単、譚、短
浅山仲原綿
光に惹かれて
私は陽の当たるような道を歩んできませんでした。かといって、大きく道を外れるようなこともしてきませんでした。
日陰を、路地裏を、林道を、トンネルを、積極的に消極的な道を歩いてきたのです。
時折陽の当たる大通りを堂々と歩く人を見ることがあるのです。こんな暗い場所にいる私にはとても魅力的に輝いて見えたのです。
そんな彼らを見ていると、私も変わらずにはいられなくなりました。
私だって陽の当たる道を歩きたくなったのです。しかし人間そう簡単に変われるはずもありません。
日陰から一歩踏み出そうとしますがなかなか足は動いてくれません。
路地裏から喧騒の方へと向かおうとしますがUターンしてしまいます。
林道と街の狭間をうろうろしたり、トンネルのさらに暗い所へ向かってしまうのです。
私は思いました。
何も最初から明るい場所に行かなくてもいいではないかと。
暗い場所から薄暗い場所へと徐々に明度を上げてゆけば良いのだと。
私は街へと出かけました。人もいないような深い夜の時間に。
道を照らす淡い街灯が心地よいのです。
そんなことで気が大きくなったのでしょう。いつもは道の端を歩く私も、今この時ばかりは道のど真ん中を歩いているのです。
たまにすれ違う車のヘッドライトが身体に染み渡るのです。
そんな光に惹かれ、ついつい車道を歩いてみたりするのです。
あゝなんと素晴らしいことか、光ある道を歩くとは。
とても煌びやかな光が轟音と共に私を包んでくれたのです。
私はその光に深くお辞儀をし、
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