6話
あれから紺くんのことが気になってしょうがなくなり、毎日みんなに気付かれないように紺くんのこと見つめた。だから色々と紺くんについて知った。紺くんは気付いていないみたいけど、夜はいつも悪夢に魘されている。だから決まった時間にこっそりと紺くんの部屋に行き、手を握ってあげる。そうすると表情は苦しそうに歪めているのがゆっくりと安心した表情になる。それを見るのが好きだった。だけどこの気持ちが恋だと気付き、僕は紺くんにあまり接触しないようにした。僕たちの関係にヒビを作らないように。煉くん、氷雨くん、そして紺くん。僕らは一緒に暮らしている。そんな中に僕のこの感情は関係を壊す凶器だ。この気持ちは消えてはくれない。逆にもっと紺くんのことが好きになってしまう。だから誰にも気付かれないようにしないと。
「そう思っていたのが、逆に傷付けてしまうなんてね」
気付かれないように隠し、見て見ぬふりした結果が好きな人を傷つけてしまった。紺くんは軽い悪夢を見るだけだと思っていたから大丈夫だと思ってしまった。だけど僕たちの病気が進行するのと同じで紺くんも進行している。僕らみたいに目に見えないから変わっていないように見えるが、ゆっくりじわじわと紺くんの体を侵食していた。当たり前のことに気づかず僕ら、いや、僕は。
「ごめんね、紺くん……」
この恋心がバレたくないから紺くんと距離を取っていた。別に恋心をバレないようにしながらでも、助けることは出来たはずだ。そうすればよかったのに。心臓が痛い。
この痛みは病気? いや、違う。
紺くんが好きなのに傷つけてしまったから。ずっと分かっていた。あの日から何もかも。
「これで最後、最後にしよう。」
この気持ちをちゃんと隠しながら、好きな紺くんのことを守る。それが僕の役目だ。だからケジメをつけるために最後に。寝ている紺くんにゆっくりと顔を近づけ、誓いのキスを……
「好きだよ、紺くん」
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