Episode 113 夜を駆ける思考の数々。


 ――まるで四季のように、革命もまた然り。


 吹き荒れるものが見えないという不安。それと同時に心トキメク冒険心も兼ね備え。



 今は夜も更けて、其々のお家で、天空のお星様を見ていることだろう。

 私も陸君りっくんも……


 数えてみる。何が起ころうとも、私と陸君の関係は変わらないし、契りを結んだという事実は覆されない。ずっと一緒という約束だ。包み隠さず何もかもを晒した仲だから。


 枕を抱えていると、


そら、私の部屋に来ない?」と、お姉ちゃんが声を掛けてきた。


「一緒に寝る?」「そうね、実は私も一人じゃ……」「興奮しちゃってるの? それとも不安?」「どっちもどっちかな? 私は何も変わらないと思ってるけど」


 と、交わす会話は、お布団の中に入っても同じ。そして心構えさえも、その方向性が見えない故に成り立たないまま。されど、お姉ちゃんは言う……


「私にとって、ドミノはやはりビジネスかな。それ以上でもそれ以下でもないし。ヤバくなったら切り捨てるのも手だしね。ビジネスなら、勝てない戦は有り得ないから……」


 確かに、ドミノのミッションは報酬が得られるのも事実。私だって、この手に握ってきた仕事料。お小遣いとしては高額なもの。それは過去からのルールだ。


 報酬を受け取らなければ、ミッションに参加できないという仕組。但し受け取ったのならば、必ずやり遂げることが必須となるの。だからこそ、そこが弱点となり得るのだ。


 学園の規則では、引っ掛かる可能性が大いにある。


 私は、別に無料奉仕でもいいと時折思う。でもね、お姉ちゃんが律してきたから。それは掟破りだと。でないと「私は空でも始末するから」ということになる。その悲しい選択をしたくないから、私は「ヒーローの前にドミノだ」と、自身に言い聞かせてきたの。


 そう思っているうちに、頭は真っ白になってゆく……


「お休み」と微かに、お姉ちゃんの声が脳内をこだましていった。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る