Episode 107 そしてテラスの午後三時。


 ――古時計は奏でる。午後三時の訪れを。黒と茶色の木製。背も高く大きなサイズ。



 そこからはもう、直接触れ合うお外の景色。ガーデンという単語が似合いそうな……であるなら、と思いつつ、じっと見詰める陸君りっくんのこと。すると陸君はこっちを見て、


「な、何だよ?」と言うから、


「夏になったら、またビニールプールできそうね」と言ってみた。


「子供かよ」「子供じゃないって、何を見てたの? 私の裸を隅々……最大級の乙女の覚悟だったのよ。ちゃんと結ばれてることだって、二人の愛の営みだったのに……」


 脳内から湯気が出る思い。お顔からも、まるでゴジラのように火炎放射なイメージ。その結果、陸君はいかにも開いた口が塞がらないという表情で……チョンチョンと私の肩を叩くお姉ちゃんのお陰で視野が広がるも、そこには、そこにはね……何というか、


「な、何で? いつの間にいたの、皆?」

 と、よく言葉になったもので、全員が集合していたの。


 枯葉散る白いテラスの午後三時とは随分とイメージの異なる緑にあふれた世界。そこに春日はるかさんや春美はるみさん。椎名しいなのオジサンまでいたのだから、ガーン! という効果音まで奏でられた。……でも、想像とは何かが違うリアクション。


 反応に困っているうちに、


「さすがそらちゃんだね。りくはとっても奥手だから、まだまだ時間が必要と思ってたけど」

 と、春日さんに褒められた?


「若いっていいね。ちょっとやりすぎなくらいが。我が家の男性陣は、どうも冒険心に欠けるから」と、春美さんまで便乗してきたの。反対派は誰もいないのが驚きだった。


「じゃあ春美、お正月は家族旅行。陸は夢だったんだろ? いつも鬼嶋のお爺ちゃんから聞いてたから」と、椎名のオジサンもニコヤカな雰囲気で陸君に問う。すると陸君はね、


「行き先は北陸。空も一緒に。スタンプラリー第二弾の開幕だ」と声高らかに言ったの。


 するとね、……雪? キラキラしている雪の結晶。この先のトキメキを広げていった。



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