Episode 125 そっと一言、敵を見誤るなよ。
――聞く。聞き入れる。エージェントと呼ばれた二人にも。私たちもまた。
マリー姫の声。
彼女の心から運ばれてくる声。
それは一途に平和を愛する心。皆が仲良くなれる日を願っている。ウメチカさんと同じ願い。ドミノの草創期にいた人たちの願い。だからこそ同意。
エージェントの二人の表情にも、ほんのり赤みが浮かんだ。
マリー姫は問う……
「君たちに今回のミッションを命じたのは誰なのかな? ……と、訊いたところで答えないでしょうね。余程の訓練を受けてるようだし、それにライフルで狙ってる時の殺気なんかも意図的に消されてたから。でもね、私も同じだよ、君たちと同じくらいにね……」
背筋から、冷気が走るような目。
喩えるなら、その表現になりそうなマリー姫の目。エージェントの二人が初めて見せる怯えた表情……私と
二人の内、一人が深く息を吐いて、
「完敗です、僕らの。……何もかもお見通しなのですね。なら僕らに成功はなく、返り討ちに遭っていた。あなたは、本当に恐ろしい人だ……」と囁くような声になって。
「それはどうかしら? いくら私でも千里眼でもなく超能力者でもないから。そうね、空ちゃんと陸君が君たちを発見し、戦ってくれてたから察知できたんだけどね」
と、マリー姫は言うのだけど、本当にそうなのだろうか?
松近さんもそうだけど、私にはまだ、この人たちの考えが読めないことも屡々……
すると、いつもとは異なる低い声で、
「敵を見誤るな。……黒幕は意外と大きな組織とかではなく、我々の内部にいる。きっと私を邪魔に思う者も側近の中にはいるからな。心してかかれよ、この次のミッション」
と、マリー姫は、ほぼ耳打ちで……私だけにお話していたの。
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