生き残った少女と戦闘兵器

野うさぎ

プロローグ

「何だ、あれは?」


 ここは異世界。

 俺はどうゆうわけだか、転移してしまっていた。


 人類に突如として攻めてきた大体4メートルから6メートルあたりの巨大な戦闘兵器が、町を次々と崩壊していった。





「戦うしかないのかっ・・・・・」


 俺はそう呟いた。

 中で操縦しているのは、同じ人間。

 攻撃することには抵抗があるけれど、これ以上の被害を出すわけにはいかない。


 俺は、カンバーツ。

 訓練校を卒業、戦闘兵器の操縦士試験に合格し、新米の操縦士。


 俺は急いで、秘密基地に向かった。

 

「間に合え・・・・!」


 ゼエゼエと息をはく中、俺は自分の戦闘兵器を探した。

 

 どこだ?

 

 ここは工場とも近いから、見つかるのも時間の問題だ。


 ここで、自分のお気入りである緑の大体、大きさが5メートルある巨大な戦闘兵器を見つけた。

 

 これに、乗るぞ!


 俺は戦闘兵器の中に入り、ボタンを押した。

 そうして、緑色のライトが点滅し、戦闘兵器が動き出した。


 俺は、複数の戦闘兵器を前に、立ちはだかった。

 俺は、外にも聞こえるようにマイク機能を使った。


「町の平和をおびやかす悪党め、ここで制裁を下してみせる!」


「何だ、あいつは?」


「一人で立ち向かうとか、正気か?」


「町を集団で襲う方が、正気を疑うわ!」


 俺は、ツッコミを入れた。


「こういうボケナスいるよなあ」


「ああ、こう言うやつから自滅する」


「ボケナスは、どっちの方だ!」


 俺は、カッとなって言い返した。


 俺は集団で襲いかかる軍隊達と喧嘩している間に、緑のカエルの巨大な戦闘兵器が、素手を使い、一撃で倒してしまった。


「気が利かないのね」


「この声は・・・パロラーチョ」


 パロラーチョは、黒に近い茶髪をボブヘアーにして、茶色の瞳を持つ操縦士。

 気の強い瞳に、生意気な口調は彼女以外は考えれなかった。


「こんなこともできないなんて、ブスね」


「言葉の使い方、間違えてる」


「うるさい!


黙れ!」

 

 パロラーチョは、よく言葉の意味もわかっていないのに使うし、どうしていいのかわからなくなると「うるさい」とか「黙れ」は日常茶飯事。


「気持ち悪い」


 俺を見て、そうつぶやく。


「これは、俺に対する宣戦布告か?」


 俺は、カチンと来て言い返す。


「は?


イミフ」


 彼女は、語彙力がなぜかない。

 どうやって、操縦士になれたのかわからない。


「もっと、他にいうことあるだろ?」


「ばかにしてるの?」


「その悪口以外、もっと表現方法あるだろ?」


「いじめてないし」


「そんなこと言ってないから」


 なぜ、話が噛み合わないんだ?

 そこにイライラしてきそうだ。


「何で、察してくれないの?」


「へ?」


 なぜ、急にそうなる?

 俺は、頭が追いつかない。


「空気で察してよ」


「何が?」


「だから、ブスなの」


「意味がわからない」


「頭バカなの?」


「それは、こっちの台詞だ」


 こいつの喋り方には癖がある上に、何を言いたいのかよくわからない。

 だれか、通訳してくれる人を用意してほしいくらいだ。


「とにかく、これで終わったのか?」


「は?」


「町の平和は守られたことだけは、感謝してやる。


だけど、君は語彙力を増やしてくれないか?」


「察してよ」


「だから、なぜそうなる?」


「あなたと大違い」


「やっぱ、ついていけない」


 こんなパロラーチョを無視して、俺は本部に帰る。

 だけど、パロラーチョは後をついてくる。


「逃げんな!」


「帰るだけだから!


どうして、そんなふうにとったの?」


「は?


イミフ」


「俺は本部に帰るの!


これで、わかった?」


「あなたって、ブズね」


「さすがに怒るよ?」


「いいよ、怒って」


 こいつ、売り言葉に買い言葉だ。

 

「うち、あんたと口ききたくない」


「じゃあ、そうしたら?」


「変わった髪型だね」


「悪かったな!」


 俺はごく普通の髪型だが、どこが変わっているのかよくわからない。


「ロボット」


「え?」


「ロボット」


 急に、どうしたんだ?

 パロラーチョは、何が言いたいのかよくわからない。


「うるさい」


 俺は、パロラーチョが理解できない。

 会話も噛み合わない上に、語彙力がないから、こいつがアンドロイドではないかと思う時がある。


 本部につき、ヘフェという俺の上司に挨拶した。


「ただいま、帰ってきました」


「おかえり。


ところで、パロラーチョ君挨拶は?」


 パロラーチョは、なぜか耳を塞いでいた。


「パロラーチョ君!」


「は?」


「上司に向かって、この態度はありなのか?」


 また、パロラーチョはヘフェさんに怒られている。


「パロラーチョ君、この間にバイトさぼったっていう情報があってね・・・・」


「うるさい!」


「うるさいとは、何だね!」


「あなたって、ブス」


「それ以外に、言うことはないか?」


「ロボット」


「語彙が少なすぎる上に、

国語、数学、理科、社会、英語が赤点という情報もあって・・・」


「黙れ」


「人が一生懸命に話しているところを!」


 ヘフェさんは怒るとこわいけれど、パロラーチョはなぜか反論をやめない。


「冷たい。


優しくない。


自分のことしか考えてない。


小学5年生に対して、優しくないのね」


 ヘフェとパロラーチョはこうして、よく喧嘩している。

 俺は、放っておくことにした。


 俺は「生き残った女の子」と呼ばれる存在に会いに行こうと歩き出した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る