画は後でいいかぁ」


俺は何故こんなミスをしてしまったんだとため息をつきながらその時を振り返った。


時は数時間前、、


「お願いだ莉久りく!」

「無理」

「即答!まだ何も言ってねぇぞ!?」


俺は両手をパンッと叩き、こちらに手を合わせながら見てくる友のじんを半目で見ながら言った。


「どうせダンジョン一緒に行ってくれーだのいうんだろ?何度言われてそれを断ったと思ってる?」

「お前、さては心を読むスキルか何か手に入れたのか?」

「バカか」

「あ痛て」


俺は馬鹿なことを言う仁の頭を叩いた。


「まぁ何回も言ってるし諦めるしかねぇかぁ…。」

「おぅ諦めてくれ」

「莉久の無双がまた見たかったんだがなぁ…」

「そんな目で見ても嬉しくねぇ。せめて可愛い子になってから言え」

「俺に女子おなごになれともうすか!?」

「んな事言ってねぇよ!?」


その時何かを思いついたのか仁はハッとした顔をしながら詰め寄ってきた。


「ならあれだ動画撮って送ってくれ!!」

「は?」

「俺は別に無双しているところがみたいってだけで、別に一緒に戦いたいとかダンジョンでチーム組んで色々やりたいとかじゃないんだ」

「ほぅ?」

「だから動画を莉久が撮ってそれを俺に見せてくれよ!」


仁はそう言いスマホを操作してその画面を見せてきた。


「やっぱり!見てくれこれを!ダンジョン説明には動画を撮ってはダメ、誰かに送ってはダメと言う記載はなかった!つまり!」

「俺がその場面を撮って仁に送ってもなんの罰もないって?」

「だめか?」

「…はぁ。まぁ良いぞ。ただしあくまでついでだからな?」

「見れるってだけで俺は猛烈に嬉しい!!」

「うわ、リアクションが水を得た魚のそれだわ」


そうして仁から強めに動画を約束され、スマホをに入れてダンジョンへと向かったのだった。


「さてと、あいつのためにも動画を撮りますか。」


そう言ってからスマホを取り出し動画が取れる機能を起動させ、いつも通りにダンジョンを徘徊した。


そうして、時は戻り


「なんできちんと見なかったんだ俺ぇ!少し見たらわかるだろぉ?」


俺は色々と思い出し、考えたが全てが後の祭りであり無駄だということを知っている。


「仕方ねぇか。とりあえず今日はもう帰ろう。」


どうすることも出来ないと諦め、俺は家へと帰った。


彼の配信が日本全国へと広がりつつある事を知らずに…。


小説外報告

ルビと傍点の仕方がわかったので直しました。

これでより見やすくなったと思います。

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