開いたオムツ

 今や、おむつは裕子のお尻の下に敷かれたまま、T字の形に大きく広げられた恰好となってしまった。

 両脚をカエルのようにみっともなく開かされ、仰向けに寝かされた裕子の姿があった。

 今やすべてをさらけ出され、横たわるその様は、とても25歳、一児の母の容姿ではなかった。


 脚を閉じたくても、股下にビッショリと濡れたおむつが広げられていては、閉じることすらままならない。




 あまりの奇異な姿に、どこからもヒソヒソと嘲笑がもれる。


(いやだぁぁ…………

 みんな見ないで…………お願い見ないで…………)


 あまりの羞恥とみじめさに、裕子の意識は混沌としだす。


 今や裕子の女性の部分すべてが、むき出しにされていた。

 しかし、この年長の子らはたんたんとオムツ替えを進めている。


「おむつ交換の前にきれいにしないと」


 尿で湿った裕子の下腹部から腰回りを、タオルで丹念に拭きとりはじめた。

 その間にもう一人の子が、裕子の大型の幼稚園カバンから新しいおむつを取り出した。


「あ、裕子ちゃんのクラスが書いてない。

 先生!」


「はいはい、じゃあ書いといてあげるわね」


 先程まで指示を出していた先生が、マジックを取り出しにこやかに近づいてきた。


「ことり幼稚園は鳥さんの名前がクラスのお名前なのよ。

 裕子ちゃんのクラスは、どんな鳥さんだと思う?」


「おむつはいや…………

 もう、いや…………」


 ここに来て、裕子の心は折れかかっていた。


「ダメダメ、裕子ちゃんはオモラシさんなんだから、オムツしてなくちゃ……はい書けましたよ」


 屈託のない笑顔で裕子の顔を見つめた。

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