Grow up together ~ヲタク幼馴染が可愛さ限界突破する一日~

紳源

第1話 ベッドに寝そべる陰キャ幼馴染

//SE:主人公 自室のドアを開ける

//SE:主人公 自室のドアを閉める

//SE:主人公 ベッドに寝そべる主人公の元へいく


//BGM:ゲームの環境音

//SE:タブレットを数回タップ

//ボイス位置:正面

//演技:ベッドでお菓子をむさぼっている

【幼馴染】

「あむっ……もぐもぐ。……んぉ?」


//演技:足を止めた主人公に気づいて、声をかける

【幼馴染】

「おー、お帰りなさぁーいー。遅かったですなー。

 今日もぬくぬくベッドに仕上げておきましたぞ~」


【幼馴染】

「ささ、本日開始の『ドレアカ』の新イベに興じましょ。

 今回も我々の想定を軽く凌駕する面白さですからな~」


【幼馴染】

「勿論限定キャラもいますぞ。

 しかも、今回はせつの最推し!!

 これすなわち、命を賭して手に入れろという神の啓示」


【幼馴染】

「むろん、その思し召しに従い、ためにためたジュエルと

 お小遣いをツムツムしまくりました。そして――――」


//SE:タブレットの画面を主人公の前にかざす


【幼馴染】

「じゃっじゃーん!! 見事、今回の限定キャラ・

 『水着パピヨン』ちゃんを無事お迎えしたのです!

 ささ、刮目せよ! この可憐なお姿を崇め奉るがよい!!」


【幼馴染】

「性能面も攻撃に必殺は高火力、防御力もなかなかの頑丈さ!

 ただ、異常状態にかかりやすいという調整ありですが」


【幼馴染】

「ただ、それを補っても余りあるこの可愛さよ!

 ほら画面越しから二、三度愛でてあげると……」


//SE:タブレットを数回タップ


//演技:はてしなく気持ち悪さを倍増させる

【幼馴染】

「フヒ、フフ、フへへへ♪ 今の聞いた、聞きましたよな?

『ちょっ、マスターさんのバカ』ですってよ、きゃー!」


//演技:以下台詞、二つ分はオタク特有の早口

【幼馴染】

「女の子の口から言わせたい覇道の台詞一位をこれまた

 ツンデレ口調で仕上げているだが見せる顔は完全に

 誘っているとしか言いようがないほどの顔」


【幼馴染】

「『バカ』と言いますがそもそもその言い方が

 触ってくれと言わんばかりのそこはかとなく

 にじみ出ているえちえちな波動」


//SE:タブレットを数回タップ

//演技:気持ち悪く半笑いで喋る

【幼馴染】

「おふっ♪ ごめんよ、パピヨンちゃん。そんなにすねないでー。

 今のおねーちゃんがえちえち過ぎましたねー……フヘへへ♪」


【幼馴染】

「ほら、お主も! いつまでもそこに突っ立っておらず、

 早く学生から、拙と同じ罪深き業を背負いましょうぞ!

 欲望に忠実なマスターにジョブチェンジを……」


//SE:主人公 タブレットを取り上げる

//演技:取り上げられたタブレットを必死に取り返そうとする

//演技:怒っているわけではなく、ふざけている感じだお思う

【幼馴染】

「――あっ!? ちょっ、なにをなさるのです!

 からかうにしてもタブレットを取り上げるなど、

 やって良いこととっ、悪いことが……あうっ!?」


【幼馴染】

「そ、そんないきなりド正論をぶっこまれましても。

 た、たしかにこれはおぬしのタブレットですが……」


【幼馴染】

「し、しかしアカウントも拙のですし、高原ゾーンを思いっきり

 駆け抜けたいのはオタクの夢、いえ人間の本来持つ欲求!」


//演技:声が少しデカい

【幼馴染】

「お主もそんな気分に浸りたくなる時が

 ないはずがないのではありませんかなっ!」


【幼馴染】

「それにお言葉を返しますが、

 毎日戸締りしない不用心なお主もいけないと思います」


【幼馴染】

「それゆえに、拙にやすやすとタブレットを使われる始末。

 むしろ直帰し、お主の部屋の防人さきもり

 任に就く拙への報酬として少しぐらいは……」


//SE:主人公 近くの壁を叩きつける

//演技:ちょっと怖くなって、年相応の女の子になる

【幼馴染】

「――ふぃぃ!? あ、え、あ……なになになに!? 

 そこまで気に障るようなことい、い、言っちゃった?」


【幼馴染】

「あの、それなら、ごめんなさい。もう言わな――」


//SE:ベッドが軋む(主人公が上に乗る)

【幼馴染】

「――ひゃあ!?」


//演技:ますます混乱する

【幼馴染】

「あっ、ぇ、あ……なんで、なんで?! 

 なんでベッドに上がってきてるの?」


//演技:ピンク方面的なこと考えて動揺する

【幼馴染】

「ま、まさか、も、もしかして……ううん、

 もしかしなくてもそういうことなの!?」


【幼馴染】

「た、たしかに私も興味はある……けど、だ、ダメだよ。

 その……こういうのはもう少し大人になったほうが」


//SE:ベッドを軋ませ、主人公迫る

【幼馴染】

「あわわわぁ!? わかったから!

 や、優しく! 優しくしてくれたら――」


//SE:主人公 幼馴染の顔に紙を突き出す

【幼馴染】

「ひゃぷぅ!? あ、え、なにこの感触? 

 え、か……紙? これは……」


【幼馴染】

「『次回の婚姻実習のペア決定表』……?」


【幼馴染】

「これがどうかし……あ!

 私のペア……キミとなんだ……」


//演技:聞こえない程度に、はしごを外されて少しすねる

【幼馴染】

「な、なんだ……そういうことなんだ。

 でも、それならそうと口で言えばいいのに……」


【幼馴染】

「あ、いや、なんでもないです、なんでも。

 それでなにを……は? 

 今から私がいい点を取れる練習をする!?」


【幼馴染】

「いやいや、なんで?! 今からとか意味わからないんだけど

 そんなメンド―なことをしても……うっ」


【幼馴染】

「キミは痛い所をなかなかつくな。

 たしかに前の実習の時の点数低いよ。

 この前は授業参加の二点……だった」


【幼馴染】

「ちょっ、可哀想な子を見る目を向けないで!

 参加しただけでもえらいじゃん」


【幼馴染】

「それに『婚姻実習』について大いに異論があります……ぞ!」


//演技:オタク口調で虚勢を張り、反論する

【幼馴染】

「おほん! そも今の世は多様性なんでしょ!

 それつまり人の得手不得手を認めましょう文化」


【幼馴染】

「得手はお相手にやらせて、相手の不得手を自分が補う

 実際そういう夫婦の方が長続きしてるとテレビで見ました」


【幼馴染】

「そもそもこの科目、本来の家庭科で十分でしょ?

 それなのにこの無駄な科目……」


【幼馴染】

「こんなの高給取りの役人どもが仕事してますよ

 アッピルするために新設したポーズにつくったもの」


【幼馴染】

「はぁー、自分の生活もままならないくせに、

 少子化対策の一環とかわけわからずの

 理論を並べて若者に苦労を強いて……」


【幼馴染】

「そーいう国は滅ぶとお得意のお勉強で勉強したはずなのに、

 それを活かせないのは愚の骨頂そのもの」


【幼馴染】

「そもそも『婚姻実習』というのも昨今のジェンダー的社会の

 流れから見ても、名前がいただけない気が――」


【幼馴染】

「…………は? 今、なんて?」


【幼馴染】

「聞き間違いでなければ、今度五点以上取らないと、

 お小遣い三か月分とこのアカウントを消すと

 拙の母上がおっしゃっている……と聞こえたのですが?」


【幼馴染】

「いや、うんって! めっちゃ勢いのいい首肯しないで。

 え? マジで!? そんなの横暴が過ぎるって!」


【幼馴染】

「てか、なんでお主そんなやる気なのでは。

 まさか、お主も画面の中の嫁を人質に取られて……」


//SE:主人公 前回受けた婚姻実習のテスト結果を幼馴染の前に出す

//演技:自分だけおいて行かれて動揺している

【幼馴染】

「は、へ? ……な、な、七点?  

 なして? なしていつの間に生活力を上げとるどすか!?」


【幼馴染】

「社会の荒波にもまれる準備を今からした方が楽だから?

 やだ! 考え方たくましすぎ、真面目! お主に似合わない!」


【幼馴染】

「それに練習すれば簡単とかの言い方が完全に陽のソレ!

 やだ……刮目すべきはパピヨンじゃなく幼馴染の方だったの?」


【幼馴染】

「ちょっ、アカウント画面を出すのやめて!

 マジで削除はしないでくだされ!」


【幼馴染】

「あっ、それとも拙に構ってほしいから

 わざとやるとか……」


//SE:主人公 机をたたきつつ、スマホを取り戻す

//演技:驚きすぎて変な声

【幼馴染】

「……ひ、ひぃぃ! やりましゅ。

 今のは拙のおしゃまなお口からの冗談ですから、

 精一杯やらせていただきましゅから」


【幼馴染】

「うぅ~勢いに流されて同意しちゃった。

 でもやるなんて言ってもなにを?」


【幼馴染】

「は? 料理? 火を使わない簡単な物だから?

 ……え、でもそうは言われても拙、料理は食べ専ですし」


//SE:主人公 タブレット画面をタップする

//演技:必死になって声が可愛くなる

【幼馴染】

「……ああ、やるやる。やりましゅ。

 パピヨンちゃんとの明るい未来を過ごす為、

 精一杯がんばりますので、お母さんへのラブコールやめて」

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