第9話『ポン吉とコオロギ』

「ポン吉~、きょうのご飯なに?」

「きょうはコオロギのナンプラー炒めだよ、たーくん」

「えっ!コオロギ!!どーゆ―こと!?」

「まず、ごま油をフライパンにしいて、こぶみかんの葉をテンパリング、弱火でじっくり炒めて、香りを移します」

「おお……」

「香りが立ったら、そこに、糞出し済みの、ドライのコオロギを投入!!」

「へっ?糞出し?!」

「コオロギのおなかに、うんこがのこってたら、苦くなっちゃうでしょ?

だから、乾燥させる前に断食させて飢えさせて、糞出しするの」

「……」

「サッと炒め合わせて、鍋肌にタイの魚醤、ナンプラーを回し入れる!」

「うわっ、なまぐさっ!今、ものすごい量入れた!」

「さいごに、塩、胡椒で味をととのえて、完成だよ、たーくん」

「マジか……!」

「はい、蒸らしておいた、高級タイ米、ジャスミンライスと一緒に、召し上がれ、たーくん」

「ポ、ポ、ポン吉~!!」



「はっ!夢か!よかった、ほんとによかった……。

今日はポン吉が、タイ風、ナンプラーの野菜炒めをつくる、って言ってたな……。

おっ、ナンプラーの、生臭くもエスニックな香りが……。

ポン吉!!今日のご飯なに~!!」

「きょうは、野菜買いにいくのがめんどくさいから、

コオロギのナンプラー炒めだよ!」

「ポン吉~っ!!」

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