第11話 外伝「医療過誤理論」

 ショックで心停止に陥るも、病院のスタッフの懸命の処置でどうにか一命を取り留めた三田義之(59)。

 一ヵ月後、彼は集中治療室から一般病棟に移される事になった。

 深夜、三田義之(59)がベッドに横たわり寝息を立てていると、そこへ「神の手」を持つと評判の外科医師、藪田衣糧三須尾が現れた。

 薮田は三田義之(59)が横たわるベッドに近づくと、その「神の手」を虚空の何かを掴むように上に伸ばした。

「ミタサーン、イマ助ケテアゲマース」

 薮田はそう言うと、「神の手」をベッドに寝ている三田義之(59)に向かって振り下ろした。


 ドスッ


 鈍い音と共に薮田の「神の手」が変な方向に曲がって、薮田は104ポイントのダメージを受けた。ついでに三田義之(59)は150ポイントのダメージを受けた。

「ハアハア、ワタシノ”神ノ手”ガ……ダガ、負ケルワケニハイカナイ。ワガ一族ノ誇リニカケテ」

 薮田は両手を頭上に掲げた。

「イママデ片手ダッタノガ、両手ニナッテ×2」

 薮田は両手を上げた姿勢のまま、病室の窓を開けてその上に立った。

「高サモコレデ×2」

 薮田は力を溜め込むように、不安定な窓の上でしゃがみこんだ。

「ヒネリヲ加エレバ、サラニ×2。全テヲアワセレバ、ゼンブデ6バイ。オマエヲ超エル、1200マンパワーウワッ!」

 途中でバランスを崩した藪田は、キリモミ回転しながら5階の窓から落ちていった。

 大ピンチ。

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