あいどる☆ころしあむ

ぶらぼー

第1話

 西暦32382439年のウルトラ日本国。


 アイドルグループ「眼栖牙鬼坂メスガキざか48万」のライブがネオ東京スーパードームで開催されていた。


 通りすがりに拉致されドームに押し込められた1億5千万人のファンが、一人また一人と圧死していく中、48万人のメンバーがステージで代表曲「WAKARASE」を歌い、踊る。


 デビュー二年目の賀来詠子かくよむこは、バックダンサーとして踊りながら、遥か前方のセンターで歌う女性を見つめる。彼女こそよわい70にして様々な謀略・暴力により眼栖牙鬼坂メスガキざか48万のセンターに昇りつめた矢羽杉子やばすぎこである。


 ライブの途中であるはずの今この時でも、熾烈なセンター争いは繰り広げられている。杉子のダンス中の隙を狙い、横で踊るアイドル達がだんびらチャカ、チェーンソーやモーニングスターで不可視の攻撃を繰り出しているのだ。


 だが48万人のアイドルの頂点に立つ杉子にそのような攻撃は届かない。杉子は質量攻撃は勿論、呪術・魔法などあらゆる属性の攻撃を防ぐバリアー、「尾鎖輪理・弦金おさわりげんきん」を常時展開しているのだ。1秒展開するのに8億ギガワットの電力が必要なこの技を常時展開できるのは、日本には杉子だけである。


 眼栖牙鬼坂48万が最後の曲を歌い終わると、ドーム内は静寂に包まれた。アンコールを呼びかける声はない。ファンは皆死んでいたのだ。


(続く)

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