戻った日常と

 納骨は、あの後無事に終わった。

 やや長かったおむつ交換で待たせてはしまったものの、夫は墓石に収められた。


 度々抱きついては嘆いていたそれが、手元からなくなってしまった。

 石職人の方が墓を封する時、皆が手を合わせる中、私だけが手を伸ばしてしまっていた。




 法事の後、食事会などが行われるものだが……省略となりそのまま帰宅。

 ……予算的に、これが限界であった。

 




 そう、そのまま帰宅したのだ。


――お坊さん、ごめんなさい。

  バスタオル……汚しちゃったの




 あの交換台に敷かれたバスタオルは、娘が罪を被ってくれた。

 私はそれを……何も言えず、お辞儀をするのが精一杯だった。



 オムツも、持ち帰った。

 お寺で処理してくれると言ってくれたが、辞退した。


 びしょ濡れのオムツが四枚。自宅まで持ち帰られた。







 四枚である。


 これは当てているのであって持ち帰ったのではないとか、

 途中で捨てて新たに使った分とか、

 そういうのではない。

 



 お寺のおむつ交換台で当て直してもらった、三重のオムツが、本当に未だ使われていないのだ。

 うちに帰ってから、実に二週間ぶりに、私はトイレで、ほんとうの意味でおしっこが出来ていた。



 その後も、かつての常識的な範囲での尿意を催し、トイレに入っていた。

 娘も、本当に……本当に喜んで、泣いてくれた。



 正常な、かつてのトイレに行ける私に戻ったからだ。



 今頃になって、薬の効果は切れたのだ

 多少は減速があったものの、恥をかくという意味ではほぼ無意味だった。


 トイレに行けるということの、たったそれだけの喜びを噛み締めていた。



















 だけど、明日は幼稚園に行くのだ。










 朝になった。

 朝食の後、私は……初日以上の時間躊躇して、三錠……飲んだ。


 娘がいつも以上の三枚を当てる私に、減らそうと言ってくれた。






 幼稚園に着く頃には、娘は悲しそうな顔になっていた。

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