第9話 マジカル☆発砲超危険!

 生ぬるい風が道路沿いに流れていく。パトカーと警官達が占領する道路はしばし静寂に包まれた。

 何が得体の知れないことが起こるのではと警戒していた警官達は、特に状況に変化がない事を確認するとようやく落ち着きを取り戻し、パトカーのドアを盾にマジカル☆ポエミィに銃口を向けた。

「おとなしくしろ! いますぐ両手を頭の上に組むんだ!」

 マジカル☆ポエミィが声を出した警官の方へゆっくりと向きを変えた。

 マジカル☆ポエミィの視線に晒された警官は、凄まじい圧力を感じて体が内側に圧縮されるような錯覚を覚えた。体全体が小刻みに震えだし、呼吸もままならない。その凄まじい重圧に耐え切れなくなった警官は、構えていた銃の引き鉄を引いてしまった。

 乾いた音と共に発射された弾丸は、マジカル☆ポエミィの顔に到達する寸前、人差し指と親指の間にはさまれていた。

 マジカル☆ポエミィの指からは、煙が立ち昇り何かが焦げるような音が聞こえる。

 放心状態の警官を尻目に、マジカル☆ポエミィはつまんだ弾丸をそのまま指で押し潰した。

 あまりの事に警官達がたじろいだ次の瞬間、包囲網の一角のアスファルトをぶち破って、三田豪三郎(81歳。素晴らしい闇の力がわしの身体に流れ込んでくる。もはや昨日までのわしではない。見ておれ魔界の魔王ども、地上をそのまま地獄に変えてくれる。おお、わしは今理解した。大地は意外と硬い。体がボロボロじゃ。ばあさん、今そっちに行くぞ)が現れてそのまま動かなくなった。

 大ピンチ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る