Preview
人々は平和に暮らしていた。
2060年代に入った文明の発展は凄まじく、ワープ技術や宇宙開発など、漫画の世界のような近未来の暮らしがそこにあった。これは人間だけの力ではなく、人造人間(通称ロイド)が人類を支えた結果の発展。
これから先もますます地球は進歩し、発展していく……誰もが光り輝く未来を想像していた。
しかし、争いの火種は世界のあらゆる所である日突然、起き始める。
最初にいなくなったのは遥の親友、
「ぐっすりだね」
「あぁ」
「今日もいっぱい遊んだから……」
「
寝室で、子供達の寝顔を眺めながら話すのは
「
「
「さぁ、そろそろ休もう。明日もまた元気な子供達とたくさん遊ばなきゃ」
「うん」
見つめ合った
「
ドアの前で、不自然に動きを止めた
ドゥォン!!
彼女の目の前で、
「いたぞ、捕まえろ!! 」
それ以来、
この事件は、
「草野さん、先日起きたロイド爆破事件の資料です」
「ありがとうございます。このところ増えていますが、爆発したロイドに何か関連はありますか? 」
「いえ、それが全く。管理する企業も使用する部品も、共通の物はありません。それにしても国内で一日に50件を超えるなんて、さすがに多すぎます。組織的な犯罪を疑われても仕方ありません」
「そうですね……資料、ありがとうございます。修理センターの方は」
「ミーティングにも出てきませんし、何をしているのか……責任者がロイドを管理できていない可能性もあります」
「困りましたね……」
こんな時、あの人達がいてくれたら……どれだけそんな風に考えただろう。
パートナーロイドがいきなり爆発する、そんな事件が最近続いている。手元には今まで起きた事件の資料。
この中には親友の
調べて食い止めないといけない。
「っっ!! 」
また感じる胸の痛み、最近増えてきた……爆破事件の真相、これを突き止めるまでは辞められない。例え、命が尽きたとしても。
「草野さん、大変です!! 」
また別のスタッフが慌てて駆けてくると同時に、街に異様な警報が鳴り響いた。
「どうしたの!? 何が」
「空襲警報です、軍の奇襲攻撃が!! 」
同時に異様な電波が放たれ、電化製品や通信機器は使用できなくなった。
情報が得られなくなった国民は混乱し、逃げ惑う。各地のロイドが家族や周囲の人間を殺し始め、とうとう人類も軍隊を編成。終わりの見えない最終戦争の幕が開いた。
そして、弱った地球は更に強大な侵略の危機を招く。
「笹山さん、通信成功しました」
「わかった。すぐ繋げてくれ」
大型のモニターに映るのは、緑色の肌をした異星人。
「久しぶりだな」
「お久しぶりです、総長。早速ですがお願いがございます」
「これはこれはご冗談を、天下の人間様が我等のような下賤の者にお願いなどとは」
卑屈な嫌味に対抗している場合ではない。
「DANGER! DANGER! 」
耳をつんざくような警報音と共に点滅する警告表示。
「何だ! 何が起こった! 」
指揮官の
ダッダッダッダッダッダッ
銃を構えた大勢の軍人が走る足音。数分後には……全ての人間が倒れ、軍人達によって火が放たれていた。
人類は、かねてから親交のあった宇宙連合軍に、協力を仰ぐつもりだった。しかし、地球侵略の絶好の機会とふんだ宇宙連合軍は地球への攻撃を開始。その手始めに通信局を襲撃したのだ。
奇襲は成功、妻である
そして訪れた戦乱の世。
街の外れに暮らす
「離婚してほしい」
「わかった」
結婚から5年。薄暗く静まったリビングで冷めた言葉を交わすのは
先に家を出た
それぞれの人生は分岐点に差し掛かり、運命どころか……明日は誰にもわからない、暗黒の時代がやって来た。
このあと……。
「俺の手を離すな、絶対だ」
かつて
「何を嗅ぎ回っているのか言いなさい」
ずっと
再び交錯する運命、愛も憧れも全て疑いの暗い影に飲み込まれていく。
そしてもう一人。
「宿願を……晴らす時が来たな」
地獄の果てから蘇る悪魔は、再び巡る因果を呼び起こしてしまうのか。
緑も花も空も色を失くし、広がるのはただ灰色の地表。地上も地下も、人が争いあった場所は全て
そして消えていく命の灯火。
「しっかりしろ!! 目を覚ませ!! 」
「遥!! 」
命の危機を前に、誰ひとり例外などない。襲いかかる絶望の暗闇に、希望の光は溶けて消えていく。
そして……。
「全部……あなただったのね。どうして……どうしてあなたが」
戦に隠されていた恐ろしい思惑。人類を危機に陥れたのは、意外な人物だった。
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