020

『テレホンカード』を使用しました。Gの欄から削除してください。


電話ボックスに入る。そうだ、私はテレホンカードを持っている。そう思い出し、アオネはカバンの中を探る。まだ使えるだろうかという懸念はあった。しかし、財布を取り出すよりも早くそれは見つかった。

一か八かだ。アオネは震える手でなんとかそのカードを電話に入れた。

何かボタンをプッシュする前に呼び出し音が鳴り始める。一体どこにかかっているのだろうか。数コールで相手が出た。

『はい、もしもし』

気だるげな声がする。聞き覚えのある声だと思った。とっさに頭の中で出来事がつながった。アオネは必死で叫んだ。

「聞こえる?よく聞いて。信じてもらえないかもしれないけど、これは本当なの」

『あの、どちら様ですか?』

不審そうな警戒した声がする。間違いない。これは、

「私は未来のあなた。今、あなたの身に危険が迫っている。今すぐその場から離れて」

『は?』

アオネは過去のアオネの困惑を無視して続ける。

「あなたは今日、死ぬことになる。外に出て。何かをして。夏を探して」

この日は繰り返している。何か別の行動をとらなければまたこれと同じだ。

『ちょ、ちょっと、何を言ってるのか。悪戯電話だとしたら迷惑です』

「信じられないことはわかってる。でも、家から出て。繰り返すよ、夏が繰り返すんだよ」

花火の音がした。いや、花火の音じゃない。銃声だ。見下ろすと、浴衣が真っ赤に染まっている。そこでアオネの意識は途切れた。

電話がツーツーと音を立てるばかりだった。花火が上がった。


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