第7話 バグではなかったが、面倒もありそうだ
運営に連絡……GMコールを入れると、すぐに返事が返ってきた。最近のオンラインゲームって、こんなに運営の対応が早いのだろうか? それとも、これもAIが判断してたりするのかな?
内容は簡単にいうと、
『報告ありがとうございます。
報告いただいた御内容ですが、導入パッケージを使った人に確率で現れる、特殊な依頼です。
本来であれば、軍と関係を持てるようになるには、もっと時間がかかりますが、それを短縮する特別なクエストですので、受けることを推奨します』
という感じだった。
お金を払って船を手に入れる以外にも、確率で発生する特殊イベントってことか。順当にやっている人たちに申し訳なく感じるけど、本当に受けてもいいのだろうか?
俺が悩んでいると、セバスから連絡が入る。
『お悩みのようですが、こちらをご覧ください』
そういって送られてきたデータには、
軍と交流を持ちたいがために、ファーストロットの導入パッケージを買い漁る上級者が沢山いたそうだ。
パッケージを買った初心者が、掲示板でクエストのことを聞いたところ、上級者がお金に物を言わせてファーストロットを買い漁ったという内容だった。
というか、俺の買ったパッケージってファーストロットだったんだな。
セバスからのデータには追加で、
パッケージのファーストロットは、既にゲームをしている人たちにも使えるようになっていたらしいが、次のロットからは新規の人のみが使えるようになったらしい。
ゲーム会社からすれば、お金を稼ぐいい機会だと思うから、初心者だけに使えるようにするのはマイナスじゃないか? それなのに禁止するってことは、それだけ軍との接触できる機会が少なく、メリットが多いってことなのだろうか?
良く分からんが、初心者のスタートダッシュを手伝う運営の考えかだろうか?
すでに始めている人間からするとズルいという話はあるけど、運営が準備している物なので文句は運営に……って言うのが掲示板の最終意見みたいだな。
本当の理由は現金なものだったけどな。軍と交流の持った初心者を手助けすると、軍と関係を持てる確率があがるという追加情報が運営から発表があったからだろうと、セバスは予想していた。
なるほどね。とりあえず、俺は遠慮なくこの依頼を受けて良いってことか。受けたことがバレると面倒ではありそうだが、メリットが大きいみたいだから、メイの判断次第になるが受ける方向で考えるか。
メイと受付の人との話はまだ続くようだ。
ふと、周りを見渡すと、俺と同じようにアンドロイドを連れている人が沢山いるな。この世界では、当たり前なのかもしれないな。
のんびりしていると、話し合いが終わったようだ。
メイは受ける方向で話を進めていて、今後も可能な限り協力はしますが、色々見てみたいところもありますので、専属という形は難しいとの事で、話が終わったようだ。
うん、俺は何も言っていないけど、俺の意見をしっかりとくみ取ってくれているようで、嬉しい限りだ。
出発は可能な限り早くということなので、俺たちは急いで船へ戻ることにした。
帰り道で今回の依頼について教えてもらった。
受付の人が言ったとおりで、軍艦にそのまま入っているだけでいいらしい。途中で軍艦の機密になっていない場所を、監視付きだが歩き回れるらしい。
船に戻ってくると、準備は完璧といった様子でセバスが待っていた。
船の換装自体はすぐに終わっていたようで、船がきちんと動くのか確認してくれていたようだ。ゲームなので、確認しなくても問題なく動くからというのは、無粋かもしれないな。
荷物の代わりに軍艦に積み込まれるようなものだけど、何かあった時のために動くか確認することは必要なことだよな。
荷物として移動している間に、船の運転の仕方とかしっかりと確認しておかないとな。いざとなれば、セバスやメイが操縦できるとは思うけど、俺だって操縦したいから絶対に覚えてやる。
特殊船倉に付け替えたカーゴを空けて中を確認する。見た感じ何が特殊なのか分からないが、少しメカメカしい見た目だな。
何が変わったのか分からなかったので、換装前と換装後の映像を出してもらった。
「あ~、普通のカーゴって倉庫っぽいんだな。それに比べて特殊船倉は、機械で管理されているって感じがする。セバス、もう一度確認だけど、船の運用には何も問題ないんだよね?」
「もちろんです。この実験船は、もともとすべてを装備して運用することが前提になっているようなので、クラス2サイズの船としてはありえないジェネレーターを積んでいたようですね」
「普通って、クラス2にクラス4のジェネレーターを積めるものなの?」
「本来は積めません。クラス3なら無理をすれば積めますが、無駄が多くなります。クラス4を積むのであれば、クラス3のジェネレーターを2つ積む方がまだ効率的ですね。船がジェネレーターに占拠されますが」
クラス4が積めるならそれの方がいいのではないかと思ったのだが、
「クラス4のジェネレーターを積むと、エンジンや生命維持システムなどは同じクラスの物を使わないと、非常に効率が悪くなってしまうのです。
ジェネレーターの出力に合わせて他の部品が設計されているので、無駄が多くなってしまうのです。唯一問題ないのが武装ですが、船のサイズに合わせて作られているので、クラス以下のものしか普通は着けられません」
クラスが違うと効率が悪くなるというのは、そういう設定で設計されてるんだろうな。そんなことを考えるのはメタいので、そういうモノだと思っておこう。
セバスと話をしていると、メイがやってきた軍人の対応をしてくれていた。
どうやら、特殊船倉を軍人さんが確認しに来たようだ。ピッチりとしたこの世界の宇宙服の上に、軍服を着ているみたいだな。見た目でも軍人だと分かるようにしているのかな。
「君がこの船の船長かな? 今回は急な依頼を受けてくださり、ありがとうございます。ギルドから問題ないと聞いてはいますが規則ですので、特殊船倉を確認させていただきたいので、乗船許可をいただけないでしょうか?」
おぉ、傲慢系の軍人さんではないようだな。
宇宙船に、乗船許可を得ないまま乗ると犯罪であるため、こういうやり取りはしっかりとしないといけないそうだ。
訴えなければ犯罪にはならないらしいが、しっかりと記録を残しておく方が、結果的に助かることもあるのでしっかりしておくようにと、軍人さんに言われた。
新人なので、教わりながらではあるが、今回の場合は部分的な許可を出して、カーゴ内を確認してもらうのが一般的ということで、
「あなたたち5名のカーゴ内への乗船を許可します。必要な機能が揃っているか、確認してください」
「ありがとうございます。お前たち、ギルドから提供された情報と照らし合わせて確認しろ。特殊船倉はデリケートだから、無暗にいじるんじゃないぞ」
セバスの話だと、多少壊れても問題ないらしいけど、本来の特殊船倉って壊れやすい物なのかな? ランニングコストがかかるような話だったから、もしかしたら壊れやすいのかもしれないな。
「そういえば、今回積む荷物ってなんなんだろ?」
それを聞いていた、先ほどまで話していた指揮官の軍人さんが、
「急な依頼だったので、積み荷の説明も受けていなかったのですね。配慮できずにすいません。新人ということですので輸送依頼の正式な流れを説明しながら、注意する点なども話させていただきます」
おぉ、チュートリアルのようなものもしてくれるのね。助かるけど、注意する点なんてあるのかな?
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