Episode 128 連鎖反応か、または芋づる式か。


 ――暗闇に一筋の光。照らされるのは豊臣。取調室のような一室。


 御城の中に設置されている場所。マリー姫と松近まつちかさんが見守る中で行われていた。



 見守る場所は豊臣とよとみから見えない場所。小窓から確認できる仕組み。私も一緒にそこにいた。バンッと響く机の音。お姉ちゃんは意外とゴリ押しだった。そんな中だ、千歳ちとせが徐に銃を突き付ける。その前に弾丸は抜いてある五つ。とすれば一発分だけ薬室に……


 突き付けているものはピストル。豊臣の側頭部に。


 ロシアンルーレット。……迷うことなく千歳はトリガーを引いた。カチッと響く、凍りつくような音。千歳は笑っていた。どお、このスリル、癖になるよ。と言いながら。


「わかった、言うからっ、あいつだ、あいつに操られたんだ。な、言っただろ?」

 と、豊臣は涙さえ浮かべながら。声も裏返って……


 それでも無情に、トリガーは引かれる。千歳は、満面な笑みを浮かべて、


「ダメだな……あいつって誰? 僕は絶対に許さない。あんただって同罪だ。自分の手を汚さずに、僕を人殺しにしようとした。身をもって知れ、命の重さを……」


 渾身に力を持って引く、トリガーを。お姉ちゃんは止めようとしたのだけど、それも叶わず、私の「やめて!」という叫び声も届かずに、無情にも銃声は響いた。


 ガチガチ震える、私の身体……

 涙さえも止められなくなっていたけど、


「泡拭いて気絶しちゃった。咄嗟に狙いを外したけどなあ」


 と、千歳の声が響いたの。えっ? との思いで、私は小窓から見る、目を凝らして。何と煙が。壁に命中していた。豊臣の頭から、僅かなズレだった。


「それで、黒幕はもうわかったの?」と、お姉ちゃんの声も震えていた。


「うん、バッチリとね。とっても近い距離にいたよ、今まで気付かなかったのかが不思議なくらい。松近さんは大丈夫かもしれないけど、そらにはキツイ内容と思うから……」


 心して、最後の戦いを迎えましょう。と、確かに千歳はそう言ったのだ。



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